私の目の前には2つの道がある。
左に行けばそのまま駅に着く道と
右に行ったら細い路地に入って行く道
目的の為に進む道だとしたら
まっさきに左の道なんだけど
なんだか気になる右の道
私の彼氏は優柔不断
「今日何食べに行く?」
「なんでもいいよ」
大学のサークルで知り合って
授業のある日は学校で会ってる
住んでるところは近いけど
お互いバイトがあると夜は会わない
週末は友達との予定をやりくりして
ゆっくりできるのは土日のどっちか。
大学3年を目前にして先輩達が
就活に勤しんでるのを横目に
自分はまだ知らんぷりをしている。
「今年から就職セミナー始まるけど
就きたい仕事とかあるの?」
彼が仕事の事とか考えてるとは
思えないけど…。
「俺金融関係受けるよ。銀行とか」
えっ
1年ちょっと付き合ってきて
全然知らなかった
普段はあっけらかんとしてて
優柔不断なのに
まさか金融関係とか
行きたい方向性も
しっかりあったなんて
何もやりたい事なんてない
そういえば、友達の皆はどうするんだろう。
そんな話した事なかったな
ずっと働くのかな私…。
高校や大学とは違った形の選択
もしかしたら
この先何十年の選択を
20歳そこそこでしなきゃいけないのか。
もしやりたい仕事があるとしたら
キャリアを積んで
バリバリかっこよく働くのもいいな
でも結婚して子どもを産んで
家庭を持ちたい気持ちもある
そんな事を考えてたら
左に行けばそのまま駅に着く道と
右に行ったら細い路地に入って行く道の
2つの道が目の前にある
ただなんとなく
右の路地の方に足が向いたから
向かってみた
Afterhours
こんな所にケーキ屋さんなんてあったんだ
なんとなく来た道だったのに
こっちに来て正解だった
左の道でも目的は果たせて正解
右の道はステキなお店を見つけられて
+αがあった、これも正解
ちゃんと彼の分も買った
ちょっとしたお土産を
買えるなんて思ってなかった
路地裏にあるケーキ屋さん
シンプルな内装で
甘すぎないクリームが
また、つい寄りたくなる。
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「ケーキなんて珍しいね」
「たまたま普段通らない道を
選んだら見つけたの」
「へぇ。なんかそういうのもアリだね。
ねぇ一口頂戴」
「じゃあそっちのも」
〜〜〜
「なんで金融関係なの?」
気になってた事を聞いてみた
「お金って大事じゃん?気づいたらずっとお金って持ち歩いてる物だし。知ってて損することはないかなって」
「好きなこと仕事にするとか考えなかったの?」
「好きなこと仕事にして、それで苦い思い出できたら嫌いになりそうだし。飽き性だから続かなそうじゃない?趣味は趣味って感じ」
「なんか意外」
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彼とファミレスに行った時
私にも少しだけわかったことがある
「またグラタン頼むの?」
「いや、そっちこそまたハンバーグ?」
「今日は和風ハンバーグ!この間のはチーズハンバーグ!」
「ハンバーグには変わりないじゃん。」
「俺はハンバーグ好きだからいいの!」
自分で何かを選ぶ時
苦手なもの、嫌いなものは
選択肢に入らない
そういえばチラッと見た
就活サイトで気になった企業しか
詳細ページを押さなかったかも
何をしたいかはわからない
彼みたいに気になってる企業の
労働条件で割り切るのも
好きなものを突き詰めて
仕事にするのもいいかもしれない
あとはもう自分が選んだ道を
自分で正解にしていくしかないんだと思う
もちろんこの先
選択肢を提示されることも沢山ある
どちらかを選ばないと行けない時
未来の自分をイメージして
選んだ選択肢に納得できるように。
その時の感情
周りの人の意見
今いる自分の置かれてる環境
あらゆる周囲の要因を
失敗した時の言い訳にしないように
きっと選択してきたことは
自分が決めてるはずだから
東京の桜開花予報のニュースと共に
大手企業の入社式の様子が映る
きっとこの人達も
自分で選んであそこにいるんだろうなぁ
電車や街で見る
サラリーマンやOLが
少しかっこよく見える
だって皆、自分で選んできて
働いてるんだもん
「なぁ、この間買ってきてくれたケーキ屋さん気になって調べたらかっこいい事が書いてあったよ」
「かっこいい事?」
「一日の仕事を終えた後の時間を 『10年後にはこうなっていたい』という未来を作るために費やしました。アフターアワーズ(after hours)という名前は その時の『日々の仕事の後の時間』が、今の私たちを作っていることに由来します。 だってさ」
(引用:Afterhours HP)
「なにそれ。かっこいい」
「でしょ、今度は俺がケーキ買ってきてあげるよ!」
「わっ!楽しみ!」
もし彼とこのまま結婚っていう
道が私の目の前に来たとしたら
正解にできる自信はあるかな
なんてね。