月別アーカイブ / 2017年08月




お盆中もですが、お盆開けもしばらく天気の悪い日が続きましたね。

外出が必要な仕事がある日以外は引き篭もりがちなので、外出する日に限って雨だと萎えます。ちょー萎えます。

先週の土曜日はまさにそうで、ざーざーの大降り。

そのせいで電車も止まるわでお店に着くまでも大変でした。

雨が降るとせっかく来ようとしてくれたお客様の足も鈍くなりがちなので営業のネックになります。

これからは台風シーズンなので何かサービスを考えなきゃとも思ったり。


憂鬱を吹き飛ばそうと、この日の週替わりコスプレは古巣であるフーターズガールに(笑)

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そんな雨の日関わらず、この日はオープンから初なお客様 Tさんが来てくれました!

日付が変わる頃までその人のみだったので、2人でひたすらカラオケ(笑)

X JAPANのRusty Nailの声がハマってたらしく褒めてもらえて嬉しかったです!いえい!
その方の声が福山雅治に似ててキュンキュンさせてもらいました。ありがとうございます。


その後ちょろっとお世話になってるNさんたちが顔を出してくださったり、Hちゃんやなんと1年ぶりに会うRくんが来てくれたり本当に嬉しかったです!


Tさんからはヴーヴもいただきました!!!!
ありがとうございます!!!!

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早くも今日で8月の土曜営業も締め日です。
ということは、バースデー営業直前日です。

有難いことに個室の予約も入っており、素晴らしい夜のスタートになりそうです。

今日も変わらず、
女性のみのご来店で朝まで500円飲み放題!!!

西麻布や六本木にお立ち寄りの方は一緒に乾杯しませんか?

お待ちしてます。


postumo
東京都港区西麻布1-10-14
アビターレ霞町 B1

-System-
Charge 3,000円/1h
Extra 1,500円/0.5h
Drink 1,000円〜
Tax 20%



マドカ・ジャスミン







3編に渡ってお送りした、 #マドジャス出張ホスト呼ぶってよ のレポートを読んで下さり、ありがとうございます。 

21歳の女が出張ホストで初めて男を買った話 前編 : マドカ・ジャスミン 公式ブログ
中編はこちら後編はこちら夏。その文字を見たとき、何を想像するか。海・山・プール・BBQ・旅行、あとは、出会い。小難しく考えなくても並べられるそれらとはまるで無縁なまま、8月も中旬に差し掛かろうとしていた。 「置いて行かれた…」世間がお盆休みど真ん中の13
lineblog.me


Twitter上のリプライの他、LINEで友人たちから感想が送られてきたり、友人が別の友人に記事を紹介してくれたりと想像以上の反響にびっくりしました。 


今回は後書きとして、

執筆にあたり
質問回答
polcaの活用


について書きました。

私としては、この後書きを無くして、#マドジャス出張ホスト呼ぶってよ の完成とは言えません。

前回までのえっちな表現(笑)は一切ありませんが、ぜひ一読してもらえると嬉しいです。



【執筆にあたり】

元々本当にレポート化する(体当たり記事)気も何もなく、ただお盆休みの週末を1人で過ごすのが本当に嫌で嫌で堪らなかったのが今回の企画?の始まりでした。 

なので、何気なく呟いたツイートをきっかけにこんな大きな展開になるなんて予想だにしなかったです(笑) 。




求めたられたら応えたくなる性分も働き、「仕方ないから記事にするか―」という軽い気持ちでしたが、何せ自分で0から記事を作るとなるとレポート調で書くのが大の苦手で…

他の記事を読んでもらえると冒頭の独白が長いと思いませんか?しかも、あまり本文に関係ないような内容。

記事化しても長いこの部分は、編集前だとさらに長いんです。(ご想像の通り、編集者さんをよく困らせてる…)

最初の構想では普段の体当たり記事みたいにするつもりでしたが、タイプを始めると知らず知らずのうちに小説調になっていき、最終的には「もういい!好き勝手書こう!だって自分のブログだし!」と前編を書き終えてました。もちろん、前編と分けるつもりすらなかった。

