私は昔から地図を眺めるのが好きで、大学の専攻は地理学、そんな私は例外として、普通の人に日本地図を描かせてみると、当たり前かもしれませんが当人に馴染みのない地域がうまく描けません。そのうまく描けなかったところに旅行に行けば楽しいかもしれないですよ。さてあなたはどの地域が描けないでしょうか?
私は広島県安芸郡安芸町(現広島市東区)の生まれです。私の今の実家(広島市西区)あたりや宮島はこの夏の水害や土砂災害はありませんでしたが、宮島花火大会が中止になったことを以前このブログで書きました。広島県は全国11位の広い県で、東京都の4倍の面積があります(ちなみに人口は4分の1以下です)。ただ、山がちで平地が少なく、山を切り開いた住宅地が少なくなく、土砂災害の危険性は高い土地柄です。また、広島と言っても瀬戸内海沿岸の町があれば無数の離島も有り、中国山地の山村あり、あるいは旧国で言うところの安芸(西側)と備後(東側)があり、それぞれ気候や文化、方言、生活様式などが異なります。なので広島県の人間に県内の自治体の位置を聞いたら、案外わからないと思います。広島出身のスポーツ選手などが豪雨で被災した方々に勇気を、なんてことを言っていましたが、内心あの辺のことはよく知らないんだけどね、なんてことも思っていたかもしれません。
日本において都道府県や自治体名というものは妙な力があると思います。私たち現代日本人は実際のところ県境や市区境など気にすることなく生活しているのにもかかわらず、物事がその境目を根拠にして決まったり進むことにあまり異議は唱えませんし、どこかの県で災害が起きればその県全体にマイナスイメージを持ったりします。私はそれらは地理に対する現代人の勉強不足、認識不足だと思っています。真偽曖昧な武将や英雄たちがいつ頃どうしたなんて歴史より、まずは日本地図をよく見ること、そうすれば実態を伴わない風評はなくなるはずですし(北海道旅行のキャンセルが多いようですが、その面積は九州の2倍以上あり…)、これだけ技術諸々が発達した世の中が古くさい境界に捉われることもなくなるはずです。そして情報はいくらでも得る手段がある現代なのだから、知らない地域のことを印象で判断するのはあまり賢い態度とは言えないでしょう。
さて、晩夏の頃関西では台風による被害があり、程なく北海道では地震被害がありましたが、東京でのニュースは北海道に偏りました。関西での台風被害が収まったとは考えられないのに、です。もちろんいまの災害報道のあり方については見直すべき点もありそうですが、それすなわち日本の首都東京で報道の職にある人は東日本を身近に思っている、裏返せば西日本には興味がないということの表れです。たしかに出身も東日本方面の人が多いのでしょうが、日本の首都で報道する立場にいるのなら、日本を地図の如く見事に描ける人たちであってほしいと思います。