月別アーカイブ / 2019年12月

先週末、山口県長門市へ妻(社長)と一泊旅行へ行きました。長門市という地はお隣の萩に比べて観光地としては地味な扱いですが、なかなか良い所だと改めて思いました(昔仕事で何回か来たことはありました)。山口県の北側にある町は青く綺麗な日本海に面し、なだらかな山々が清々しい、風光明媚な地で美味しい魚あり温泉あり、おススメです。妻(社長)が金子みすゞが好きなこともありその出身地である長門市を旅先に選んだのですが、ところで金子みすゞってご存知でしょうか。童謡詩人と呼ばれますが、最近ではあの東日本大震災の後、CMが姿を消したテレビでAC(公共広告機構)が繰り返し流した、「こだまでしょうか」が有名ですね。遊ぼうって言うと遊ぼうって言う。馬鹿って言うと馬鹿って言う、(中略)…こだまでしょうか、いいえ、誰でも。とか、他にも「みんな違ってみんないい」、とか。ちょっと不思議な言葉を繰り出す人です。
みんな違ってみんないい、そう、あのスマップの名曲、世界でたった一つだけの花を思い出しますね。作詞作曲を手掛けた槇原敬之氏はおそらく金子みすゞのことを知っているはずです。ナンバーワンにならなくていい、元々特別なオンリーワン…ただし、金子みすゞは元々、とは言ってないように思います。人間については努力して頑張ったならば、美しく花を咲かせたならば皆尊いものであり、素晴らしい人間に順位をつけることには意味がないと言っているのであって、ただ無為に怠惰に生きる人間までもそれで良いとは言ってない、と私は金子みすゞ記念館を訪れて思いました。頑張らなくていい、というのは頑張る人に失礼ですよね。頑張らない人にはそれなりの人生しかない、そんなもんです。
私たちが宿泊した温泉ホテルは、長門市の三隅町というところにあり、そのすぐそばに「香月(かづき)泰男美術館」がありました。全く知らない画家でしたが、その作品は1960年代頃のものとはとても思えない、洗練された素晴らしいものばかりでした。なので、作品をまとめた書籍、香月泰男の人生のマンガ、作品をあしらった一筆箋も買いました。
さて、同じ長門市が故郷の金子みすゞと香月泰男ですがその人生は対照的で、夫との生活に絶望し自ら26年で命を絶った金子みすゞ、創作のモチーフを得るために各国を旅行する際は必ず妻を伴ったという香月泰男です。生きとし生けるものに目をやり愛しく感じ、みんな違ってみんないいとは言いながら、夫だけはどうしても「いい」とは思えなかった金子みすゞと、その自由で伸びやかな作風を生み出す前には、戦争に召集され戦争が終わった後もシベリアに抑留され厳しい労役を経験した香月泰男、そんな二人の現代における評価は有名無名で言えば金子みすゞが断然ですしナンバーワン、この地を紹介するガイドブックなどでは必ず目に付きます。でもそれはいわば他人の評価であり推薦であり、私たちが自分の目で見つけた香月泰男美術館に入らなかったら、大げさですが人生の経験を一つ損していました。…人生、ナンバーワンだけを楽しんでいてはもったいない、よく知らないけれど地元の人に大切にされているような物事を見つけたら、触れてみない手はないもんだなあと感じました。来年以降もそんな風に生きていこうと思う年の瀬、それではみなさん良いお年を。

