月別アーカイブ / 2018年06月

あなたは本を読むのが好きですか?
そんな問いかけを誰かにするのなら、あなたはどんなものをよく読みますか、と尋ねる方が何かと現代的かつ話が広がるかと思います。私は雑誌や新聞、ネット上の一般人の言いたい放題のコメント(←内容はともかくもう少し誤字脱字が減れば…)をよく読みます。あとは新書などのノンフィクションは常に一冊は読んでいます。ビジネス書は内容はピンキリでしょうけと、私は読まないですね。横文字と妙な日本語が多いという偏見があったりして…。
日本において、本を読むことは小説を読むことと考えられているフシがありますよね。腕に覚えのある書店員がおススメするのは大抵彼らが良いと思う小説だったりしますが、私は小説はほとんど読みません。あえて好きな作家を挙げるなら、現代的ではないですが太宰治です。「お伽草紙」は是非一人でも多くの人に読んでほしい名作です。「人間失格」はさほどお勧めしませんけど。彼とよく対比される三島由紀夫は読んだことがありませんが、誰かこれはという一冊を教えてくれませんかね。
さて、私は出版物のなかでは地図が好きです。そんな私はかつて関西にいた頃、道路地図の出版社で営業、つまり書店を回って道路地図を売る仕事をしていました。地図を好きな人間が地図を売る仕事に就くというとまるで天職のようですが、世の中そうはいきません。その出版社は業界では中堅より少し下の方、出版している道路地図は関東エリアは比較的ラインナップが揃っているものの、関西エリアは心もとなく、それはまあサッパリ売れず…そしてこれから書くことが全てを物語るのですが、カーナビ無き時代に私の乗り回す営業車に備えられていた道路地図がなんと!自社の道路地図ではなく大手ライバル社のもの…まあ、私にも生活がありましたので石の上にも3年、頑張りましたよ。
…サッカーのW杯もたけなわ(セネガル戦は良い試合でしたね)、改めて出場国の場所を地図で確かめたりしていますが、地図を開くと私は試合と同じくらい地図に見入ってしまいます。世界は言うまでもなく、日本だって広い。気が遠くなるくらい、自分が見て回れない世界があることを地図は教えてくれます。自分が知らない町で自分が知らない人々がそれぞれの生活をそれぞれのルールや理屈や価値観に従って、喜んだり悩んだりしているんだろうなあ、そんな風に物事を小説的に考えてみたりするのですが、すなわち人間が実際に見聞きできる世界なんてごく僅か、それでは人生つまらないからこそ、出版物やインターネット、テレビは仮想的に私たちにさまざまな経験をさせてくれるありがたいものですよね。あなたの家に地図はありますか?下手な小説より面白いと私は思いますし、あと地図の巻末あたりに掲載されている人口とか産業の統計データがこれまた、見てて飽きないものですよ。

