ツーソンの学会はいつも周囲を散策するのが楽しみなのだけど、ホテルの敷地から出ていくときに車道を行くのが嫌だなあと思っていた。

 

今朝、珍しく曇っていて、おっ、これはあまり暑くならないからチャンスだと思った。でも、車道をどうしようと思いながらランニングを始めた。少しぐるぐる回るかと思ってホテルの駐車場を走っていたら、なんと、そこから少し先に「トレイル」があった。

 

Ventana Canyon trail。このホテルでの学会は3、4回めだと思うけど、これまでこのトレイルの存在を知らなかった。

 

やったあ! と思って走っていたら、サワロサボテンがだんだん出てきて、しかもホテルの敷地内にあるものよりもかたちも状態も良くって、おお!と思った。

 

スティックを2本持って歩いているおじさまがいたので、このトレイルはどれくらい続いているんだと聞いたら、丘を上がって山を超えられるけど、その先にも山があるとか言っている。

 

素敵!

 

走っていくと、本当に自然の中に包まれ始めて、心がとろけるような気持ちになった。

 

トレイルを歩いたり走ったりする人がずいぶんいるらしく、時折人に会う。

 

2.5キロくらい走って、水が流れているところに来たとき、今日はこれくらいにしておこうと思って帰り始めた。

 

戻りながら、サボテンのところで、「哲学対話」の動画を撮ろうと思った。意識やクオリアや宇宙について、サボテンに聞いてその回答に耳を傾ける。

 

まずは英語で聞いて、そのあと日本語にした。

 

途中で、おばさまに「この先にプールがあるのか?」と聞かれたので、「なんか水はあったよ」と答えた。

 

そしたら、そのおばさまが、「少し先に大きなガラガラヘビ(rattle snake)がいる。音を立てていた」と言った。

 

ガラガラヘビ!

 

あまり会いたくないなあ、と思いながら、そこからは少し慎重に走っていった。

 

時々立ち止まって、サワロサボテンに哲学的な質問をすると、サボテンが答えてくれる。

 

走っている間に、次は何を聞こうかと考える。

 

何回目かのサボテンとの「哲学対話」をしていた時に、なんか足がチクッとした。

 

むむむ? ガラガラヘビじゃないけど、なんだか火がついたように痛い。

 

あしもとを見ると、赤いアリが足のところにいた。

 

そういえば、おばさまに会う少し前に、赤いアリがたくさん出入りしている巣があって、ああ、赤いアリがいるなあ、とぼんやり眺めていたのだった。

 

あれか、あいつが噛んだんだなあ、と思って、靴を脱いでそいつらを払った。右足に2匹、左足に1匹いたような気がする。

 

走っているうちに、なんだか足がひりひりする気がしてきた。

 

それから、あっ、そういえば、あれって、ヒアリ(fire ant)っていうやつなんじゃないか! と思い至った。

 

アリゾナにヒアリっているのかな?

 

なんとはなしに、ガラガラヘビに噛まれるかわりに「ワクチン」としてあいつらが軽めに噛んでアリゾナの砂漠の洗礼を与えてくれたような気がした。

 

ホテルに帰って、検索してみたら、やっぱりいた!

アリゾナにはヒアリが3種類いるみたいだ。

 

アリゾナの砂漠での人生初体験。

 

今、学会会場で講演を聴きながらこれを書いているけれども、なんだかヒリヒリする(笑)。

 

洗礼は十分にうけたまわりましたので、あとは早く収まらないかな。。(笑)

 

(クオリア日記)