タイのバンコクでは、朝8時と夕方6時に国王の歌が流れて、その瞬間はみんなその場で立ち止まる。


そんな情報を耳にして、私はさっそく朝のルンピニ公園に行ってみた。


公園についたのが、7時55分くらい。


おや、すでに、なんだか音楽が流れている。


荘重で格式のある音楽である。


ひょっとしたら少し早めになったのかなと思って、公園の中をたくさん走っているジョギングの方々を見ても、とくに変わったことはない。


もう少し待ってみようと思って、公園の入り口の、警察の方みたいなひとびとがいるあたりをゆっくりと走っていた。


いよいよ、その時刻が近づいてきたような気がした。


まだ、何も変化はない。


どうなるんだろう、と思ったら、「まえぶれ」みたいな音楽が流れてきた(ような気がした)。


でも、まだ誰も立ち止まらない。


女性のランナーのひとりが、腕時計を見た。


おっ、いよいよか!


午前8時ちょうどに、「ぴっ、ぴっ、ぴっ、ぴーん」と時報が鳴った。


時報が鳴ったすぐあとで、音楽が流れ始めた。


そうしたら、ほんとうに、公園の中を走っている人が、全員立ち止まっていた。


例外なく。


ぼくももちろん立ち止まる。


音楽は30秒くらいだったろうか。

流れ終わると、みな、自然に走り始めた。


一連の動作が、さりげなく、すっかり習慣化しているようで、それが逆に感動的だった。


ゆっくりと周囲を見たら、ミズオオトカゲがたくさんいた。


都心の公園にこんなにいるの、すごい!


ホテルに戻っていく途中、7時55分過ぎに音楽が流れていたのは、小学校だということがわかった。


公園の一角にそれはあった。


(クオリア日記)