作・演出の藤沢文翁君との出会いは

2011年 ヒプナゴギアという作品でした

 

今ほど「朗読劇」が盛んではなく

(ある事は、あったけれど

間違いなく彼が火付け役)

よほどの事がない限り人前を避けている私に

山寺宏一氏からのお誘い

 

「とにかく本がいいんだ、一度読んでみて」

 

そして、自宅に戻り、

台本に目を通してほんのわずかで

私は、ヒプナゴギアの世界に没入していました。

 

この世界を肉声にしたい気持ちと

人前を天秤にかける間もなく

出演を決意していたのです。

 

そして最終リハーサルの日は、

忘れもしない

東日本大震災勃発の日でした。

ここまで大きな被害とも思わず

なんとかみんな現場に集合

みるみる包まれていく悲劇に心も固まり、

上演も危ぶまれる中

 

もともと

盲導犬への支援チャリティーを含んでいた企画を

地震被害への寄付に変更し、上演を決めました。

 

ところは日本橋

電車も止まり、帰路を絶たれた中

舞台スタッフが方向が同じだからと

私と藤沢氏を

彼女の車に乗せてくれました

 

途中、皇居周辺でまさかのガス欠

「だいじょうぶです、

私車をなんとかしますから、

どうぞお二人は下りてください、

すみません」と

 

カートゥーン並の展開に

藤沢君と私は、

まっくらな皇居にポツンと

ほおりだされました。

 

必死と気まずさの中、

とにかく二人は歩く決意をして

方向もわからない中で、

藤沢君の携帯の情報と

「僕この辺、散歩で良く歩くんで」という

道への熟知の、力強い言葉を頼りに

動き始めている電車を目指すこと…

どれくらい?

 

この舞台がはじめましての二人ですが

同じ不安と、危機感の共有は、

人間的距離を縮めてくれました。

 

しかし、一考に駅的なものに着かない

途中ポツンと立っている警官に尋ねる事何度か

 

後で知りました

 

藤沢文翁氏は

 

極度の方向音痴だったのです!( ´Д`)y〜

「良牙てめ~💢」

(らんまボイス脳内再生よろしく)

 

その後、通りかかったタクシーに何とか乗り込み

帰宅したのはam4時くらいでした。

 

次の日(まあその日だけど)本番

 

皆、心に不安や心配を抱えながら

上演となりました。

 

この衝撃的な出会いと経験は

間違いなく「今」に繋がっています。

 

エンタメとは時に無力です

けれど

エンタメが救ったり、癒したり、導いたり

直接的な救援とはならなくても

支えや、力となる事があります。

 

目に見えない力

私の大好物であるその力が

藤沢君の生み出す朗読劇の骨(根幹)に存在しています。

私達演者、そして奏者はその骨に、

人を、景色を、時を、形作ります。

 

そして

この度再、再、 再演のMrプリズナー

 

の話へ

 

 

つづく

https://www.tohostage.com/voicarion/2024prisoner/