「アーケードゲーム機の筐体みたいなリュックが欲しいなー」と思い調べたら、当時はなかったので、「じゃあ作るか!」と軽く思いついたのが数年前。

バック関係はSTUDIO696やグッズで沢山作って来たのでまぁまぁなんとかなるかなと思ったんですが、「実際にゲーム出来たら楽しそう」って思いついてからが地獄の始まりでした。

ゲームのソフトは作っても、コントロールパネル(以下コンパネ)を作るってもうハード開発の領域でして、過去25年間でグッズと名のつくあらゆる物を作ってきたつもりではありますが、こんなに大変だとは思わなかった。CAMPFIREでTANITAがバーチャロンのスティックコントローラーをCFしてましたが、当時は「すごいなー」ぐらいでしか見てませんでしたが、今となっては「よくやったよ…TANITA凄いわ…」と謎の尊敬をするレベル。

というわけで名称「ゲーセンバッグ」の開発コンセプトはこちら。

・アーケード筐体の形をしたリュック。
・タブレット差し込んでBTや優先で繋いでゲームが出来る。

です。

まずコントローラーの試作をするのにツテを頼ってDMM.akibaさんにお願いして試作品を作る事数回、この時点で1年ぐらいかかってる。そして量産の為に台湾の高雄に飛び現地の工場の方を紹介してもらいプレゼンしたり、リュック部分も作り直す事数回…。
気づくと3年以上が経過してました。仕事の合間にやってたからね…。

そんな訳で数年を経て無事に完成しましたゲーセンバッグがこちら。


EZvPll6UYAATTyA.jpeg


EZvPmUJVcAAYLfp.jpeg

レバーとボタンは国産のセイミツ製です。一回国内で調達して台湾に送りコンパネを組んでもらい、また国内に送付してもらうという。(この時点で関税が2回かかった。死にたい。)

EZvUqg8U4AIcja5.jpeg

コンパネの給電は、モバイルバッテリーを使用してます。USB TypeC対応です。
コンパネ部分は精密機器なので硬めのアクリルでカバーしてます。

Bluetoothと有線でタブレットに接続出来るようにしてます。BTだけで良いかな?と思ったけど「有線じゃないと遅延が」という格ゲーガチ勢の友人のアドバイスにより仕様に組み込みました(思えばここら辺からおかしくなってきた気がする)


EZvPnbaU0AEPhXd.jpeg

試作段階でコンパネ部分が安定しなかったのでアクリルで補強する台を作りました。
モバイルバッテリーや雨用の防御バリア(後述)の収納に使います。
実際にはなくてもそこそこ遊べますが、こちらの補強台があるとよりがっしりと遊べます。

防御バリアは、ガンダムの大気圏投入時のフィルムに着想を得て、この部分にバッグ専用のカッパを収納出来るようにしてます。なので突然の雨でも一応は大丈夫(の予定)

EZvTEH0VcAYk3_e.jpeg


EZvTFINVcAAf-bF.jpeg

ちなみにこの部分のデザインは上部は挟み込み、コンパネ部分はアクリルに挟む感じにしてますので、ご自分でオリジナルデザインを作ってカスタマイズする事が可能です。ボタンやレバーも市販されているので、そちらのパーツを購入してオリジナルカラーにカスタマイズする事も可能です。
(購入者にイラレデータを公開予定です。)




実際に遊んでみた感じです。

バッグのモニター部分に、Surface Goを仕込んで、SteamからKOFを落としてBT接続で遊んでみました。
2D格闘なら余裕で動きましたが、スト4などはマシンスペック的に辛い感じでした。

OSはAndroid/Windows/iOSで試しましたがいずれも動作確認は出来ました。台湾すごい!
ただiOSに関しては公式に認可が必要なので推奨動作環境には入れません。
(想像してたより高いので諦めた。こちらは認めないけど勝手にやってという感じですかね)
あとガジェット好きでこの世の技適警察の存在を知っていたので技適も取得済みです。


