月別アーカイブ / 2020年12月

年末の日本、直木賞と芥川賞の候補作品が発表され、テレビでは漫才の賞レース番組のM-1グランプリがありました。今回直木賞にアイドル歌手・加藤シゲアキの作品がノミネートされましたが、M-1と直木賞芥川賞のその注目度の差が、現代日本らしいところです。直木賞に興味がある大学生がいまどれくらいいるんでしょうか?最高学府、大学に所属するキミたちがインテリぶらないでどうするんだ!なんて私は危惧を覚えます。直木賞が大衆文学賞(すでに本として売られている作品)で芥川賞が純文学新人賞(文学雑誌に掲載された新人の作品)だということすら知られていないことでしょう。…いま日本では笑いを取れる人間が最も優秀という風潮があります。菅首相ですらそれに捉われガースーですと言ってみたり、医師会の会長ですらクリスマスはサイレントナイトでお過ごしくださいと言ってみたり(山下達郎の曲です)、なんせ人前で話す際はウケないとダメだという観念が世に蔓延しています。漫才が面白いからといって、素人が真似したりする必要はありませんよね。一方で私はむしろ今の漫才には政治的社会的要素が無さすぎだとも思います。
直木賞にアイドル歌手作家をノミネートすることも、ウケ狙いに近いものがあると思います。私も加藤シゲアキの作品を読んでいないのでそれについての批判は控えますが、ただ私は小説や漫才は本来競うものではないと思うんです(緊張してる芸人は笑えないですよね)。小説も漫才もどちらも高い技術が必要ですが、それの受け取り手である私たち素人の感じ方は点数化されたり順位付けがされたりするものではないでしょう。なので、直木賞芥川賞の受賞作家やM-1の優勝コンビは林真理子や松本人志ら審査員たちの感覚や好みに一番合致しただけで、人によっては異議を唱えたくなることは大いにありうる、そして自分の感覚や好みが審査員たちとどのくらい合っているか、あるいはズレているか、そこを楽しむのが大人ってもんだぜ、と私は思いますが、あなたはいかがでしょうか。ただ、直木賞芥川賞のノミネート作品を毎回全て読む人はいまの日本にほとんどいない、このことが出版業界の衰退を端的に表しています(もちろん私も読んだことありませんよ)。
さて今回、受動的か能動的かというタイトルをつけましたが、小説においては読者が必要で、漫才においては視聴者・観客が必要です。小説は本をめくったりときに読めない漢字を調べたり能動的に読まないといけませんが、漫才はソファーにもたれビールでも飲みながら受動的に聞き流したりできます。いま、日本人に小説と漫才どっちが好きかと問いかけたら、漫才と答える人が多数のような(私も漫才かな)、つまり私たち現代日本人は受動的(つまりラク)な行動を好む、すなわちコロナ感染対策についても首長とか政治家とかのトップに立つ人に何か言われないとわからない、決められない、むしろ決めてほしいという受動的な人が多数なのかもしれない、そう考えると菅首相のガースーです発言もお笑い要素がないと話を聞いてくれない国民に「寄り添って」のものとすれば、同情の余地及び一理あるのかなと思いました。…来年は楽しく笑える世の中になると良いですが、それでは良い年をお迎えください。