先週の東京出張中、四谷三丁目という駅近くに3泊したのですが、たまたま近くのバス停から行きたい場所へ直接行ける路線を発見しまして、バスに乗ったときの話です。ちなみに東京は実はバスを使いこなせばさらに便利に移動できます。案外乗らないって人も多いんですよね。ただ、バスって乗り場や行き先案内の不親切な感じは否めません。初めて行った場所でバスをスムーズに使うのは難しいと感じます。
…私は一応出版に携わっている職業柄、バスや電車に乗ったときに少々意識して見ているのは周りの人が何をしてるか、何を着ているか、車窓から見える風景、車内の広告、つまり観察です。あまりジロジロ見たりはしませんが、眼球を動かして見える範囲は見ています。このたびの東京でやはり思いましたが、東京は広告も凝った作りのものが多くなかなか勉強になります。
そんな私が今回の出張で乗ったバス、四谷三丁目から品川駅高輪口行きだったんですが、これがまあ、ハイソでセレブな街を行く路線でして、街並みの綺麗さは日本随一、そこにある各店舗も洗練されている店ばかり、行き交っている人がまた、男女問わずかっちょ良くて素敵な面々で、彼らはこの街の一員として風景を乱さぬよう意識してるとしか思えませんでした。東京でよく見かける、特に30代前半くらいの女性のヘアメイク、服、鞄、靴などのセンスの良さが本人の生物としての年齢が一番良いときと相まって、もはや人類史上完成の域に達しているとすら…と褒め過ぎたくなるくらい、いやあ、東京って凄いなあと感じました。
私がそんな風に感じていたら、私と同い年くらいのお父さんと小さな女の子がバスに乗ってきました。ああ多分お金持ちなんだろうなとか思っていたら、なんとですよ、絵本を読み聞かせ始めたんですね。はっきり言ってうるさいんですけど…という周囲の戸惑いもなんのその、絵本の登場人物や動物になりきるお父さん、頭大丈夫ですか…。絵本が子供の情操教育に良いとか聞いたら突っ走るタイプなんでしょうけど、少々街の素敵さを損なう行動だなと私は思いました。親子は西麻布というセレブなバス停で降りて行きました。
そして、その親子がいなくなった後、ふと私の前に座っていた目一杯素敵な雰囲気を醸し出している美女、スマホをいじり始め…路線バスの座席の背もたれは低いので、スマホの画面が丸見えなんですよね…申し訳ないですがつい観察してしまう私ゆえ、この美女は何に興味があるのか、いつものようにナチュラルに見させていただきましたらば!…「今日の宇宙からのメッセージ」って、何ですか、それは…頭大丈夫ですか?普通の新聞や雑誌、本を読んだ方がきっとアナタは幸せになれる、私からのメッセージです。
そんな東京出張を終え羽田空港にて搭乗を待っていたら、私の近くにいた同じ北九州行きに乗るお父さん、スマホのテレビ電話みたいな機能で小さな息子さんと話していました。…今から飛行機で帰るよ、ご飯ちゃんと食べたか、お母さんの言うこと聞くんだよ、明日何時に起きるのかい…なんだか私はジーンとしました。北九州の人に比べて東京の人はちょっとお疲れかな、と思いました。

仕事で5ヶ月ぶりに東京に来ています。私も10年暮らした東京、相変わらず皆あくせくせかせかイライラしつつもどこか満足感あり、それにしても人が多いですが、私が東京で暮らしていた終盤に人々の間で発生した、エスカレーターの片側(右側)を歩く人用に開けるかどうかの議論、結局右側を人々は今も歩き続けてますね。だってそうしないと人間が駅のホームに溢れて収拾がつかないし急いでいる人は本当に急いでいるし…身体に障害があるなど右側にしか立てない人がいるときはそのときそこにいる人々がなんとかする、それで良いしそれが出来るのが人間、なんでもルール、ルールではいけませんよね。ルールはルールとして決めるにせよ、ルールはときに紛争や対立の種になりうるのでなるべく人間が応用力で対処すること、それが一番だと思います。…比べてみたら北九州市小倉のなんとのんびりしていることか、東京に疲れたらぜひ小倉に来ると良いですよ、そんな変わりゃしないって、と書いてる私ですが東京の新宿にてここぞとばかり靴を二足買いました。小倉は男性向けの服や靴がいまいち無いんですよね。ユニクロとかABCマートとかならありますが…。
さて。最近の東京はトランプ大統領が来たり天皇陛下の即位の礼やパレードや式典があったり、こないだはローマ教皇がやって来たり、規制なんかも大変だったかと思われますが、それもまた東京の人が東京を誇らしく思ったりする要素でしょう。ただ世界各国から見たら、神道色の濃い皇室、カトリックのローマ教皇、プロテスタントが原則のアメリカ大統領、東京の人々は何にでも集まっては歓声を上げるね、ミーハーだね、という見方もあると思いますが、私はそれで良い、これこそが世界平和のためには必要だと思います。そして世界の権力者(あえて天皇陛下もこの括りに入っていただきましょう)たちが宗教と近しいことは人類の歴史において明らかですね。
ローマ教皇は、核兵器廃絶が必要だ、日本は唯一の被爆国として声を上げ行動をと仰いますが、私はそれは最大の核保有国であり唯一の使用国アメリカに行って言うべきことだと申し上げたいです。しかしローマ教皇はカトリックゆえ、カトリックとは袂を分かったプロテスタントが作ったアメリカには行きづらいところでしょう。アメリカの大統領が基本的にプロテスタントでないとなれないのは、カトリックだとローマ教皇という絶対的権力者がいるからだそうです。教派や宗派の違いが対立を生むのなら、宗教なんてやめてしまえば良い、あなたたち白人同士の対立や白人の有色人種への差別が世界にどれほど悪影響をばらまいてきたのか、私はローマ教皇なんてさほどのものとは思いません。日本人がもてなし尊敬している風の振る舞いをするのは単に私たちが大人だから、偉い人っぽいから何となくそうしただけですよね。キリスト教の内輪揉めを解消してから日本に来れば私は本気で教皇のお話は伺いましょう。日本人には宗教観がないとか言われても、それゆえに他宗教信者への攻撃性は弱い、そのことの方が平和を実践出来ていると言えないでしょうか。駅のエレベーターで混雑しつつもなんとかしている、そんな東京の権力なき普通の人々こそが言われなくとも平和な世の中を維持していると私は思うんです。

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