某日、家で晩御飯食べながらテレビを見ていたら、長崎県の某地方で獲れるアジがブランドアジとして高値で出荷されていて、漁師さんも漁獲にあたっては一本釣りで魚体には直に手で触らないとか、釣れたアジをすくう網も魚を傷つけないゴム製であるとか、何せ手間暇かけてブランド価値を守っている、その目的は漁師さんの収入向上のため、という内容の番組でした。番組では説明されていませんでしたが、そのアジはいわゆる黄アジで、体色が金色がかっており、私も食べたことがありますが確かに美味しいです。その黄アジが普通のアジと違うのは、通常アジが回遊するところを彼ら黄アジは回遊せずに近海に居つく、つまり肥満的体質となり脂が乗る、それが人間にとって美味しい魚となるというわけです。しかし、その長崎の漁師さんですが、結局ブランドアジは漁獲量が減っており、決して収入は増えていないとのこと(経費もかかってるでしょうしね)、私に言わせれば辛辣ですが、くだらないの一言に尽きます。
私は釣りが好きで魚介類が好きで、もちろん食べるのも好きで魚を料理するのも好きですので、日本の漁業が繁栄してほしいと願っていますが、特定の魚をブランド扱いするのは嫌いです。そこにあるのは自分達の魚だけ売れればいいという態度、ブランド魚なら高値で買い取ってもらえる、闇雲に美味しい美味しいと食べてもらえるという下衆な期待、ブランド魚以外は雑魚という思い上がり、そんな人間の都合が垣間見えて私は魚のブランド化には大いに反対です。獲れた魚はなるべく食べる、そこが人間の知恵の見せどころだと私は思います。長崎のそのブランドアジの漁獲が減っているのはブランド化により漁師さんがそのアジばかり獲るからに違いありませんし、黄アジでなければ獲れてもガッカリなんてやってることが支離滅裂、海と共に生きる漁師さんたちがすべきことは海からの恵みを大切にすることであり、海と魚のことを知らない一般の人間に魚介類全般の美味しさを伝えること、決して魚介類の高級低級の区分ではないでしょうと、私は訴えたいのでありますよ。
もう一つ、私が今回書いておきたいのは、日本人の魚食文化は地方地方でかなり異なるので、どの魚が美味しいとか不味いとか、一概には言えないという事実です。私は広島で生まれ、京都の大学に通い、大阪に10年くらい通勤したのち東京に移り、現在に至ります。結婚して13年くらい経ちますが、妻(社長)の実家がある福岡県大川市にも年に3度は帰省しています。その4地域の魚食文化を見てみると、魚屋で売っている魚介類の種類はだいぶ違いますし、あとこれは結構日本人において重要なことだと思うのですが、醤油が違います。各地域で作られる魚料理の味は、本来はその地の醤油があってのものです。場合によっては各地域独特の薬味もあるでしょう。結局、日本人は自分の出身地の味を一番だと思うものですし、その味はその地で味わうのが一番でしょうから、魚をブランド化して各地に出荷するなんて、魚のことをわかっていない人がすること、長崎のその漁師さんには獲れる魚をなるべく美味しく食べる方法を世に広めてほしい、その方が楽で収入も増えると思うんですが。