EZvPoP4VcAA_M8m.jpeg

使用できるタブレットは、最大12ぐらいかなと。13インチは無理でした。
あと弱点としてタブレットを収納できる部分が排熱構造になっていないので長時間のプレイは推奨しないです。ネタとして10~20分遊んだりって感じで使うと良いかなと。

EZvP0uAUMAIsT9e.jpeg

スタッフに背負ってもらいました。

EZvP1cRUYAEGbwv.jpeg

リュック部分も手抜きはなく、クッション機能や蒸れない工夫をしてます。

EZvPzntUwAEATyi.jpeg

「長時間背負っても疲れない」「縫い付け部分も強固に」という訳で参考に似たようなリュックを5個ぐらい買って研究しました。

余談ですが研究開発してる時に「これ本当に出来のかな…」「諦めた方が早くね?」と心が折れかけた事が7回ぐらいありました。でもその都度「いくら先行投資しとると思ってんじゃ!」という悪魔の囁きで完成まで漕ぎ着けましたわ…。

コンコルド効果」をものすごく体感しました。今ならわかる。コンコルド作った会社の気持ちが。

という訳でこちらのゲーセンバッグを130台作りました。
(150作ったけどトラブル対応用に20個残してる)

一番の問題はコストで、製造原価が当初よりだいぶカサ増しされてしまい、(主に送料や関税、試作品の製造費)「39,800円ぐらいで売れたら良いだろうな〜」と思ってましたが製造原価が計算したら50,000円超えるという…。まぁワンオフのオーダーで海外で150台だけコンパネ作ってバッグ作りゃそりゃそうなるよって話ですが…。

販売価格としては最終的に69,600〜79,800円ぐらいは正直欲しいトコですが、市場的には「そりゃ高えよ」って話で、59,800円で落ち着かせる予定です。(これでも赤字だが笑って許せるレベルにはなる)

まぁ一回作ってるのでもし、仮に万が一、希望者が殺到したら再販を考えなくもないですができれば一代で終わらせたいぐらい手間のかかる代物です。(再販の場合は、値段少し下がる可能性が微レ存。ただ改修点が多いとまた作り直しになるというね…個人でやるこっちゃねえよコレ)

あと組み立て。
コンパネ部分はある程度は組んだ状態で出荷は出来るけど、取り付け時に六角レンチ必須になります。
説明書がないので組み立て動画でカバー予定。あとアクリル板を貼り合わすのに接着剤が必須です。
コンパネ部分の組み立てはちょっと厄介かなー。


一番重要なのが販売に関してメーカー保証みたいなのが個人で作ってる物なので、いまいち心もとない。
購入する人は大枚払って買う訳ですし。

そこで人柱を募集します。

・twitterでレビューしてくれる方。
・動画で組み立てからレビューしてくれる方。(最重要)
・届いたゲーセンバッグをご自分でカスタマイズしたい方。
・discodeでゲーセンバッグコミュニティーを作りますんでそちらに参加して改修や感想を頂ける方(必須)

こちらを協力してくれる方に当初の理想的値段39,800円(送料税込)で20個程先行販売します。
人柱の皆さまのフィードバッグを下に、サポートのFAQや実際何が起こり得るのかなどの対策、検証を講じてから一般販売したいと思ってます。応募者多数の場合は抽選になります。

詳細は後日こちらのブログで記事を書きますゆえお待ちくださいませ。




それにしても海外からの反響が多くてびっくりした。
海外で販売ってのも悪くないんだが、サポートや言語の問題もあるのでナチュラルに販売するとクレームの嵐になるだろうから今の所は考えてません。
やるなら生産、サポート体制整えてからKickstarterで出します。じゃないと怖くて売れねえわw

でも俺は知っている。
Kickstarterに起案したら募集期間内に中国が似たような奴を安価に作って売りさばき、募集終了頃には「うちが最初ですよ」ってツラして回収まで終わってるという事を…。
世の中って難しいね。