月別アーカイブ / 2018年11月

私が大学卒業後に入社した出版取次会社にいた頃、大阪駅近くの地下街にある某書店の営業担当をしていました。ひとことで言えば書店さんに書籍雑誌を納品(=卸す)する仕事であり、要望をあれこれ聞く立場でした。ちなみに納品に際して取次会社の倉庫から書籍雑誌実物を運ぶのは運送会社で、地下街の荷受場から台車で書店員さんと一緒に朝の通勤ラッシュのなか店まで運んでいたのが私でした。台車の車輪が一つ歪んでいて真っ直ぐ進まないので、右手だけ力を入れて運んでいたりしました。
この話は1996年頃のことなのですが、当時書店の重要な仕事の一つに、店頭にない本をお客さんのために取り寄せるという、客注と呼ばれる注文の処理がありました。今から考えればのん気な時代ですよね。しかもその客注品が入荷する日をお客さんの家の固定電話に伝えるという、場合によってはなかなかお客さんと連絡がつかなかったですし。それで、私たち取次会社の営業担当は、書店が受けた客注品の伝票を会社に持ち帰ってまず会社の倉庫に行き、そこでめでたく在庫があれば翌日の納品便に乗せ、無かったら…私が出版社に電話して注文するのです。で、書店にはいつ頃納品できるかをまた電話していたという、まあ人手と手間暇かけていました、客注に。
その客注処理の仕事は言うまでもなく現在の書店ではかなり減ったたことでしょう。パソコンやスマホを使わない高齢者などからたまに客注を受けたとしても、その処理方法はだいぶ早くなっているはずです。…客注の仕事を書店から無くしたのはご存知アマゾンですが、そのアマゾンが第二本社を新たに作る(本社は西海岸シアトルですね)との話がようやく決着したというニュースがありました。さて、どこに決まったかというと…なんと全米がズッコケた、まさかのニューヨークと首都ワシントン近郊アーリントンですよ。巨額の税収と雇用、裕福な社員の居住などの経済効果を見込んで全米各地で誘致合戦が繰り広げられ、ある州知事はアマゾン市を作ってベゾス会長を市長にします!とまで言ったのに、そりゃないよ、つまんねー!ってのが全米国民の声だそうで。アマゾン曰く、優秀な人材の確保のためには何かと魅力的な街、ニューヨークや首都が必要だとのことです。
書店から客注品だけでなく売上も吸い取ったアマゾン、良くも悪くも世界を変え続けています。多分アマゾンの社員は普段イノベーションだのクリエイティブだの心がけてるんでしょうし、ならばニューヨークに匹敵する魅力的な新しい街を作って斬新なライフスタイルをみせてほしかった、結局はブランドもので身を包み手垢の付いた遊びに耽る成金と一緒なのかとつまらなく思うのと、結局アマゾンの皆さん自身がネットショッピングつまんねー!街へ繰り出すぜ!と思っているんですね。

いまの国会で出入国管理法改正案が審議されています。現代日本は人手不足への対応が喫緊の課題とされていますが、少子化で若者が減り労働人口が…と言われます。
ところで人手不足の業界や業種とは、一体どこかというと一次産業の農林水産業や二次産業の製造業・建設業、それらの現場だったり、労働時間が長く薄給の介護だったり、いまの若者に不人気というより現代日本においてはお金を得るにあたり、自分があえてそれをする理由が見当たらない、もしくはイメージしづらい業種ではないでしょうか。いまの日本人の多数は、仕事というものは基本的にホワイトカラー的な業種、ITや金融や経理や企画や広告や販売、あるいは税理士会計士などの一見頭脳的な仕事、またたとえ親の生業が農林水産業だとしても子供は都会で会社勤務…を指向しており、そうすると肉体労働などは敬遠するのが自然な流れになるというもの、仮に現代に若者が溢れていたとしても彼らは一次・二次産業や介護などの業界は目指さないと思われ、いわゆる生産年齢人口の減少がその業界での人手不足の主だった要因ではないと私は考えます。
加えて、不人気業界はお金がそもそも儲からないという現状があり人件費もかけられず、全くもって苦境のさなか、それではさてどうするかというと、せっかく日本は経済的に優位にあるのだから、アジアなど発展途上諸国から労働者に来てもらえるようにしましょう、それは実に自然な発想だと私は思います(ただ厚生労働省の定める最低賃金を守れないような雇用主には厳しい罰則があって然るべきです)。
ここで、ただでさえ不安な医療保険や年金制度などの社会インフラに外国人が入ってきて大丈夫なのか、あるいは外国人が増えると犯罪も増えないか、そんなことから今回の改正に反対する人は少なくないでしょうが、ではこれからの日本人で一日中組み立て作業とかブドウ摘んだり牡蠣の殻剥いたりする人がいますか?アナタは息子さんや娘さんをいまの日本でそういった職業に就かせたいですか?…そんな問いかけを現代日本人に突きつけているのが、この出入国管理法改正案ではないでしょうか。3Kな仕事は外国人にやってもらうしかなくなった、そんな仕事に耐える精神が無くなったのが今の日本です。日本らしさが、風情が、伝統が、歴史が、文化が、それら古き良きものがなくなるから外国人を日本に連れてくるのは反対だなんて言っていてはもはや国が上手く回らない、社会インフラは外国人もいる前提に作りかえる、外国人とは仲良くしましょうと、安倍首相ははっきり言った方が良いです。
ただ、そう言う私も一点懸念するのは、外国人は当然日本のものに興味を持たず(←日本の本なんかまず読まないし、ローン組んで大きな買物もしない)、稼いだお金は母国に送るもしくは母国で遣うでしょうから、外国人労働者には消費者としての力が期待出来ない、すなわち結局日本を待つのは不況という厳しい未来ではないかということです。

