散歩道にある公園の大公孫樹もすっかり葉を落として天辺に青空が透けている。
名所の燃えるような紅葉もわるくはないけれど、目立たない場所で人知れず散りつぎながら大地を覆っていく大公孫樹の黄落のほうが私の好みです。
散っても散っても尽きることがないかと思われるころが一番美しい。やがて次第に疎になっていく梢をうち仰いでいるとゆったりとした季節の移ろいを感じる。
ぎんなんは、老化防止によいそうで漢方薬では、肺の働きを高め、喘息を鎮める効果があると言われているそうだ。
神社などにある古木はたくさん実を落とすので、近隣の主婦たちが拾いにこられる。これもまた里の風物詩としてゆかしい。
近年植栽される園芸用の銀杏の苗木は、実が落ちるのを嫌われてみな雄木ばかりだという。
なんだか寂しい。
ミサの鐘ひびき黄落急ぎけり みのる