この物語は、4/15 O-EAST SHE IS SUMMER "Where is my DOOR?"で朗読したものです。
(作・赤澤える)

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"my DOOR"

ーPART 1ー

世界のどこか、森の奥。 
ひとりの少女がふと歩みを止めました。 
 
目の前には無数の扉。
ここにいるのは少女だけ。 
開く扉はたったひとりで決めるのです。 
 
このままここにいることも、
来た道を引き返すことも、 
今ならきっとできるでしょう。 
 
しかし少女は心を決め、
ピンクの扉に手をかけました。 
 
開いた先には、初めて出会う女の子。 
 
「私がどこでも連れてくよ」 

彼女は嬉しそうに少女の手を取り、 
街を歩き始めました。 
 
「この街の地図を作ろうよ。 
女の子!輝け!!って叫びながら、 
感じるままに行きたいところに行ってさ! 
そんな場所で生活するなんて最高でしょ? 
これこそ探してた気分よ。 
もうどこへも行けるよ、私たち!」 

 
とても面白くて、魅力的な、新しい女の子。 
 
知りもしない気持ちが浮かび、 
少女の心ははずみました。 
 
ふたりは歌ったり、走ったり、 
新しい景色をたくさん見たり、 
しばらく楽しく過ごしました。 
 


次はどこへ行くのだろう。 
 
少女がわくわくしていると、 
女の子は急に手をほどきました。 
 
「なんだか疲れちゃった。
とりあえず一休み。 
また会おう。
待ち合わせは君のいる所でいいよね」 
 
自由奔放な彼女に驚く少女でしたが、 
ふと周りに目をやると、 
そこにはまた新たにたくさんの扉が。 
 
このままこの子といるのも楽しそう。 
 
でも、飛び出したその先に
本当の道が開く予感もします。 
 
少女は、気ままな背中にそっと手を振り、 
茶色の扉を開きました。 

 
 
 ーPART 2ー

茶色の扉の先にいたのは、
少女の恋人や友人たち。 
愛にまつわる詩に夢中になっているようです。 
 

【宇宙に吸い込まれ光る 気持ちがいい世界  
 
いま 好きになれそうだ 
 
まるでふたりだけのステージ 
 
キミと永遠に 愛を踊るの 】 
 

光り輝く詩が聞こえてきます。 
 
少女がうっとりしていると、 
恋人が愛おしそうに頭を撫でてくれました。 
 
【今日もあの頃の君は胸の中  
 
消えゆく君を想ったら眠れなくなるんだ 
 
夜が更ける 今日も終わるよ  
 
はぐれないよう ほら手を繋ごうよ  
 
強く手を握りなおすんだ】 
 
今度は、揺れ動く恋心の詩。 
少女は思わず恋人の手を握りました。 
 
【一つの街の中で  何度でも僕らは目覚める   
 
いつか、またふたりに会おう

明日がどうか少し輝くように  
 
譲れないこの結末に栞をはさんでおこう 
 
どうか 気づかないでね】 
 
詩を通して、様々な愛が少女に流れ込みます。 
 

【 毎日は飛び立って 風をおこしてる  
 
熱狂が君のこと待っている ずっと 
 
気づいてしまった予感を止められはしない  
 
走り出せる 君だけの力で  
 
はみだしちゃおう 
 
さぁ、次のドアを開けてごらん】 
 
胸が熱くなる詩、 
その最後の言葉にハッとして辺りを見回すと、 
そこには緑の扉が。 
 
少し躊躇している少女に気づいた恋人は、 
その手を優しく引き、 
扉の前まで来ると強く抱きしめてくれました。 
友人たちも集まります。 
 
もう怖いものなどありません。 
少女は新たな扉を開きました。 


 ーPART 3ー

緑の扉は、ステージに繋がっていました。 
 
眩しく輝くスポットライト。 
少女だけでなく、
そこにいるたくさんの人を照らしています。 
 
なんだか知っている顔ばかり。
愛おしい気持ちになります。 
 
少女はこれまでのことを舞台の上で語りました。 
 
ここまでずっと歩いてきた道、 
自由な女の子と過ごした時間、 
愛する人のぬくもり、 
力をくれた言葉たち、 
自分の手で開いてきた扉、 
そして、その扉の向こうに広がる新しい世界。 
 
「あなたの目の前にもきっと扉が現れる。 
その時、そこにいるのはあなただけ。 
開く扉はたったひとりで決めるの。 
ずっとこの場にいることも、 
来た道を引き返すことも、きっとできる。 
でも、あなたにならできるはず」 
 
少女は、こちらを見つめる愛おしい人たちに、 
そう伝えました。 
 
全てを語り終えた少女に人々は拍手を送ります。 
 
「もう私は、出口であり、入口である、 
次の旅路への扉を開けているよ。 
 私たちはこれからも繋がっていく」 
 
少女は最後にそう言い、 
目の前の扉をじっと見つめます。 
 
鳴り止まない拍手の中、 
みんなに見守られながら、 
少女は水色の扉をくぐりました。 
 

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Photo:Hiroshi Takano