前編を公開し、次に中編、さらに後編。それぞれの間中で感想と期待の声に押されながら書く感覚は、プレッシャーとも違う、今まで感じたことのない不思議なものでした。

よく「自分のメディアを持たないの?」「記事をブログで書かないの?」と言われるほど、普段は外部メディアばかりに寄稿しています。

その理由は、意外に思われるかもしれませんが、いくらPVが良くてもそれはあくまで寄稿させてもらっているメディアの力であり、私の実力なんて乏しいという気持ちを抱えていたからです。

そんな自信の無さもあり、今回の記事たちの掲載後ブログのPV数がたったの数日間で毎月平均PV のおよそ5倍になったこと、人は面白いコンテンツに自然と集まるんだと改めて分かったこと、私自身がこんなにも多くの人に読んでもらえる一個人になっていたことにすごく感動しました。

実は昔、いわゆる夢小説などを書き、個人ホームページで掲載してた経験があります。

夢小説自体がアングラなこともありましたが、何より同じ界隈の人たちから見さえしてもらえず、始めた長編などを一度も終えることもなくサイトを削除しました。高校生の時にやっていたブログの時も同じです。

その時の呪い?思い込み?を今でも引きずってたわけで、「どうせ個人で発信をしたところで読んでくれる人はいない」と思ってましたが、出張ホストによって長年の呪縛が解くことができたんです。おかしな話ですよね(笑)。


全編を小説調で書き終わり読み返すと、まあスラスラと読めない文章だなーと自分で思います。ディティールは荒いし、変なところはコテコテしてるし。 

後編にいたっては本当に酷い(笑)。
書き終えた瞬間、「書き直したい」とすぐに思ったほどです。でも、これも今の自分の実力なんだと思い、公開へ踏み切りました。だから後編への感想が怖かった。好意的な感想の多さにとっても複雑な気分でした。

前編・中編には自分なりに満足し、何故後編がそうなってしまったか。

1つはLINE BLOGとの闘い。あまりにも生々しい表現をしたら削除されることが目に見えてたので、いかにガイドラインに乗っ取って書くかを試行錯誤しました。"粘膜"ですらギリギリなんじゃないかなーと思ってますが、どうなんですかね。

もう1つは、いやらしくなりすぎない濡れ場の難しさ。少し話が脱線しますが、私は石田衣良さんが大好きです。彼の作品のおかげで自分が性に対して貪欲なことが恥ずかしくないと思えたほど。

石田衣良さんの恋愛作品では、必ずと言っていいほど濡れ場シーンが出てきます。しかも、驚くほどスラスラ読める。変ないやらしさを感じさせずに。かといって、ディティールが細かくないわけでもない。この執筆を通し、今まで何気なしに触れていたものは間違いなくプロの仕事だったんだと気づけたんです。

正直、濡れ場っぽい濡れ場を書こうと思えば書けるじゃないですか。喘ぎ声や性器の表現を多用するとか。でも、私はそんなもの書きたくなかった。BLOG的に書けないのもありましたが、あくまでも女性である私視点を大事にしたかった。

それ故に自分の文章力にぶつかりました。そして、石田衣良さんが直木賞受賞経験のあるプロの作家であることを実感し、よりリスペクトが強まりました。彼の書いた『娼年』は傑作なのでぜひ読んでください。ある意味、今回のアナザーサイドかもしれません。