私はいま48歳ですが、いつからかわからないくらい前から、しょっちゅうできる口内炎に悩まされていました。確か、最初にできたのは小学2年生のとき前歯の下の歯茎に、あまりの痛さに診療所に連れていってもらい、そのことを日記に書いたのを覚えています(ひらがなでこうなえん、と書いて先生に赤字で口内炎と書かれたことも覚えています)。数年前、車を運転していたときに口内炎ができていたせいか頭痛が酷く、ああ歳だなぁオッさんだなぁ、これからの人生あと何回口内炎に悩むことやら、気が滅入るぜ…と思っていました。ちなみに私の両親や弟は口内炎なんて滅多にできないようで、家系的なものではなく、日々同じものを食べ生活を共にする妻(社長)も口内炎知らずですから、体質的なものなんでしょうね。
それがですよ、今年の夏頃から歯磨き粉をちょっと高いのに変えたら口内炎のヤツがぴたっとできなくなりました。さらば口内炎、いなくなると寂しいもんだな、なんてこれっぽっちも思いません。口内炎のない日々って良いですね…以前ネットの何かの記事で読んだんですが、300円くらいの普通の歯磨き粉の成分によく含まれている、ラウリル硫酸ナトリウムとやらが口内炎の原因となる場合があるとか…やはり私が使い始めたちょっと高級歯磨き粉には、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれていませんよ。このことが世の口内炎で悩む仲間の皆さんにも当てはまるかどうかはわからないですが、一度試してみてはいかがでしょうか。口内炎のできる原因はよくわからないとされるようですが、私の場合はラウリル硫酸ナトリウムだった、と思いたいところです。
コロナ蔓延の原因も、私の口内炎のようにはっきりとわかれば良いのですが、私たちはやれパチンコだ、夜の街だ、ライブハウスだ、飲み会だ、旅行だ帰省だと原因らしきことを見つけては騒いできました。でも結局はどれも全部、要するに人間の社会活動全てが原因なんですよね。そうすると私たちがそこに救いを見いだすとすれば、コロナ罹患者全員が死んだり重症を呈するわけではないという点、そこには何か要因があるはず、ラウリル硫酸ナトリウムを避ければ口内炎はできないといったような何かがあるはず、私たち人間は来年もそれを探し続けるんだろうな、来年もつまらない年になりそうですね…ただ私個人的には口内炎ができなくなったし、仕事や趣味など総合的に考えてそんなに悪い一年ではなかったな、と感じる年の瀬です。まあコロナについては体調を整えること、身体に悪いことをしないこと、マスク必須だ人混みはダメだとかの前にまずはそこからではないか、私の口内炎予防もラウリルの前に身体に悪いことを避けるというベースは必要だと思います。コロナのおかげで遊ばず飲まず健康的な日々という面はありますからね。

先週金曜の朝刊、うちは朝日新聞ですが、鬼滅の刃のキャラクターが紙面いっぱいの全面広告が4頁にわたって掲載されていました。コミックスの最終23巻の発売に合わせて朝日、読売、毎日、産経、日経の5紙に出した広告のようですが、「夜は明ける。想いは不滅。」とのコピーが添えられていました。コロナの混乱が続く今の日本人には沁みるメッセージです。こういうところが鬼滅の刃サイドの皆さんは上手いと思います。その日コンビニには新聞を求める客が沢山来たとか、新聞が売り切れるなんて普段はないでしょうし、下世話な話、儲かって良かったですねぇ。
ただ、ちょっと意地悪なことを言うと、コロナ対策の為にはコンビニ販売版にはその広告無しとすべきではありませんでしたかね。みんなが避けようと言っている密がコンビニに発生したことでしょう。そして、散々オワコン(←終わったコンテンツ、の俗語ですね)だとかなんとか馬鹿にされている新聞業界、ここで新聞を取っていない人たちを悔しがらせてみれば良かった、新聞は意地を見せても良かった、そんなことも思いました。今回の広告をきっかけに新聞買って読んでみたら面白かった、これからは定期購読しよう、そんな人が一人でもいたらいいなあと思います。なぜなら私は出版に生きている人間ですし、やっぱり紙に書いてある記事や文章をじっくり読む人間が増えることは世の中にはプラスになると信じる、なぜなら私は出版に生きているからです…。
さてその新聞、朝日新聞で最近、連載形式で書かれた記事なんですが、いま日本では中学生や高校生の女子が、家出してスマホで大人の男性と知り合い、とりあえず泊めてもらう代わりに性行為を受け入れるという事態があちこちで起こっているそうです。私はこういうことが現実にあるにせよ、新聞記事にする話ではないと思うんです。記事にしたところで事態が解決するわけではないし、結局読者に変な想像をさせ、あたかもグロテスクな小説でも読んだような後味が残るだけ、ああ、うちは幸せで良かったな、なんて感じてしまえばもはやそれは人の不幸を楽しんでいるようで悪趣味です。私が編集長ならこの連載はボツにします。
そして少し前、NHKではひきこもりをテーマにしたドラマを武田鉄矢と松山ケンイチの主演で放映していました。現代日本では行き場のない女子は家出し、男子は家にひきこもるというあまりにも正反対な問題の表れ方ですが、いずれにせよ、私たちは困っている若者を記事や番組のコンテンツとして消費してしまっているのではないか、そうではなく大人は悩める若者の夜が明けるよう全力で助けるべきではないか、私が新聞記者ならこのことを問題提起したいと思います。

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