日本の地上波テレビは、どんどん劣化しているけれども、最近の「海外の日本食などの文化がダメだ」という押し付けがましい番組は、ほんとうにひどいと思う。
下品、愚劣、そして傲慢である。
外のものを取り入れて和風にするのは日本の得意なところで、カツカレーやナポリタンなどの名作があるが、これを「本家」から「そんなのダメだ」と言われたら、日本人はどうするのだろう。
もう25年くらい前になるけれども、ブラジルのブラジリアに行って寿司屋に入ったら、気持ちの良い地元の方が握り寿司を出してくださった。
そのサイズが、通常の「一貫」の半分になっていた。
一貫を最初から包丁で切って小さくしていたのである。
つまり、カナッペのサイズだ。
そういうのは初めてでびっくりしたけれども、考えてみたら一口サイズで食べられるから、合理的だとも言える。
それぞれの土地で、それぞれの文化を反映して独自の発展を遂げるのは当たり前で、昔は、日本のテレビだって、好奇心にきらきら満ちた目で、そのような外国の文化を取材していたものだ。
メディアとしてのテレビは中立的だ。
最近は、それを使う人たち、制作者たちの感性が腐っている。
かつて、開高健がイトウを釣りに行く番組や、川の流れにバイオリンの音が響いたり、都会の子どもが北海道の原野に行って一から生活をする骨太のドラマを制作していた放送局たちが日本にもあったが、その同じ放送局たちが、今、タレントたちが内輪受けして手を叩いて笑う、堕落しきった馴れ合い番組を垂れ流ししている。
外部性が全く欠けているのだ。