石田衣良の東京が舞台となっている小説4選 | マドカ・ジャスミン | 街角のクリエイティブ
出典:YouTube みなさん、あなたの仕事、趣味、習慣、その他あらゆる行動や選択に“きっかけ”はありますか? なぜその仕事につきました? 「知人の紹介で」 なぜその趣味なの? 「一回やってみたら楽しかったから」 なぜその習慣が続いてるの? 「健康志向を目指して」 なぜ? の答えは人それぞれのきっかけ達。なぜ、閉鎖的な田舎で育ったわたしが、ここ“トーキョー”に思い焦がれ、魅了され、そして、そこで生きていきたいと思ったのか。答えは、作家 石田衣良さん。その人です。 彼の作品に映る悲喜交交な“トーキョー”、その中から選ぶに選んだ四作品を、作品内で舞台となる東京のエリアとともに紹介していきます。あなたの好きな“トーキョー”が見つかりますように。 1. 美丘 主なエリア:渋谷、表参道、青山 「時間は永遠にはない。わたしたちはみんな火のついた導火線のように生きてる。こんな普通の一日だって、全部借り物だよ。借りた時間は誰かがいつかまとめてとりたてにやってくるんだ」 「太一くん、始まっちゃったよ」 『美丘』より引用 結論から言うと、ヒロインが病死します。すでに実写化もしてる作品なので、石田衣良作品内でも知名度は高いです。ただ、ヒロインが病死というだけで倦厭する方はもちろんいますよね。わたしもそのひとりでした。ただこの美丘、すっごく爽快です。ひとりの奔放だった、いわばビッチな女の子が好きな人を全力で愛すんです。十三か月、期間はたったの十三か月です。その短い期間を、ヒロインとパートナーは全力で走り抜けました。出会いは最悪、始め方もいいものとは言えなかった、それでもふたりは駆け抜けました。その先にあったもの、ぜひあなたの目で確認してください。こんなにも愛おしく、穏やかで、そして悲しい最期を、わたしは初めて知りました。ヒロインたちが通っていた学校の立地モデルはたぶん青山学院大学なのでは…と踏んでます。大学生活を送るひとなら、尚更リアルな情景が浮かぶかもしれません。 わかるかな。ぼくの胸がきみの墓なのだ。 『美丘』より引用 美丘 (角川文庫) posted with ヨメレバ 石田 衣良 角川グループパブリッシング 2009-02-25 Amazon Kindle 楽天ブックス eBookJapan 2. REVERSE
www.machikado-creative.jp


反響でいえば、女の子からの反応がめちゃくちゃ多かった。

女の子の友人たちから、「私も呼びたい!」「興奮した」という声が多く、性にオープンな世の中といえどもまだまだ女性の欲望は表に出てないんだなーとしみじみ。そもそも、"出張ホスト"そのものがあんまり世に浸透していないんですよね。あまりにも勿体ない。 



【質問回答】

Twitterで寄せられた質問にお答えします! 
質問文は多少変えてるのでご了承ください。

質問1 
別れ際の心持ちと恋心への発展の可能性が知りたいです。

別れ際から次の日までは寂しさとお金を払えばいつでも会えるという虚しさに挟まれ、何とも言えない気持ちでした。ただ、他の人と行為後でもそうなんですけど、3日ぐらい経つと一気に熱が冷めるんですよね(笑)。尊敬や愛情のない恋心って一種の熱病かなってぐらいすぐ消える。なので、もうただの記憶でしかありません。


質問2 
今回の体験を経て、男性が風俗を利用することに対する意識が変わりましたか?

男性の風俗利用については昔から嫌悪感などは特になく、生理現象だから仕方ないと思ってました。だけど、今回の経験を通して、やっぱりみんな寂しいんだと。だって、気持ち良さだけなら自慰行為のほうが気持ちいいじゃないですか?男も女も。でも、寂しいから、人肌の温もりが恋しいから"人を買う"。残念なことに寂しさの根本は治癒できませんがね。


質問3 
また出張ホストを使いたいですか?

それがですね、不思議とそう思いません。今回はたまたまホテルではなく実家を使えたとか、まとまった時間を取れたとかタイミングが合いましたが、わざわざ時間を確保してまで呼ぶのは躊躇します。それに回数を重ねたらドキドキしなくなるじゃないですか。醍醐味であるドキドキが無くなったらお金を払う意味がまったくないです。


質問4 
この出張ホストのサイトを教えてください!(料金を教えてくださいも含む)

申し訳ございませんがお断りさせていただきます。記事にもある通り、「行為なしの料金で行為に及んでくれた」「6時間近く利用時間を超過した」などのイレギュラーな事例が重なりました。私としてはぜひ皆さんにもこの出張ホストサービスを利用してもらいたいのですが、お相手に迷惑をかけるかもしれないので値段等の詳細情報も含め、DMなどのすべてで伏せさせていただいてます。


質問5 
マドジャス、幸せになってください。

早くイチャイチャしてくれる彼氏つくります!!!!!!!!!!!!!!



