夢で見た神社を見つけ動揺を隠せない森川夫妻。

『夢で見たまんまの神社や…』

『おじいちゃん、これは神様のお導きやないかえ?夢のとおりに豊作祈願をせんと』

2人は夢のとおりにこの小さな神社で豊作を願う。そして家に戻った。
神社を2人が離れた時だった。神社の扉から見たこともない光輝く鳥が飛び出してきた。

その鳥は上空高く優雅に舞う。
そんな鳥にスズメやツバメなどの様々な鳥が集まってきた。
その鳥の群れは森川達がいる集落に向かう。

時間は深夜、外には誰一人いない。

鳥の群れが集落に到着。
群れにいた1羽のスズメが森川の作った案山子の肩に止まった。
その瞬間、案山子が眩しいほどに光った。すると案山子が人間のような状態に変化していく!

「あれ?なんだ・・・」

なんと、森川が作った案山子がしゃべりだした。

「君に力を与えたのは、私だ」

光輝く鳥も喋り出す。
この鳥は鳥の姿を借りた豊作の神だったのだ。

「何故、君に私が魂を宿したかわかるか?この四万十市はここ数年害虫や鳥、台風などの影響で不作に悩まされてる。そこで君らがこの田畑を守って今年こそ豊作にしてほしいのだ」

「僕がこの田畑を守る?」

「君には森川さんの愛情や正義がたっぷり詰まってる。それがあればこの田畑を守ることはできる」

「心配しなくても君の動いてる姿は人間の目には見えない」

肩に止まってるスズメも喋り出す。
スズメは豊作の神様が用意した森川の案山子の相棒と説明された。

今井、千、馬場、三浦の案山子もそれぞれ鳥が止まり、森川と同様に人間のような状態に変貌を遂げた。

「なんなんですか、僕ら?」

自分達の身なりを見て森川がボソッと口にする。

すると豊作の神は言った

「おまえらは案山子ぜよ!」

「かかし??」

5体の案山子の活躍が四万十市を救うとは案山子自身もまだわかるはずもなかった。。。

【森川さんの案山子〜かかし〜】
森川大樹郎(65)
集落のリーダー的存在。
妻と2人暮らし。
昔、父が作ってた案山子をイメージして作成。スタンダードな作りだが四万十川の川下りで使うイカダにも使われる頑丈な四万十竹を使用。
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【今井の案山子〜かかし〜】
今井健司(50)
10年前に妻に先立たれ男一人で農業を営む。子供はいない。曲がったことが大嫌いな男。頑固すぎるところが短所と言えば短所。
自分をイメージして作った案山子。藁を太めに束ね力強さを演出。着せてる服は長年着用してたもの。
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【千の案山子〜かかし〜】
千 昌志(29)
東京の一流大学を卒業後、大手広告会社に就職。億ションを夢見て働いてたが父親が体調を崩し、母親から戻ってきてくれとお願いされ家業を手伝うことに。頭脳明晰。口数少なめ。
案山子に着せてるのはサラリーマン時代に着てたスーツ。
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【馬場の案山子〜かかし〜】
馬場美智代(31)香(27)
姉妹で農業を営む。
女性ならではの繊細な農作業は集落の中でも期待のホープ。とにかくおしゃべりが好きな姉妹。
案山子は姉妹のトレードマークのオーバーオールを着用。姉妹曰くこの案山子は男性。
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【三浦の案山子〜かかし〜】
三浦登志郎(66)
息子2人娘1人。孫が7人。息子達は皆、四万十市を離れているが休みを利用してはよく帰省する。
孫にとにかくデレデレ。孫の言うことは絶対。
案山子に着せてるのは孫が持ってきた衣装。色々着用させ過ぎて渋滞が起きてる。案山子にしては派手過ぎると息子達に注意されるも聞く耳持たず。
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森川、今井、馬場、千、三浦はそれぞれ作った案山子を立て豊作を願った。

だが
その願いもむなしく
数日後、稲作が鳥の被害にあってしまう。

「やはり今年もダメか・・・」
落胆する町の人達。


森川は公民館に案山子作りに協力してくれた4人を集めた。

「こんな神頼みに付き合わせて申し訳なかった」

頭を下げる森川
すると4人が笑い出す

「そんな深々頭下げたら腰痛めるで!若こうないがやき森川さん」

「こうやってみんなで力合わせるって楽しいんだな。いつもは自分の田んぼのことしか考えてなかったからよ」

森川を責める人なんて誰一人いなかった。それを知って込み上げてくる涙をぐっと堪える森川。
いい歳して泣く姿を見られたくないから。


「しばらくこの案山子立てときませんか?この集落に仲間が増えた気がしてすごく良いと思うがです」

馬場の提案で案山子はしばらくそのままにしとこうとなった。

ある日の夜、森川は変な夢を見る。
内容は集落の近くにある神社の奥に入っていくと見たことない小さな神社があり、そこで森川が豊作を祈願する夢だった。

朝起きてその夢のことを妻に話すとその夢で見た場所に行ってみないかと言う。

「この町に住んでもう長いけどそんな神社は見たことないきね」
「行くだけ行ってみんかえ?散歩気分で」

そう言われ2人は夢で見た場所に行ってみた。神社の奥に人が立ち入るには不気味な茂みが。

「おじいさん、夢でみた場所はここらへんかえ?」
「この茂みに入って行った気がする」

頼もしい森川の妻はその茂みに入って行く。あとを追うように森川も入っていく。身長ほどもある草を掻き分けて進む2人。

やっと茂みが落ち着いた
その目の前の景色に森川は勝手に口が開いていた。

「あらま、夢で見た神社が・・・ある!」

  《続く》

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