月別アーカイブ / 2018年03月



学習の本質はすでに脱学校化しているが、問題は、カリキュラムのユニバーサルアクセスと、達成の外部評価の標準化、そして人間の認知バイアスだろう。課題の見極めと鍛錬の自己管理ができる人にとって、学校はすでにオプションでしかない。世間においてはそうではない。そのギャップをどう埋めるか。


edXのようなMOOCにおいては、グレード(それをもしつけるならば)の計算が課題で、一つのやり方はお互いに評価するソーシャルなやり方だが、そこに、いかにinstructorの専門的視点を入れるかがポイント。すぐれた評価は学習の結果だから、bootstrapして評価者の評価も高めれば良い。


Apple PencilとiPadの組み合わせはすぐれているが、紙や鉛筆にはある「ひっかかり」の感覚があるとさらに良いだろう。ガラスの表面に描くというのはアーティストにとって最適化された体験ではない。しかし、ホックニーはそのようなことを気にせずにiPadアートを発表し続けている。


人工知能の危険さとしてしばしば持ち出される「ペーパークリップを作り続ける」人工知能は、評価関数の行き過ぎた単純化の一つの揶揄である。その領域から外れるためには、人工知能ではなく、人工生命を研究しなければならない。人工生命>人工知能。多様性、共生、生態学的考察。


スマートスピーカーは、音声認識の技術によって、設置された家庭(例えば数百万世帯)のリアルタイムの視聴率調査ができる。飼っているペットの数や種類もわかるし、話題になっている言葉のトレンドもわかる。いつでも起動できるということはつまり24時間の音声分析を前提にしている。



(毎朝、ツイッターでつぶやいていることを5日分まとめてお送りします)




 街を走っていたら、すごい「達人のおじいさま」に出会ってしまった。


 裏通りを走っていると、前にゆったりと歩いていかれるおじいさまがいらっしゃる。

 ぽかぽかとした春の陽光の下、いかにも、自分のペースで散歩をたのしんでいらっしゃるかのようだ。


 その裏通りが表通りにつながっていて、ちょうど私が出るのと同じタイミングでそのおじいさまも出るかたちになった。


 すると、ちょうど向こうからバスが走ってきて、停留所にとまった。ずっと前から待っていたのだろう、人々がそそくさと乗り込んでいる。


 そうしたら、最後の人が乗ったそのほんのすこし後のタイミングで、先程からのんびり歩かれていたおじいさまもまた、バスに乗った。


 まるでおじいさまが乗るのを待っていたかのように、バスのドアがプシュウという音を立てて閉まり、すぐに発進した。


 バスに乗る人だったのか!


 おじいさまが、全く急ぐ様子もなく、ゆったりと同じペースで歩いていたので、まさかバスに乗るのだとは思わなかった。


 ちょうど発車のタイミングでバスに乗り込み、バスの側もおじいさまが乗り込むのを待っていたかのように発車した。

 

 ありふれたようで、実はすごい達人のおじいさまのお振る舞い。


 まるで、ルートヴィッヒ二世が乗り込むのを待って発車する特別列車のように。


 

 私は奇跡を目撃したような思いで、今までよりも少し強く背中を押されながら、春の街を走っていった。


 (クオリア日記) 

第541回。

もーりーさん

こんにちは。


23才 女 社会人です。
朝いつも電車の中などで見て、発見をもらったりしています!

私はいま社会人一年目なのですが、
いわゆる不器用なタイプで、
オンオフが分けられない・要領が良くない・柔軟に考えられない…といったように、とても生き下手だなと思います。
自分の感情に付き合いながら外の世界へ対処できず、自分の気持ちを変形?させなければ世界に合わせて生きていけません。
要するに自分を殺しながら生きていると思います。
大人とはそんなものかとも思いましたが、このままだと自分が破綻する気がするのです。
学生の頃は出会いにめぐまれたおかげもあり、自分の感覚がよくわかったり世界が広がった感覚がつかめたのですが、
社会人になってからは会社にあまりなじめず、しかし働いていかなければならないと思うので、そのためか自分を守るためにどんどんモノトーン、心が固くなっている感覚があります。心がからからと砂漠のような、枯渇している感覚です。

自分の感情を殺しながら死んだように生きることが怖いです。何もできないまま心がすり減っていくのを見てるしかないのが怖いです。


こんな時うまく外の世界に対処しながら、自分の心を守っていくために
どう考えたら自分らしく器用に生きられるのでしょうか。
また、茂木先生ならこんな行き詰まった時はどうされますか?

ご意見、聞かせていただきたいです。よろしくお願いします。

ご回答。

もーりーさんは、もともと、感情がとても豊かな方なのだろうと思います。

今の環境に合わせるために、その感情を押さえていらっしゃるのだろうと思います。

それはある程度必要なことですが、過剰適応してしまうと、自由がなくなってしまいます。

会社はある程度仕方がないと思いますので、会社以外の「文脈」で、感情を抑える必要のない人とのつながり、交流を持てば良いのではないでしょうか。

感情の脱抑制で、自由の大きな空気をつくるようになさってください!!

nounandemo
 
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