【polcaの活用】 

ブログで記事を書く際の最大ネックというと、「書くだけじゃマネタイズできない」。

勿論、それを可能にするやり方もありますが、今回は突発的過ぎたのもあり、その辺りをどうしようと思ってたところに最近リリースされたpolcaを発見。

友人たちがチラホラ使ってるこのアプリ、興味があったものの使うタイミングに悩んでいたので絶好の機会だったわけです。


#マドジャス出張ホスト呼ぶってよ 支援の会 - polca(ポルカ)
"マドジャスからの暑中見舞い(手描き、個人個人へのメッセージ付き)"を支援のおかえしとして受け取ることができます。
polca.jp


記事で使った場合、無料で内容が読めるnoteみたいなイメージが一番しっくりきます。

今回みたいな体験ものなら、体験前の支援はゲームへの課金、体験後や読了後の支援は面白かった!という気持ちの表明だと思い、内容が分かってる上での支援はする側とされる側の双方が満足し合えることがすごくいいです。

今日26日8時時点での支援額は20,500円で目標額を137%達成してます。
読了後の支援も多く、本当に感謝が止まりません。

締め切りを今月末としているので、引き続きご支援していただけると嬉しいです。

暑中見舞いをリターンとしてましたが、残暑見舞いになってしまうのだけご了承ください。申し訳ございません。



記事の執筆も含め、たった数日間の出来事でしたが、自分が何を好きで、何をしてる時が楽しいかを見つめ直せる素晴らしい機会でした。 

地下アイドル時代、プロデューサーに「好きなら寝ずにできるでしょ」と言われたことがあります。歌もダンスもそこまで好きじゃなかった私は「何言ってんだ」としか思えませんでしたが、この記事を寝ずに書いてても苦じゃなかったです。



何だかんだ、文章を書くのが好きなんですよ、私。



今よりもっと上手い文章を書けるようになって、今後も読んでくれる人の心に残る作品を書いていきたいです。

あと小説書く!!!!!書籍化させる!!!!!!!

#マドジャス出張ホスト呼ぶってよ を読んでくださった皆様、出会ってくれた出張ホストの彼、少しでも関わってくれたすべての人たちのおかげで今までぼんやりとしていた願望が明確な目標となりました。

本当に、本当にありがとうございます。


これからも私、マドカ・ジャスミンに注目し続けていただければ光栄です。

きっと飽きさせませんし、後悔もさせません。
どうぞこれからも末長く宜しくお願い致します。



愛を込めて。



#マドジャス出張ホスト呼ぶってよ 完


マドカ・ジャスミン




前編はこちら









「かわいい」

やけにうるさいエアコンの機械音の中、確かに響く声。

声の主の輪郭は、上手く捉えられなかった。

 


その四文字を最後にくれたのは誰だったか。目を瞑って思い出す。元彼ではないし、一晩の温もりを共にした誰かだったかもしれない。数か月、半年、1年前へと記憶を深くまで潜っても答えは見つからない。

このまま深海のような記憶へと、美化された過去へと溺れてしまえ。そう思ったとき、溺れかけた私の身体を電流に似た光が駆け巡った。身を捩じらせれば捩じらせるほど、駆け巡る光は増していく。逃げたくないのに逃げたくなる、けれど見失うと欲してしまう。沈みゆく私は心の底から光を掴みたくて堪らなかった。

予想できないリズムの光に呼吸が苦しくなったと思えば、恐怖に似た開放感の予兆を感じる。光は身体の上部から、徐々に下部へと移っていく。再び暗闇に戻ったかと思えば、視界がほんの少しばかり明るくなった。薄っすらと瞼を開けると、腹部から私を心配そうに見上げる彼がいた。 


「気持ちいい?」


顎先の動きと彼の手を握っての返事を返す。彼もまた言葉ではなく、唇で返事を返してきた。暖かい2つの小さな膨らみが割られ、もっと暖かいもの同士で触れ合う。

ついばんだり、角度を変えたり、吸ったり、甘く噛んだり。何かを確かめるかのように何度も何度も重なり合う。この世の頓珍漢な娯楽が何個寄って集ろうが、この瞬間に勝てることなんてきっと無いだろう。

二人を覆っていた掛け布団は、とっくに床を覆っていた。冷やされすぎている部屋でも、寒さなんて気にも留めない。互いを暖め合うぐらいの、いやそれ以上の熱を私たちは宿していたからだ。

