月別アーカイブ / 2017年03月



数年前の三月は地獄だった。

無謀な受験は呆気なく全落ちの結果に終わり、私大後期受験まで挑ませた父親はこれまで私に溜めていたストレスを火山の噴火の如く撒き散らかす。

受験の合否関係なく、卒業旅行や卒業ディズニーなどに沸き立つ同級生を尻目に私は降りかかる溶岩を避けるのに必死だった。

昔から何か気に障ることをするたびに経済大国が某国に行うような経済制裁ではないけれど、お小遣いの供給ストップなんてザラ。その度に泣き寝入りをするか、父親に懇願するかしかなかった。幼い頃から貯められていたお年玉はとっくに母親が使い込まれていて、通帳には0が虚しく並ぶ。


家にいれば溶岩が降りかかり、外に出れば財布の中の僅かな紙と金属が消えていく。ろくな食事すら取れない。年齢もあって、深夜の街を歩くなんてことも困難。

気がつけば、メッセージアプリをいくつもダウンロードしていた。

コチコチとテキトーに短文を打つ。〈高校を卒業したばかりの18歳〉〈今夜ごはん連れてってほしい〉振り返れば、いわゆるそういうことにしか思えない行為でさえも、私は縋る気持ちで一心不乱に行なっていた。居場所がほしい、美味しいご飯を食べたい、

誰かに救い出してほしい、助けてほしい。




〈今仕事終わったから、この後よければご飯でもどう?〉

その日は不発と思い、泣く泣く終電に乗りかけたとき、メッセージを受信した。引っかかった!ラッキー!なんて喜ぶよりも、自分の許容範囲なのかどうかの確認を即座に行う。〈写メください〉それに対して送られてきたのは、今撮ったであろう少し光で飛ばしてある自撮りだった。マフラーで少し顔は隠してあるものの、悪くはない。ものの数分考え、こう打つ。〈駅で待ち合わせしましょう〉


落ち合った男は、若くもくたびれたサラリーマンだった。どこかのブランドらしきマフラーはクタクタによれている。少し上からの態度が気になったが、仕方ないと自分を納得させる。見た目は置いておいて、声は松本潤に似ていて心地の良いものだった。

男の年齢相応なご飯屋さんで食事を取り、寒いねと言い合う茶番を挟み、寝所へ向かう。いつもと同じような部屋のレイアウトと独特な空気で満ちていた。

「へぇ!わたしもそのグループ好きなの!」

部屋に入って、お互いが何かのタイミングを見計らう時間、たまたま話題の共通項が見つかった。寝れない夜に聴いては涙していた歌の主を男も好きだという。話を聞いていけば、その主のイベントやライブにまで行っている、と。

不思議なことにどれだけ興味のない人間でも、共通項があるだけでグッと距離が縮まる錯覚に陥ることがある。私も例外では無かった。上からかつ斜に構えた態度、中肉中背のシルエット、少し薄めの髪、ぶっちゃけタイプでも何でもなければ、どちらかと言えば嫌い寄りなその男をなぜか愛おしいと感じていた。



(大人の男のくせに必死かよ、うける)

行為中の男は必死、そのものだった。何個も歳下の身体を貪る。顔に余裕なんてない。ひたすら、ただひたすら貪り続ける。

(馬鹿じゃねーの、クソろりこん、出会い厨)

しね、きもい、男に思う私もまた必死だった。愛情なんて無い、この空間に愛情なんて無いと分かっているのに自分を強く求める男の存在に胸が苦しくなるのだ。やめろ、ふざけるな、やめろ、なんでだよ、なんで私なんかを。

「、泣いてる…の?」

下から目を合わせてきた男が元々大きい目をさらに大きく見開いてる。頬を触る。濡れていた。その男の言葉の通り、私は何故か頬を濡らしていた。理由の見えない湿りに困惑する私に男は口づけを落とす。さっきまでの態度と一変して、申し訳無さそうに…例えるなら捨てられた子犬のよう。


(ああ、なんだ)


(私とこの人も、)


(同じか)




〈君とのセックスが忘れられない〉〈会いたい〉画面に羅列する言葉には、あの日の行為時に込み上げたモノを感じ取ることはなかった。静かに連絡先をブロックして、別のメッセージを開く。あの時あの瞬間はきっとこの宇宙で一番繋がっていて、お互いの理解を共有し合ってたかもしれない。けれど、そんなものもきっと錯覚で、何故ならもう彼の名前すらも覚えていない。



そうどこを 見ても
たくさんの星達
逃げない 戸惑いはある でもまだ歩く

なんにも掴めないんだ 暗い 加護の中
姿のない目に囲まれてるんだ 助けて
もう一度 問いかけるよ そこはどうなっているの?
命は燃やしていくものだなんて 冗談だ 馬鹿みたい



イヤホンから流れる曲をあの男もきっとどこかで聴いてるのか。



「この曲いいよね」

名前は思い出せないのに男が見せた嘘偽りのない笑顔と弾む声だけはよく覚えている。

「俺も、大好きなんだ」





マドカ・ジャスミン



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晴れ渡る春分の日だというのに家で未だにパジャマなマドジャスです。



毎週恒例の土曜日営業は、なんと……



個室含めて一時満卓!!!!!!!!

ありがとうございます😭😭😭✨✨




先週に引き続き、ヴーヴお兄さんことゆーすけパイセンがご来店🙆🏻🙆🏻

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今週も3本ご馳走さまでしたーーー!!!😆💓💓



お店の半分以上が女性のお客様かつ、中にはTwitter経由で来てくださった方も!

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来てくれただけでも嬉しいのにお土産までありがとうございます😢✨✨
美味しくいただきました!!!

