これは、名著である。

 

まず、羽生善治さんの人工知能についてのユニークな分析、洞察がある。時にテクニカルな細部にわたり、興味深い。しかも、随所に、オリジナルな発想がある。研究者ならば、プロジェクトの「種」のようなものを拾うことができるだろう。

 

次に、NHKスペシャル取材班の報道、ジャーナリズムからの視点、補足がある。羽生さんのシャープな切り口に対して、広い視点、社会的な観点からのコメントがちょうど良いハーモニーとなる。

 

羽生さんの文章と、NHKスペシャル取材班の文章が交互に置かれた構成が成功している。まるでシンフォニーのように、一つの響き合った世界が生まれるのだ。

 

私は本をお風呂で読むことが多く、本書も何日かに分けてお風呂で読み継ごうと思ったら、あまりにも面白くて一気に読んでしまった。もちろん、お風呂は途中で上がった。のぼせてしまうから。

 

面白さとは、「ほんとうのこと」であり、その「ほんとうのこと」に至る人間らしい道筋、タッチのことなんだろうと思う。本書には、人工知能についての「ほんとうのこと」の紛れもない感触がある。

 

人工知能の核心


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