前回、試合結果を記した通り、トゥサンベアーズが2001年以来、14年ぶり4度目の韓国シリーズ制覇を達成いたしました。ということで、トゥサンファンのみなさんに「おめでとうございます」とお伝えしたいと思います。と書くと、他のチーム、特に敗れたサムソンのファンに配慮がない?なんて思われるかもしれませんが、内容としては日本で韓国プロ野球に興味を持つみなさんに向けてです。今回、トゥサンが優勝したことをきっかけに思いが高まり、記そうと思ったことをご理解ください。
これまでの韓国シリーズではチャムシル球場をホームとしない数々のチームが、チャムシルで優勝を決めてきました。しかし今日はやっと、ホームチームのトゥサンが歓喜の瞬間を迎えました。選手、コーチングスタッフはもちろん、ファン、球団関係者、球場で働く人々が喜んでいる姿を見て(大騒ぎする人ばかりではなく、意外にも喜びをかみしめているも多数)、心の中で「おめでとう」とつぶやかせてもらいました。そして日本のトゥサンファンの方々の顔を思い出し、みなさんもさぞ喜んでいるのではないかと、今回、「おめでとうございます」と書いた次第です。
日本で持続的に韓国プロ野球に興味を持っている人の数は、そう多くないと思います。その中で、これまでに日本のキャンプ地や韓国の球場で、お声がけをくださった方々の多くが、なぜかトゥサンを応援している人たちでした。話しかけてくださった方々は、それぞれチームや選手への思いを語り、また、観戦ツアーやイベント、サイトへのご要望などお伝え下さって、それを聴いたこちらはとても新鮮な気持ちになりました。
みなさんと話をする毎に、この活動を続けていて良かったと思うと同時に、新たなアイデア創出にも繋がっています。そして何年前からか、選手名鑑の寸評やページ下部のはみ出しむだムダばなしを書くときに、ファンの方の顔を思い出し、「この選手について、こんなことを書いたらどう思うかな?」と思いながら本作りをしていました。単調な作業の中で、そんな想像はちょっとした脳の活性化にも繋がっているように思います。
当方のみならず野球を伝える仕事をする人は、地元球団や特定球団を応援するメディアの方を除いて、チームの勝敗、選手の動向に一喜一憂することはありません。特に当方は、会社の配属で野球に関わるようになったわけではなく、自ら野球を仕事にすることにしたので、人一倍、その点に気を遣ってきました。中途半端な態度はプロとしてダメと思ってのことです。
結果、完全にファンの感情(視線ではなく)のスイッチを切り、というか配線からざっくり引き抜きました。野球を仕事にしているというと、「うらやましい」という言葉をかけられることもありますが、その代償として無感情で野球を見ることを選びました。どの仕事にもあることだと思いますが、そんな「覚悟」を持って取り組んできました。そうすること中で経験を重ね、時に信頼を得たのだと思います。一方で失われたファンの感情は、トゥサンファンをはじめ、直接顔を合わせたファンの方々からたくさんいただきました。そんな触れ合いは、当方にとって肥やしになっています。その感謝の気持ちを今回、おめでとうと共に伝えさせていただきました。
今夏、10数年ぶりに野球ファンとして日本の球場に行きました。といっても5歳の息子が大好きな仮面ライダードライブに会わせてあげようと、試合前のイベントを主目的に訪れたのがきっかけです。今回封印を解いたことで、そろそろ私的にも球場を訪れようかな、なんて思っています。プレーを見て、拍手を送り、声を上げる。そこでの体験を今後に生かし、みなさんに反映させられたらベストです。
まもなく世界野球プレミア12が始まります。韓国野球ファンのみなさんはここぞとばかりに、韓国の選手についての知識を、お友達にひけらかしてください。トゥサンファンのみなさんは、野手5人、投手2人も代表入りしていて、見るのが楽しみですね。今後プレミア12に向けて、韓国の選手を身近に感じていただく告知が続きます。今年ももう少々お付き合いください。
とりとめないですが、トゥサンファンのみなさんおめでとうございます!
室井 昌也