月別アーカイブ / 2018年01月

 中心を外さずに。第91回。

 物質である脳からどのように意識が生まれるかという問題に対する一つのアプローチとしての「汎心論」(panpsychism)は、大胆な一歩のようでいて、実はtrivialという感じがしてならない。

 問題は、人間の意識のメタ認知のプロセスがどのように生まれているかで、それについてはある程度のスケールが必要とされる。

 「汎心論」は、メタ認知を通した意識の誕生の「素材」になるかもしれないが、肝心の創発の部分は扱えていない。

 「汎心論」自体が、情報論的に貧しい構造をしており、その是非を問うても仕方がないという気がする。


中心を外さずにcloseup.png

『四つ葉のクローバー』をありがたがる気持ちがマックスになったのは小学校2年生くらいの時で、きっかけは校庭で偶然見つけたことだと思う。

それから、いろいろなところに行って、クローバーがある度によく探していた。

次第にパターン認識も早くなった。今ならば人工知能を使うところだろう。

『四つ葉のクローバー』ラブになる適齢期のようなものがあるようで、時々、子どもが探しているのを見かける。

今となっては、「四つ葉のクローバー」そのものよりも、それを探していた自分の胸の中にあった「熱いもの」の方がかけがえなく思えるし、なつかしい。

(クオリア日記)


よつばのクローバー.png

第484回

ぽんぽこさん

私は今、腸を患って入院しています。(1週間程度の軽いものです。)
私は介護施設において介護職として勤務しています。普段は介護者として被介護者の日常生活を支援する私が、この度は支援される側になりました。(実際は普段より多くの高齢者や障がいを抱える方々からこそ支援されていますが、明確に"患者"として"看護を受ける"のには新鮮な感情を抱きました。)

4日間程絶食が続いてようやく重湯から摂取することが出来、翌る日には三分粥を食しました。三分粥には細かく刻んだ主菜副菜がついてきます。
少し忙しくしているようでしたが、快活な印象を受ける看護師が来て、
「久々のお食事ですね。」
と優しく相手を慮る気持ちを持って、私の前に配膳してくれました。
その瞬間にある時の記憶が蘇ったのです。

それは4.5年程前の出来事です。
私の働く介護施設で、ある高齢者(仮にOさんとします。)方が体調を崩し、数日間食事をする事が出来ませんでした。ただOさんの状態は回復し、今回の私と同様、徐々に食事することが出来るようになりました。
そして、ようやく形ある物を食すこと出来た時に、健やかで気前の良い介護職がOさんに言葉をかけました。
「Oさん!久々の食事ですよ!!どうですかお味は!?」
Oさんは、少し俯き、言葉に詰まりながら
「美味しいです…よ。」
と、何処か気遣うように、またはところてんのように仕方なく人工的でありながらも、自然な摂理において後押しされたかのようにして言葉を返しました。
その時、私はOさんは食べることに感動を抱いていないように感じたのです。(正しいとは限りませんが)そしてOさんがその粥を救い、口に入れた際の味覚なるものを"想像"し、大した喜びは得られないのでは無いだろうかと、ある意味では"想定"していました。

実際のところ私は久々の食事だと感情が昂ぶっていましたが、その記憶が過ぎり、少し間を置いてから匙を動かしました。

食べてみると、残念ながら感動しませんでした。それはきっと"想定"を超えなかったからなのだと思います。
想定し得るものからなかなか感動は生まれないのだと実感した反面、普段の介護における、介護者と被介護者との"気持ちの差異"たるものの距離が近付きつつあることは、介護職としても誇らしい部分であるようにも思いました。
その"想像"と"想定"なるものはどの仕事にも必要であると思います。
しかし、これを追求したいと考え、自身の人生や新たな知識からより学びを深めたいと考えておりますが、これがなかなか難しい。

脳科学や茂木先生のお話しになるクオリアとも関係のあるのではないかと思い、投稿させて頂きました。

ご回答

お大事になさってくださいね!
順調に回復されているようで、よかったです!

介護職の方が、「久々の食事ですよ!!どうですかお味は!?」と言ってくださるのは、思いやりの気持ちからだと思います。それに対して「美味しいです…よ。」と答えるのも、思いやりの気持ちでしょう。

お互いに思いやりの気持ちを持ちながら、完全には一致しない。そのようなすれ違いこそが、人間のコミュニケーションの本質であり、私たちの「日常」です。

つまり、食事がとれるようになったということに加えて、そのようなコミュニケーションのすれ違いが起こるということ自体が、健康が回復し、「日常」が戻ってきたということだと思います。

ようこそ、日常へ! おかえりなさい。

nounandemo
 
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