生活習慣病と呼ばれる、高血圧や糖尿病などにはそれぞれ学会があります。その学会が共同でスマートミール制度というものを今秋始めるそうです。5月10日の朝日新聞に記事が載っていました。
どういうものかと言いますと、生活習慣病の予防には食生活に気をつけることが大切という観点から、外食や出来合いの弁当や惣菜を利用することが多い現代人のために、学会の基準を満たす健康的な食べ物を提供できる飲食店や事業者を認証するという制度のようです。本来は自宅でご飯を作ることが望ましいながら、もはや現代人にはそうも言ってられないからということです。まあ、確かにそうかもしれません。
現実的に考えると、そこにまずあるのは食べ物を売る商売という大前提です。そのスマートミールが売れるものであれば、もう少し言えば利益が出るものであれば、それはうまくいくと思います。飲食店が大手企業のチェーン店であれ、個人経営の定食屋であれ、赤字になることはやらないでしょう。しかし、学会としては日本人全体の健康に寄与したいでしょうから、日本中にあるチェーン店やコンビニの事業者が手を挙げてくれることを期待しているものと思われます。将来の日本が外食やコンビニ弁当を食べてばかりでも健康でいられるならそれは良いことなのかもしれません。
さて、私は普段特に夕食ではチェーン店に行きませんしコンビニ弁当は極力食べません。それは健康を考えてというよりも、単純に美味しいと思わないからということ以上に、これから書くことが今回の眼目なのですが、私は他人と同じものを食べることがつまらないと思っているからです。
人間が毎日何をどう食べるかということは、人間各人のアイデンティティ、つまりその人がその人として生きることであり…とまで言うと大袈裟ですが、やはり現代人は食べることに無頓着だと思います。安ければいいとか簡単に済ませられればいい、ゴミが出ない方がいいとか、なぜそんなに食べることを面倒に感じるのか、毎晩のご飯でいかに美味しいものを食べるかばかりを考えている私には理解ができません。そしてよその誰かと同じ味のものを食べていることは、それすなわちペットフードを与えられている犬猫や家畜と変わらないように思います。たとえば牛丼を食べるにしても自分好みの味で、生姜がきいたりしている自作のものの方が美味しいはずです。
日本人の生活習慣病を防ぐのも大事ですが、出来合いの食べ物を買ったり与えられないと食事ができない人間が増えているということは人類として大きな問題ではないでしょうかね。晩御飯くらいは少し手間をかけても自分なりの味を求める余裕のある人生、それがいま言われる働き方改革なんかにも通じるところではないかなと私は思います。