ここで私は競馬についてときどき書きますが、その競馬において今年限りでなくなるルールがあります。個人的には無くさない方が良いと思うルールなのですが、運営法人JRAによるとその理由の一つは初心者やライトなファン(←形容矛盾?)に分かりにくいので、とのこと。誰しも最初は初心者ですし、そこから色んなことを覚えていく楽しみや、多少の複雑さは物事の奥深さと表裏一体なはず、簡単とかわかり易いとか、ガキの遊びじゃないんですから、今回のルール変更は今ひとつ納得行かない競馬ファンも多いでしょう。まあ、それだけが理由のルール変更ではないのも承知ですけどね。
さて話は変わりますが、NHKの朝ドラを皆さんは見ているでしょうか。世間的には賛否あるドラマのようですが、テレビドラマとしてはそれすなわち制作者の思惑通りでしょう。…妻(社長)がけっこう熱心に見ているので私も何となく見ているのですが、先週主人公の2人が友情と恋愛感情の狭間で、別れを選ぶシーンでのことです。佐藤健演じるリツが、永野芽郁演じるスズメに向かって言いました。スズメ「私には難しいことはわからん(岐阜弁です)」、リツ「難しいこと、わかれよ」…そう、私が競馬初心者やライトなファンに言いたいことです。わかろうとしないクセに競馬という面白そうなことには参加してみたい人達の、何それ難しくてわかんな〜い、なんて意見が案外に世を変に動かしてしまうのでありますよ。
最近のマスコミの報道なども、全体的にこの傾向ですよね。小難しい物事の本質を理解することよりも面白そうな部分だけを見てあれこれ囃し立てる、国民生活に影響があることより、わかり易い悪役がいるニュースばかりを繰り返す、そしてその報道番組のキャスターにタレントや女優を起用する、キャスターをアイドル視する、まあそれこそ見なきゃ良いんですけど、ドラマでなくニュースですからね。
と、飲み屋で世を憂うオッさんみたいなことを書きましたが、やはりその難しいことをわかろうとする態度の強弱が人間の人生を分ける要素だと思います。難しいこと、面倒なことは色々ありますが、それらをクリアしている人も必ず一定数いるわけです。言い換えればそれらをクリアすればよく言う「友達に差をつける」が可能ですよね。難しいことから逃げるなというリツのメッセージを私はしかと受け止めましたし、それは現代社会へのちょっとした戒めに聞こえました。
…本日、このブログを公開する前に私が関西にいた頃馴染みのある地域を震源とする地震が発生しました。被害がさほど無ければ良いと思いますが、NHKはヘリコプターで上空から大阪のどこかで火災などが発生していないか鵜の目鷹の目、単なる野次馬のような中継でした。そういうわかりやすさこそが、報道には要らないと思うところです。

少女マンガ誌の「別冊花とゆめ」を休刊するとの発表が出版社からありました。かの有名な「ガラスの仮面」が連載されていたのですが、今後どうなるのでしょうか。紙のマンガ誌を買って読む人なんて、これからどんどんいなくなるであろうから致し方ないことですが、私らの世代には寂しい話です。
出版不況が言われて久しく、それはごく端的に言えばインターネットとスマホの普及によります。それらが無かった頃は情報は出版物に頼る部分が大きかったのであり、出版物になっていた情報は、いまやほぼネットにより得られるからです。また、娯楽に使うお金をスマホに取られているとも言えましょう。強いて言えば絵本は本という形になっていることに意味がありますが、現代は少子化、出版業界はまったく先が暗いです。
出版物は販売による売上と、もう一つの収益があります。それは雑誌にちりばめられている広告です。出版物にお金を使わない人が増えている現代は、出版物に出される広告も当然減ります。出版業界が好況の頃は、例えば女性向けのファッション誌なんかは出版社としては店頭販売価格はタダでも構わないと内心思っていたはずです。その方が読者が増えて広告料が上げられますしね。当時はひとつの雑誌でかなりの広告収入があったことでしょう。書店や流通業者にお金を落とさなくてはならない都合上、有料で販売していたと言ってもよいかもしれません。いまや廃れましたが、求人や飲食店の無料情報誌がやたらに街に溢れていた時代もありましたね。なにせ紙媒体が得る広告は減る一方でしょう。広告の場合はその価格も下がっていると思われます。私の購読している朝日新聞も以前なら掲載を断っていたであろう怪しげな健康食品などが一面広告になっていたりします。
…先日あるテレビ番組で、出版ジャーナリストを名乗る方が言うには、今や書店は本を買いに行く場ではなく、本を選ぶという体験を買いに行く場であると。なかなか上手いことを言いますよね。つまりこれからの世の中はお金とパソコンがあればなんでも手に入る、家にいながらにしてなんでも手に入る、それゆえに何かをわざわざするという行為や何かが出来るという技術に価値が発生するということです。その意味からもこれから最も伸びる業種は物流だと思いますが、いまは最も混乱している業種にも見えますね。
お先真っ暗に思える出版業ですが、過去の成功にとらわれず時代の流れを読みながらやりくりすれば、人が欲しがるものを作れば、なんとかなります。ただもちろん、書店でどんどん売れる、広告がバンバン入る、優秀な学生の応募が引きも切らない、そんなことは今後はないので、出版業での新しいお金の得かたを考えなければなりません。それが私の現状の仕事かなあと書くと時代の先端を行ってるみたいでカッコイイですが、現代において仕事とは出版のみならず、時代の先端がどうなっているかを誰もが常に考えなくてはならない厄介なものになっているのかもしれませんね。

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