昨年12月に「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」(論創社)を刊行しました。25冊目の著書です。「韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑」を初めて出した20年前には、自分がこんなに本を出し続けるとは想像もしていませんでした。人生って面白いですね。

読書家じゃないけど本屋には行く
「本を書く(創る)人=読書家」であることが多いと思うのですが、僕は小説をはじめ文字がたくさん並んだ本をほとんど読んできませんでした。しかし本屋さんにはよく足を運びました。手にするのは雑誌やガイド本。僕にとって本屋さんは幼い頃から好奇心を満たすために欠かせない場所だったようです。

中2の時、岡山の本屋での衝撃
小、中学生の夏休み、毎年僕は親元を離れてひとりで東京から新幹線に乗り、岡山県山間部の祖父母の家にいました。そこでは「野山を駆け回る」といったことは一切せず、朝からずっと「夏の甲子園」をテレビ観戦。夜はラジオで「MBSヤングタウン」を雑音なく聞けることに喜びを感じて過ごしていました。

外出は週に一度、祖父の車で行く津山市のスーパー。津山は後に僕の師となるフリーアナウンサー・押阪忍の故郷でもあります。その津山のスーパーに隣接した本屋さんで、僕は思わず雄叫びを上げそうになりました。

「ラジオパラダイス」

 



なんだこの雑誌は!ラジオの専門誌があることに衝撃を受けました。東京で目にしたことがなかったものに地方の小都市で出会ったことに、運命的なものを感じてしまいました。

推し活を豊かにし、進路を決めた雑誌
僕にとってラジオパラダイス(ラジパラ)は推し活に欠かせないアイテムとなり、月に一度の発行が待ち遠しくてたまりませんでした。アナウンサーやパーソナリティー、DJの経歴を目にして「日芸」の存在を知り、中学生の時に進路が決まりました。

インターネットの登場と発展により、実際に店舗を構える「リアル書店」以外でも偶然の出会いの機会は増えています。しかし僕が感じたような本屋さんでの衝撃が減ったとは思いません。著書の感想で「書店で運命的に出会った」というものを見聞きすることが少なくないからです。

→ その一例(沖縄の路線バス おでかけガイドブック)

リアル書店だからこそ
「韓国プロ野球―」を出したばかりの頃に本を手にしてくれた中高生が、今では社会人になりました。イベントや球場で顔を合わせ、観戦の思い出を聴くのが楽しみのひとつです。彼らは僕の本と最初にどのようにして出会ったのでしょうか?今度教えてもらおうと思います。

この1か月程、沖縄県内の約30の書店をまわってみて気がついたのは、「参考書と絵本は実際に手にとって、じっくりと選ぶ人が多い」ということ。子どもや若者に、リアル書店は必要なのだと感じずにはいられませんでした。

本屋さんを取り巻く環境は厳しいと聞きます。一方で書店員さんがいない新しい形態のお店も生まれています。街の空きテナントを見るたびに、「ここに無人書店できないかな」という妄想をする日々です。

リアル書店での「偶然の出会い」、これからもきっとありますよね。