素肌に感じるシーツの冷たさがむしろちょうど心地いい。熱さと冷たさ、夜と朝、快楽とはそれらの狭間にひっそりと存在するんだ。


「お客さんにキスしないって、うそ?」


「したいと思うことなんて滅多にないよ」


嘘つき、と心の中で呟いたけれど、口角の上がった私は彼に口づけをせがみ、彼もまたそれに応えた。胸から脚にかけて、触れるか触れないかの加減で撫でられていく。くすぐったさと気持ちよさが混ざり合い、身体の反応と頭での理解がどんどんどんどん乖離していく。

本心じゃない気持ちで私の本心に触れようとしてくる彼にどんな感情を抱いていいかも分からなくなっていた。ゲームのテキスト文のような「胸の形、すごく綺麗だね」「肌すべすべ」に「ありがとう」と微笑む私もきっと同罪だろう。

両脚の間に手が伸び、片方の手で口を塞がれ、男性にしては細い指で口腔内を満たされる。無邪気に笑っていた少年の様な彼はフェイクだったのか。それとも、今の彼がフェイクなのか。考えたところで、この場に"ホンモノ"の彼が存在しないことは誰にでも分かる明白な事実だった。





粘膜から両手指が抜かれ、彼が隣に寝転ぶ。もう、無意味な過去を巡っていた私はいない。唇、頬、首、耳、ありとあらゆるところに唇を這わすと、彼も負けじと同じように唇を這わしてきた。

"なにか"のために着ていた鎧は溶け落ち、自然に甘えられている。気を張ったり、強がっていたりしてるだけで、望んでいたことが人一倍単純で簡単だった自分に思わず笑ってしまった。


「本当に可愛い」


「素になりすぎちゃうし、逆に癒されるよ」


驚くほどフィットする身体と唇で求め合う。もちろん、積極的になれてるとはいえ、(この人は仕事だから)という理性が完全に消えてくれはしなかった。それでも、今までで1番気持ちよく、自分よがりでもない触れ合いによって、心は幸せにも似た暖かさで溢れていた。

人によってはこの暖かさを愛おしさと表現するのかもしれない。愛おしさのせいなのか、いくら今回は私が奉仕される側とはいえ、されっぱなしであることに不安が込み上げてくる。

愛おしさを感じる相手に尽くしたいという元々の性分は、こんな時でも息を潜めてはくれなかった。「相手に快楽を得てほしい、満足してほしい」と思うことが愛情の始まりなのかもしれない。私は彼の上に跨り、耳元で呟いた。 


「わたしがしてもいい?」


とろんとした目が一転して、驚きを孕む。その様子は今の彼と"ホンモノ"の彼を行き来しているように見えなくもなかった。「本当にいいの…?」そのか細い声に頷けば、彼がシャワーを借りたいという。ベッドに脱ぎ散らかったワンピースを雑に被り、1階へと降りた。

冷やされた部屋と別世界のように扉の向こうは蒸し暑い。タオルを用意してる横で彼は心なしか申し訳なさそうに縮こまっている。彼にタオルを渡し、洗面所から出た。もちろん、リビングと共に洗面所の掃除もしていた。

リビングに置きっぱなしだったiPhoneを見ると、友達たちからのLINEの通知がびっしりと画面に並ぶ。通知を開きもせず、キッチンへと向かい、グラスに入れた冷たい水を一呼吸で飲み干した。反動のせいか、ボーっとしていた頭が一気に醒める。

そうだ、そうだよ。私はセックスなんかよりこの時間が欲しかったんだよ。自分を求めてくれる人のシャワーを待つこの時間が欲しかったんだよ。そう想いを馳せていると、彼が洗面所から出てきた。自分も毎日使っているボディソープの香りがする。その時ばかりは、どんな高級な香水も勝てないぐらいの香りだった。

部屋に戻る。エアコンを消しても冷たい部屋では、シャワーを浴びたばかりの彼の熱が際立つ。カーテンを開けると、外と部屋の間に膜が張られているかのように窓が結露していた。朝を帯び始めた空の明るさは部屋の中を青白く照らし、彼の綺麗な顔立ちを映し出される。彼との間に張っていた薄い膜みたいな躊躇いだとか、恥ずかしさだとかはとっくに消えて失くなっていた。

耳を舌でなぞるたびにその複雑さを不思議に思う。輪郭をくわえ、曲線に舌を沿わせ、そこから首へと移る。息を殺す彼の反応を伺いながら、下から胸、腹部、腰へと降ろしていく。男性が反応する声を嫌がる女性もいるらしいが、私は真逆だった。自分によって出た声を嫌うなんてどうかしてる。

