平日には無い匂いが
隣からして目が覚めた土曜の朝








私の隣には彼が寝ている
その顔はとても穏やかで
その寝顔だけで私は安心して
また休日を迎えてる事がわかる








彼が隣にいる事を確認して
私はまた至福のひとつである
二度寝をする












「おはよ。コーヒー飲む?」














その声に気づくと彼は起きていて
コーヒーを淹れていた










それまで彼が寝て居たところと
部屋中に漂うコーヒーの匂いは
私が一番好きな匂い













「ふふっ。今日も寝癖すごいよ」

「君だって人のこと言えないけどね。はい、コーヒー」

「ありがとっ」
髪をくしゃっとさせながら渡されたコーヒーは
いつも彼が淹れてくれる匂いがした




















いつもの匂い
















「今日何しようか?」

「この間テレビでやってた
新潟特産の油揚げ食べたい」

「いいね。ちょっと出かけたついでに
買いに行って夕食にしようか」 

「うんっ」










平日の仕事終わりに会う彼は
スーツをきっちり着て
表情も表向きな顔をしている気がするけど

週末の彼は
とにかく気が抜けた顔で一番好き













普段とは違うラフな格好で
表参道に出掛けた私たちは

煌びやかな表参道ヒルズを横目に
新潟の特産品が売っている
食楽園で目当ての物を買って

家に帰る前に
いつも寄るコーヒースタンドに
自然と足を向けていた




















今日は生憎小雨がパラついていた
最近の冷え込みもあり
お互いに寒がりな私たちは

身を寄せ合いながら歩いていると
自然と二人三脚をしているみたいに
足の出し方に息が合っていた










彼はきっとそのことに気づいてないけど












そんな事を考えていると
「なんかコーヒーの匂いしない?」

「そうかな?」



普段と違うルートだから
少し迷っているようにも見えたけど



「ここら辺からする気がする」




意外と表参道の住宅街は
小道で入り組んでいて、お店なのか
家なのかがわからない時が多い








「ねぇ、見て」

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立て看板のみで、お店は
奥まったマンションの1階にあった






「ここにコーヒー屋さんあったんだね」





「俺全然知らなかったわ」

「なんかすごい偶然。ここ行ってみる?」

「こんな偶然見逃せないでしょ」








彼のちょっとワクワクしたような
横顔は小雨の鬱陶しさを晴らすように
清々しかった







コンクリート打ちっ放しの店内は
併設されているセレクトショップの
Tシャツがかけられていたり

少人数が一休みできる
ベンチやテーブルが置かれていて

気軽に立ち寄れる雰囲気で
居心地が良かった







「なんかこういうの得した気分」

「また寄り道できるお店増えたね」











週末の二度寝
彼の寝癖
朝のコーヒー
足の出すタイミング
彼のワクワクした顔
新しい寄り道
夕食に食べたかったおかず




私は今日きっと彼よりも得している
















何気ない一日の生活の中
ちょっとした幸せがあるだけでいい










また明日もそんな幸せを
ふとした時に見つけられたらいいな













そんな事を思いつつ
横で寝ている彼を感じながら
きっと明日も二度寝する












 隣にあるいつもの匂い









※この物語はフィクションです

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