4月になり、弊社のある界隈でも新入社員らしき若い人を見かけました。私の会社人生の始まりは、京都市から大阪市への通勤を伴っていました。学生の頃から住んでいた京都市を離れることはせず、片道1時間以上の電車通勤を選びました。今思えば大変でしたが、近畿地方ではそんなに珍しい通勤形態ではないということも付け加えておきましょうか。JR、阪急、京阪の3つの鉄道会社が京都と大阪を結ぶ路線を持ち、特急や急行、快速といった名称の電車が30分くらいで両都市をつないでいます。
私はJRで通勤していたのですが、京都と大阪の中間の高槻(たかつき)市のあたりで川(←さほど大きくない)がありまして。京都から向かってその川を越える前のあたりは田んぼが広がっていて、そこにある集落は時間が止まっているような佇まい、それが印象的でいつも私はなんとなく意識的に見ていました。そしてその川を越えると現代的な住宅地がありました。このコントラストを作ったのは川です。川を挟んで町の様相がまるで違う、そしてもう一つのポイントはこの川には両集落を行き来する橋が無いということです。太古の昔から、この川を挟んだお互いの集落には交流が無かったのではないか…京都市民はこんなにも大挙して毎朝大阪に移動してるのに…そんなことを考えながら通勤していました。
北九州市に住み始めたいま、統一地方選挙を前に北九州と下関の間に新しい橋を架けるかどうかが争点の一つであることを知りました。北九州のことなど何も知らなさそうな、新潟県選出で国土交通省副大臣の国会議員が自らの発言で職を辞されましたが、これでその橋が無駄なものとレッテルを貼られそうで心配です。
この北九州と下関をつなぐ道ですが、現在のものは北九州市の門司(もじ)という町から関門海峡の地下を通る関門トンネルと高速道路が通る関門橋があります。北九州市という町はかつての小倉、門司、若松、八幡、戸畑の5市が合併してできた町です。それゆえに北九州市としての一体感に欠ける面があり、下関市と交流しているのは門司、小倉だけのように感じられます。そして件(くだん)の新しい橋は小倉の北側から下関へ架かる予定なのですが、だいぶ若松、八幡、戸畑に近い側なので、造れば新しい人と物の流れができそうです。本州の中核市と九州の政令指定都市をつなぐ橋なんですから、無用の長物にはなろうはずがありません。
かつて製鉄で栄えた北九州、捕鯨で栄えた下関、お互い人口は減り厳しそうな話(昔は良かった…)ばかりです。無駄と言われがちな公共工事ですが、いまの閉塞感漂う北九州・下関には新しい橋を造った方がよい、そしてこのへんの人間はもっと他の町を見るべき、橋を渡って新しい世界を感じるべき、私がかつてJRの車窓から見た、時間が止まっているあの町のようになってはいかんぞと思います。ちなみに安倍首相は下関市が地元ですが、合併で下関市に組み込まれた町出身、麻生副総理の出身は北九州市ではなく福岡県飯塚市、選挙区も小倉ではありません。橋にそれほどの思い入れはないはずですよ。