夏目漱石『吾輩は猫である』より
「行きませう。上野にしますか。芋坂へ行って團子を食いましょうか。先生あすこの團子を食ったことがありますか。奥さん一辺行って食って御覧。柔らかくて安いです。酒も飲ませます。」と例によって秩序のない駄辯を揮っているうちに主人はもう帽子を被って沓脱へ下りる。
吾輩は少々休養を要する。主人と多々良君が上野公園でどんな真似をして、芋坂で團子を幾皿食ったかその辺の逸事は探偵の必要もなし、又尾行する勇気もないからずっと略してその間休養せんければ成らん。
いきなりどうした!?
とお思いでしょうが…
猫でない吾輩は
探偵の必要を大いに感じ、
芋坂の柔らかくて安いという團子を
食べに行ったのです


【羽二重団子】
今では商品名がそのまま
店名になっていますが、かつては
「藤の木茶屋」といったそう。
風雅な別荘地だった根岸の
音無川のほとりに
文政2年庄五郎が開いた茶屋です。

そのきめの細かさから
羽二重のようだと賞され、
名前となった羽二重団子。
生醤油の焼き団子は
焼き目が香ばしく腹持ちもよさそう

渋抜きこし餡団子は
甘さ控えめでなめらかな餡が
きめ細かい団子によく合います

まん丸ではなく、丸めて少し平に
潰してあるのがまたいい

いくつでも食べられちゃう系の
お団子でしたよ

芋坂の探索は
お団子の調査で終わるかと思いきや…
思わぬ収穫がありましたよ


つづく…