日曜日の晩は翌日から仕事だし、気が沈んで楽しくはない、という人は珍しくないでしょうし、人間としてそれが自然ですよね。仕事が楽しくて月曜日が待ち遠しいって人がいたら、どういう仕事をしているのか教えてほしいものです。素敵な先輩に会える、とかは無しで。…そんな日曜日の晩は家でボンヤリとテレビでも、となるのでテレビ局としては日曜日の番組作りに力を入れるわけですね。
日曜日の晩と聞いてピンときた方もいるかもしれませんが、私の購読している週刊文春で日曜日の晩8時からの、日本テレビのバラエティ番組でヤラセがあったらしいとの記事があり、それがインターネット上でも取り上げられました。多くの人が明日から仕事だなぁと思いながら見る番組なのですから、なるべく屈託なく笑えるものが求められると思いますが、ヤラセをしていては見る側もなんだかゲンナリしそうです。バラエティ(楽しい)番組なのに制作しているスタッフは青息吐息なんだなぁ…と。ちなみに私は日曜日の晩にテレビを見るとしたら、7時からはメンバーが1人減ったことで今年注目された同じく日本テレビの番組を時々見ています。私が好きな魚介類の生態についてよく取り上げるのが良いのですが、やはり1人減って面白さも減りました。
ところでこのヤラセについて、大手メディアでは真っ先に朝日新聞が紙面とインターネット上で記事にしたのは興味深いです。少し前にいまテレビの視聴率は日本テレビの牙城をテレビ朝日が崩しているという記事を読みました。読売対朝日の全面対決が行われているわけですね。その番組司会のウッチャン(内村光良)が現在テレビ朝日に全く出演していなかったり、彼の妻が今年10月からテレビ朝日の晩10時からのニュース番組に起用されたばかり、という事実が何を物語っているのか、私の興味と想像がかきたてられます。
テレビでのヤラセが発覚した、これに対し皆の意見は様々ですが、大きく分けてダメとバラエティだしまあいいんじゃないの、に分かれています。いいんじゃないの派の意見としてはバラエティなんだし演出は当たり前、テレビなんて昔からそんなものだし他局の番組もやってるでしょ、面白ければ問題無い、そんな感じです。…そういった意見は自分があくまでも無関係だから言えることで、例えばいいんじゃないの派の方がラーメン店をやっていたとします。そしてその方のライバル店が最近流行りの街歩き的な番組でヤラセの行列を作り、有名タレントが日本で一番美味しいなんて連呼したら、面白かったからいいでは済まないですね。テレビ番組はスタジオから外に出たなら、そこにある現実は曲げてはいけないと私は思います。物事の善悪を考える際は、自分が当事者ならどうか、また、その物事を皆が皆同じことをやり始めたら世の中がどうなるか、私はそれを判断基準にしています。他の人もやってるからバレなきゃいいじゃない、世の中そんなものサというシニカルなそちら側に私は行きませんし、皆さんも行かないでほしいです。

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