月別アーカイブ / 2020年03月

 街を歩いていたら、3歳くらいの男の子がお友だちを追いかけようとした瞬間に、片足から靴が脱げてしまった。


 ところが、お友だちを追いかけるのに夢中で、靴が脱げたことに気づかない。


 靴が道路の上にぽつんと置かれたまま。


 そうしたら、同じくらいの年の男の子が、その靴を見つけて、「あっ!」と言った。


 「靴があるよ!」


 そう言って、靴を持っておいかけていった。


 靴が脱げたのに気づかないのも面白かったけれども、その靴を見つけてびっくりしている男の子の様子も面白かった。


 あれくらいの年頃は、すべてに発見があるなあ。


 ほっこり。


(クオリア日記)



 ランニングをしていたら、おじいちゃんと孫の女の子がバトミントンをしていた。


 女の子は、小学校に上がるかどうかくらい。


 あまりまだバトミントン慣れていないようで、ラケットを振っても、シャトルが当たらない。


 ようやく何回目に当たって、おじいちゃんの方に飛んだら、おじいちゃんが、わざとらしいくらい大振りして、シャトルを打ち返さなかった。


 それで、「ああ、失敗しちゃった」と大声で言った。


 女の子は安心したように笑った。


 どうも、おじいちゃんは、わざと失敗しているようだ。


 またシャトルが女の子の方に行って、女の子が二度、三度とラケットを振って、ようやく当たった。


 それがおじいちゃんの方に飛んでいったら、おじいちゃんラケットを振って、今度は思わず当ててしまった。


 シャトルが女の子の方に飛んで、女の子はまた空振りした。


 それくらいまで見て、私はその公園を通り過ぎてしまったが、あのあとも、きっと、おじいちゃんはわざと外して、「失敗した」と大げさに言って、少しずつ女の子に自信をもたせてあげるんだろうなあ、と思った。


 なんだか、とてもいい風景を見たような気がした。


(クオリア日記)


 街を歩いていたら、「通行止め」という看板があって、人は通れるんだけど、車は行けなくなっていた。


 なんだろうと思ったら、電線かなにかの本格的な工事をしていて、作業台に乗った人が電柱の高いところに上げられていて、そこにいろいろな機材を持ち上げていた。


 そうしたら、その様子を、少し離れたところにいる親子連れのうち、小さな男の子がしゃがみこんで、魅せられたように眺めているので笑ってしまった。


 お母さんと、さらに小さな女の子が抱っこされていて、男の子はそこから少し離れた場所で、しゃがんで見上げて、この世にこれ以上面白いものはないというような表情をしていた。


 きっと、男の子の目には、高いところで作業しているおじさんたちの様子が、ファンタスティックなサーカスのように見えたのだろう。


 見上げる、ファンタスティックなサーカスのクオリア。


(クオリア日記)

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