しっとりとした年齢特有の肌に立つ鳥肌、抑えられずに出た高めの声、それだけでも満足を感じざるを得ない。自分がされてる時よりも、してる時のほうが好きかもしれないと思ってしまうほどにだ。見上げられる視線も堪らないが、その逆もまた堪らなかった。




「ありがとう、嬉しい」彼の隣に寝ると、すかさず唇を奪い取られる。お互いの唇が触れてない顔の部位を探す方が難しくなっていた。もっと触ってほしい、もっと触りたい。何度触って、触れても飽きるどころか、もっと欲しくなる。こんな経験は久しぶりで、異性にそう思えてる自分に感動した。

部屋の明るさと進む時間と比例する。迫る時間とまだ冷めない熱に促され、自分の奥底に秘める願望を気がつけば口にしていた。ただ「本名とかわいいと好き」を言いながら触れてもらうというそれは、私にとって大きな悦びを生むある種のスイッチだった。


「好き」 


「かわいい」 


「   」 


あまりにも理想通りな行為は、疑似的な恋愛感情を抱かせかける。女性は性行為に及んだ相手を必ずしも好きになるわけじゃない。でも、行為の最中に感じる「愛おしい」を重ねていくことでそうなるんじゃないか、と。現に私は彼と一つになりたいしか頭になかった。お金で買ったとかを取っ払って、目の前の愛おしい人と一つになりたいしか考えられなくなっていた。

愛情と願望を途切れ途切れな呼吸に交え伝えると、「次はホテルに呼んでよ」と笑う彼。欲に溺れる私と違って、彼はやっぱりプロなのだ。納得と寂しさで高揚感が消えかけていると、全身をくまなく撫でられる。再びの高揚感と幸福感は安心感へと変わり、気がつけば2人揃って寝息を立てていた。

ふと目が覚める。時間を確認すれば、終了時刻まで残り1時間ほど。まだ寝ている彼は起こしても起きるどころか、抱き締めて離してくれない。普通のカップルならこれでいいけど、私たちはそうじゃない。時間が来れば、もうそこで終わり。

私は自分に嘘をついた。「起こすのが可哀想」で「この時間が終わらないでほしい」を包み込み、彼の腕の中でまた瞳を閉じる。どうかお願い、セックスなんかよりも気持ちいいこの時間がずっと続いて。意識が落ちるのに時間は掛からなかった。


部屋はすっかり明るい。時計の針はもう数分で重ね合おうとしている。終了時刻から6時間以上の超過だった。さすがにマズいと思い、強めに彼を起こす。瞼をゆっくり開け、焦ることなく抱き締めてきた彼に思わず苦笑した。一階へ降り、顔を洗う彼を横目にタクシー会社へ電話をかける。いつもは感謝する5分間を心の底から恨んだ。

身なりを整えていた彼にお財布から出したお札を渡す。返ってきたその笑顔で、忘れていた現実を一気に叩きつけられた。彼はいつでも、どこでも来てくれる、拒否もしない、だってお金を払ってるから。

悲しみがポツリポツリと湧き起こり始めてると、彼は私を抱き締め、数時間前と変わらないキスをしてきた。唇から耳、首へと。「止まらなくなっちゃうから、だーめ」嬉しさと悲しさを押し殺して笑う私。彼もまた微笑む。




「うん、だからまた呼んで」





「いつでも」







タクシーに乗り込んだ彼を見送る。家の前を去るまで手を振り続けた。家に入り、残されたチューハイ缶を片付け、リビングを軽く整え、数時間前の彼みたいにシャワーを浴びた。いつもより強く熱い水流にしたのは何故だったのか。

鮮やかな青のワンピースではなく、いつものようにTシャツと父のトランクスに着替え、ふらふらと2階へと昇り、自室のベッドにダイブした。くしゃくしゃになったシーツから彼の残り香がする。私の好きな匂いだったのは、幸か、それとも不幸なのか。まだ覚めぬ興奮と微かな虚しさを振り払おうと目を瞑った。


リビングのローテーブルの上。
彼の使ったグラスだけがポツンと置いてある。

あの時間が残していったものは、それ以外の何も無かった。







後書きに続く



マドカ・ジャスミン

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