  

久しぶりに会えたさくらちゃん♥️

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このツイートぶりの再会😂😂




彼氏さんとのご来店で、ご一緒にテキーラで乾杯🥃✨
すごく笑って、すごく楽しかったです🙏🏻💖




また!!!!!!!念願叶ってのご来店が!!!!!!





そう、yuzukaさん♥️♥️♥️
綺麗な大人のお姉さまだし、優しいしで興奮しっ放しでしたよ?!笑


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「お揃いだよー☺️☺️」と可愛いプレゼントまで貰っちゃったの…愛しか感じないです…(;_;)




「いつか行くよ、いつか」なんて言ってたのに来てくれた担当の美容師さんのIJK OMOTESANDO代表 芝さんや、


この日の前日にメンテナンスへ!




こんな服で来てくれた友人もいたり、
 
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ムロさま😆😆😆

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最高の人たちが周りにいることをまたも実感!!!!


某週刊誌編集部の方々、某アルファツイッタラーの子を含めたお友達たち、みんなみんなありがとうございます😢💗



三月最終日の来週もお待ちしてます!
来週は貸切営業のため、通常営業は24時からです!

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よし、そろそろ支度しよう()


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マドカ・ジャスミン



花金の終電、しかも遅延。
そんなの地獄に決まっている。

ドアが開いたと同時に押し込まれ、さらに人が乗り込み、四方八方から圧力が加わる。

上着のポケットにいれた缶コーヒーが落ちないか、iPhoneを落とさないかだけに神経を集中させた。

ふと気がつけば、前も後ろも両横も男性だった。

(最悪だ)

電車は出発した。次の駅まではおよそ10分ぐらいだろう。ということは、この早ければ10分で緩和されるのだ。この時間が期限付きだとわかり、少しホッとしたのも束の間。

(最悪だ)

iPhoneをどうにかイジるために俯いてるのをいいことに後ろの人間が首筋を触っている。前にいる人間は不自然に股間を押し付けてきている。

(ぶっ殺したい)

満員電車だから事故の可能性も高い。だけど、明らかにその手つきと当て方には故意を感じた。感じたけど、この地獄ではどうすることもできないのもまた事実。仕方なく、何とか触られないよう出来る限りで身体を離れさせようとした。

(ぶっ殺したい)




「今朝ねー、痴漢にあったのお」

犯罪にあったはずの彼女は少しばかり瞳をうっとりさせてそう言う。高校生にしては、発達した身体と整った顔立ち。高校生とはいえ、異性からしたら紛れもなく"メス"だ。

「今週で3回目!ほんと嫌になっちゃう」

嫌とは反対の感情を含んだ言葉が軽やかに宙を舞う。

「ねえ、」「マドカはされないの?」

当たり前でしょ、と返した私の心は荒れていた。




帰宅ラッシュと被る帰りの電車は満員で、なおかつ金曜日である今日はいつもの倍ぐらいの人が長方形の箱たちに詰め込まれる。

運良く背もたれがある位置に立てた。何とか次の駅まではこの空間に耐えようと決意したと同時にドアが閉まり、電車は駅を離れていく。

(ん、)

様子がおかしいことに気づいたのは駅を離れてすぐだった。自分の股間にナニかが当てられている感触がある。恐る恐る携帯電話の画面から、前方に視線を変えるとサラリーマンが目の前に立っている。というか、ほぼ密着している状態でいた。

(これって、)

心なしかサラリーマンの呼吸は荒い。当てられてるものは位置的に…と理解し、その荒さの正体に一瞬にして電車内が地獄と化した。

(やだ、やだ)

次の駅まではおよそ20分。この満員電車では声を出したところで展開はたかが知れてる。どうにか我慢しなければいけない。ぐるぐると頭が回る。どうにもできない、どうかしたい。そんな恐怖と、心の奥底で別の何かが産声をあげた。

(わたし、)(この人に求められてる)(女として見られてる)

呼吸を荒げるサラリーマンに対し、喜んでいる自分がいる。あり得ない。なのにあり得ている。その行為を受けれる資格が私にもあったんだ、私もちゃんと女なんだとある種の喜びですらあった。




自分の異常性に気づいたのはいつだったか。

"性行為でしか異性と繋がれない" "性を武器にしなきゃ相手にされない" "誰でもいいから自分を求めてほしい" 恐ろしいことに私は本気でこう思っていた。

自分に欲情してくれるなら、女として見てくれるなら、それでこちらを向いてくれるなら、もとめてくれるなら…と服を脱いだ回数は一体いくつになるだろう。

成長していくにつれて、友達が増え、その中にはもちろん男性もいて、異性関係にならなくとも認めてくれる人が増えた。私を異性として見ない人さえもいる。

(なんだ、セックスしなくても男と関われるのか)

ポツッとそう思った瞬間から、世界がガラッと変わった。何が変わったか。それは自分に向けられる欲だけの行為に対しての嫌悪感と憎悪感が生まれたことだ。

どうでもいい人からの性欲に吐き気さえも覚えるようになり、もちろん痴漢なんて以ての外。吐き気どころか殺意さえも湧く。

涙が出そうになった。やっと女から人間になれた!女から自分になれた!遅すぎたかもしれないけど、私にとってはあまりにも大きな進歩だったから。


「求められることが正義なんかじゃないし、」「私は私で欲しいものを求めるのよ!!!!!」




アナウンスと共にドアが開く。水門を開けた水のように人が出て行き、私はゆとりのあるスペースへと移った。私に欲をぶつけてきてた人たちは既に姿を消している。

(くそが、)

(ぶっ殺したい)


ぶっ殺したい、私はちゃんと思える。ぶっ殺したい。ぶっ殺したい。勝手に身体を触るな、ぶっ殺したい。



ぶっ殺したい、が今日もまた私を人間にする。   


マドカ・ジャスミン

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