私が今年2月から住んでいる北九州市の小倉に旦過(たんが)市場というなかなか楽しい所があります。新鮮な魚や野菜などが安く、主に中高年の女性や飲食店の仕入れの人で賑わっています。私みたいな男がたまに1人で買い物に行くと飲み屋なんかの料理人と勘違いされ領収書をいるかとよく尋ねられます。
この旦過市場の地域的な特徴のある食材としては、フグです。私が釣りをしていると釣れたりするヒガンフグというフグが生きたまま泳いでいたりもします。フグといえば下関、そこから小倉は近いですから、よく流通するんですね。さてフグにはご存知のように毒があります。そしてこのことはあまり知られてないように思いますが、食用として流通するフグにも種類があり、種類によって毒のある部位が違います。詳しくは厚生労働省のHPに一覧表で示されていますが、筋肉、つまり身の部分に毒があるフグはおらず、皮、卵、精巣、肝などの部位に毒の有無の違いがあります。…フグを調理するには免許が要りますが、つまりそこで必要とされる技能はフグをさばく前に、フグの種類を見分ける能力です。どんなに包丁さばきが上手でも、例えばトラフグとヒガンフグの見分けが付かなければダメというわけです。
さてこのフグを取り巻く、食べるにあたっての過程はこれまでの経験を集約させた人類の叡智と言いますか、昔々の人々が食べてみては毒に中(あた)りの繰り返し、さすがに同じことをしていてはアホだと思い、人が死ねばそこから様々なことを分析したり記録したり、その結集が現代のフグ調理師免許であり、漁獲や流通の過程に課される規制です。かつて佐賀県では養殖フグの無毒化を成功させたとして、日本で唯一のトラフグの肝が食せるフグ特区になろうとしたけど国が許可せず頓挫、なんて話もありました。これについては佐賀県の見識を私は疑います。生命というものに敬意と畏怖が足りないでしょう。行政がやるべきことではありません。
このフグについての日本の環境や行政の仕組みはよく出来ていると思います。起こりうる事故は極力防ぐ、それこそが行政の仕事です。そして、私は交通事故とフグ毒による事故は発生要因的に似ていると思うんですよね。先日の滋賀県大津市での保育園児が犠牲になってしまった事故、私はあの場所に保育園設置を認可した行政に責任があると思います。あの事故が起きた交差点、気づいた方もいると思いますがラブホテルがあります。つまり、元々は学校などの教育施設が無かったからそこにラブホテル(←開業には風俗営業法で規制有)がある、すなわちあまり人通りがないような地域、場合によっては気もそぞろなカップルが乗った車が行き交う道路、そこに保育園設置を認可したのなら行政は保育園児が交通事故に遭わないように道路や信号に万全を期すべきではなかったか(小学校ならスクールゾーンとかありますが…)、私の勝手な推測では事故を起こした女性は物珍しい雰囲気のラブホテルに余所見、気を取られたのではないか…なんて思います。日本はフグ毒事故防止のために講じている対策に比して、交通事故防止の対策はやや甘いと感じさせられました。