弊社で新しい商品を作る際に、宮本武蔵をモチーフにしたことがありまして、そのとき漫画の宮本武蔵、原作は吉川英治によるものを買ったんです。作画はゴルゴ13で有名なさいとうたかを(昨年亡くなりました)の弟子だった神田たけ志、つまり劇画調の漫画です。商品作りの参考にという名目だったんですが、実は私は結局読んでなかったので、もう商品は作り終えましたけど最近読んでいます。ちなみに会社経費というものは仕事に関連していれば使えますので、漫画であっても会社経費で落とせます。旅行だって取材と称して経費を使う経営者は少なくないでしょう…日本はこれにより景気を押し上げ経済も成長してきた国、企業が経費を節減し始めたら衰退の兆し、現代、未来の日本の姿推(お)して知るべしかな、なんて言い回しが溢れるのが時代小説ですが、宮本武蔵もその一つ、実は私は時代小説を好きじゃないと思ってましたが、食わず嫌いでした。このたび漫画ですが面白いと気づかされました。…加えて、話の中でのセリフに使われる言い回しや言葉が現代にあっては新鮮で、漢字の読み書きにはそこそこ自信のある私ですが、こんな日本語もあるのだなと勉強にもなりました。覚えても現代で使うことはなさそうですが、日本語の美しさや格調の高さを感じられました。
弊社のある北九州市小倉から関門海峡を挟んで下関市が見えます。その関門海峡にある巌流島で二刀流の宮本武蔵と秘剣燕返しの佐々木小次郎が決闘したというのが有名ですが、私が読んだ漫画は宮本武蔵が大人の剣士、人間として成長していく(周りの人間に成長させられていく、とも言える)様を描いています。二刀流のチャンバラで相手をやっつけるさまを見てほしくて吉川英治は話を書いてはいない、むしろ武蔵の周辺人物が彼を諭(さと)し諌める形を取りつつも実は日本人を叱咤激励し、ときに批判していると私は読みました。ストーリーに一貫して流れるのは、ダメな人は多少腕力があっても武蔵などにやられる、安直に考えて何かをしても失敗する、つまりは読者に真っ当に生きることを教えています。私は漫画であれ小説であれ映画であれ、やはりそれが根本にないと読もう、見ようと思いません。鬼滅の刃だって結局はその人間としての真っ当さがテーマでしたしね…というか、そもそも創作される話で人々の心をとらえ惹きつけるものは全てそうだと言って良いと思います。そうするとそれら名作を鑑賞するには私たちも正しくないと心から楽しめませんよね。たとえば会社で横領する人、仕事でズルいことをする人、誰かを貶(おと)しめようとする人、傘を盗む人、そんな人たちは名作に触れてもちっとも楽しくないでしょうね…なので多分、こういう名作に触れずに生きているんでしょうけど、翻って考えると、いわゆる悪人は名作に触れていないゆえに品性の無い人間になったと言えそうです。ロシアには文豪と呼ばれる作家も多いのに、プーチン大統領は読んでないんでしょうね。彼は若い頃から柔道で鍛えたそうですが、多分人を投げ飛ばせばいいくらいにしか思ってないはず、宮本武蔵を育てたような良い指導者が彼にいたならば、いまの世の中は変わっていたと思われます。