月別アーカイブ / 2018年03月

来年四月入社の新人社員の採用活動が先日解禁されました。人手不足につき売り手市場とのことですが、ならば新卒に拘らず採用すれば良くないですかね。どうせ一定数は辞めるんですし。学校の入学試験と会社の採用試験を同じ感覚でやるのは社会的な損失が大きいと私は思います。優秀そうな人間を揃えたって、会社では役割というものがあり、全員にリーダーシップは必要ないですよね。優秀な人は色んな会社や業種、色んな地域に散らばった方が世のためです。定職に就けない若者をいかに減らすかが社会にとって大切な事で、就職できないのは自己責任なんて言ってるうちは経済は成長しませんし、社会の不安定さは増すでしょう。自分の会社と生活さえ良ければ、ではダメだと思いますよ。そもそも学校出たての若者が優秀かどうかなんてあやふやな事ですよね。会社や組織というものも必ずしも優秀な人がトップに立つとは限らないですし、結局は運とか縁とかが大きかったり、ともあれ、大企業は一人でも多く優秀っぽくない学生も含めて採用してほしいです。
さて、私はわが身を出版業界の傍流の片隅に置いています。いま不況の出版業界を志望する学生は減っていると思われますが、良いところをPRしてみます。
私が思う出版業の良さの第一は、生活必需品ではないことです。基本的には出版物はページ数に比例して定価がつけられていますが(有名な著者だから高いということはない)、安ければ売れるというものではありません。本当の価値や価格は読者に委ねられています。売れるかどうか曖昧なもの、人によっては全く不要なものを作るなんて、ちょっとカッコ良くないですか?前回のブログに現代では本を何冊読むかなんてどうでもいいこと、なんて書きましたが、やっぱり優秀な人は本をよく読むという傾向はありますし、出版業界は世の優秀な人を育てるインフラである、とは言い過ぎでしょうか。
第二は、マニュアルがないことです。製作原価に見合った売上の見込みさえあれば出版物は何を作ってもOKです。言い換えると正解を教えてくれる先輩はいません。もちろん出版物である以上、文章や記事が正確で正しくないといけませんが、それは出版業を目指すなら当然備わっているでしょうし、そこに鈍感ならこの業界には来ない方が身のためです。私はネット上の記事やコメントの誤字誤用脱字が気になって仕方ないですが。…話を戻すと、何を作ってもいい業界なんて、この高度にシステム化・分業化された現代でなかなか無いと思いますよ。繰り返しますが売れるかどうかが大事ですけどね。さあ、アナタも思いを自由にカタチにしてみませんか?!アナタがいなければこの世に存在しなかったものを創れるのは楽しいですよ。
最後の第三は、現代において希少性が高いことです。稀であることは良いことだと私は思います。私は他人がやらないことをやろうとする人が好きです。お先が暗い出版業を目指すなんていう若者を、私は非常に頼もしく思います。かつて出版やマスコミといった業界は大学生の憧れでしたが、それゆえに単なるミーハー、志なき業界人も多かったはずです。現代に出版業界を目指す若者は、必ず何か強い意志があるはずです。志高い若者よ、茨の道にようこそ!給料はたぶん安いですけどね!

最近、出版業界にとって気になるであろう二つのニュースがありました。一つはマンガの売上が従来の紙より電子版が上回ったということ、もう一つは一か月に一冊も本を読まない大学生の割合が過去最大との調査結果が出たということです。
マンガのその状況は商売上難しい局面であることが言えますよね。紙にせよ電子版にせよ、どちらも市場が小さくて商売としての旨味に欠けるわけです。どっちかにしてしまいたいけど、読者のニーズがどちらにもそれなりの理由や理屈があり、どっちも切って捨てられるものではない…ただマンガ作家が面白いものを描いてくれるのを待ち、漫然と紙の本にしたり電子版にしたり、行く末はどうなるのかわかりませんね。ただ最近流行るマンガはファンタジー(仮想)要素が強いものが多く、私の好みからはやや外れています。いまの世の中、読者が子どもなのか大人なのか、絞りづらいこともマンガを創作するのに苦労する要因でしょうね。子ども向けのマンガで配慮に欠ける表現があれば一国の大使館や元横綱の政治家から本気のクレームが来る時代ですし。
一方では大学生が本を読まないということですが、その理由の一つには、現代の若者はそこに見栄を張らないということがあるんじゃないでしょうかね。私が大学生だった20数年前くらいから徐々に崩れ始めたと思うのですが、本を読むのがカッコイイ、わからないけどポストモダン主義だとか、唯物論だとか、そんな本を背伸びして読んでみるという微笑ましい行動を若者がとっていた、それが現代ではなくなり、そして本なんか読まずとも手元のスマホで大概の情報は得られる、そういうことではないですかね。大学生が本を読まないことが嘆かわしいという意見もあると思いますが、実際に本を読んでいたかつての大学生である私達や私達の先輩世代が、嘆かわしくない素晴らしい人間性を持っているかというと、そうでもないですよね。私は現代の若者の気質や行動調査の結果を昔と比べることにあまり意味は無いと思います。こういった調査ってオジさんオバさんのしたり顔が見えて私は好きになれませんね。…活字はいまや本でなくとも読む手段が色々ありますから、いまの時代に本を何冊読んだかなんて、どうだって良くないですかね?まあ何にせよ、書店の行く末はかなり厳しいということには違いなかったりしますが。
しかしながら、電子版のマンガも読書にとってかわったスマホやPCも、電気や電池がないとダメってことが、私にはむしろ不便に感じるんですよね。電源がなかったら退屈で無力、そんな世の中には少々不安を感じます。

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