714日。例年よりも早い梅雨明けもあり、茹だるような暑さを孕んだ7月が幕を開けた。もちろん、三連休初日のこの日もとんでもなく暑かった。


普段まるで縁が無い京急線に乗り、辿り着いた先は三浦海岸駅。


同じ電車に乗っていた人たちや駅周辺を見渡せば、皆服装やお店での売り物が夏仕様だ。そんな私も、ワンピースの下には水着を着用している完璧な夏仕様。何故なら、目当ては駅の名の通り、三浦海岸。神奈川県は横須賀市を代表する海が目当てなのだから。

 

神奈川県出身と言えど、三浦海岸のビーチに行くのは初めてだった。過去の職場でもあった由比ヶ浜や江の島のビーチと比べ、三浦海岸のビーチは人も少なく喧しい音も一切ない。もちろん、ビーチの醍醐味である海の家は軒を連ねているが、やはりどこも穏やかさに包まれていた。その海の家の一つに『夏小屋』があった。



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白を基調としたレイアウトやお洒落なメニュー看板、豊富なフード&ドリンクメニュー。これだけ見れば、どこにでもある海の家とそう大差は無い。しかし、今日は違った。ここではイベントの開催が出来るらしく、本日もまさにそのイベント開催日だ。


その名も、『HELLO UNIVERSAL BEACH FES』。


概要を見れば、音楽ライブにDJにヨガ(?!)にフリースタイルぺインター:大塚亜美氏が担当するライブアート(!!?)にフレスコボール日本代表:倉茂孝明氏の道具貸出と技術指導協力の下でのフレスコボール体験(!!?!?)と、これでもかというぐらいテンコ盛り。いわば、世代もジャンルも取っ払って楽しもうぜ!という勢いを強く感じた。

 


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イベント開始時刻の正午直前に夏小屋へと到着し、ステージを眺めれば総合オーガナイザーの龍口健太郎氏が忙しなく準備に励んでいる。彼とはこれまで数回ほど会ったことがあるが、一言で言えば、熱い。本当に熱い。ワイルドな見た目から予想される熱さの倍以上は熱かった。その熱さによって、今回の多彩な演者・関係者が集まっているかと考えれば、即座に納得できる。どれだけ暑い夏だろうが、人々は外に…太陽の下へ向かうように熱い人物に人は自然と集まっていく。龍口健太郎氏は、太陽のような人物なのだ。

 


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三浦海岸出身でバンドLyla boopsのボーカル:俊(Toshi)氏による国歌独唱と龍口健太郎氏の挨拶、乾杯により、『HELLO UNIVERSAL BEACH FES』は幕を開けた。


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龍口健太郎氏とギターサポートの栗原リクト氏によるオープニングアクト、三人組ユニットHot Dogのパフォーマンス、Hello Universalのクリエイターsvn氏のDJで会場は早くも盛り上がりを見せ始めた。ざっと客席と夏小屋周辺を見渡せば、子供から大人までのバラバラな年齢層はもちろんのこと、慣れ親しんでいる湘南のビーチと違い、外国人の数が目立つ。よくよく考えてみれば、横須賀市にはアメリカ軍の基地がある。その為、普段見慣れている光景とは少しばかり違ったわけだ。また、家族連れも多い。大前提として、湘南のビーチが好きだという思いはあるにしても、あのビーチは所謂"パリピ"と呼ばれる若者が溢れ返っている。とすれば、三浦海岸のビーチは比較的家族連れでも過ごしやすい。一言で表せば、バランスが良かった。

 


時間が過ぎるにつれ、次々に演目が変わる。Kenta Imai氏の暖かみのあるアコースティックライブアクト、逗子のヨガトレーナー兼メンタルコーチの大森高尚氏(通称るぱん)が会場の人たちを巻き込み行うヨガ、音楽家の秋ノ宮公太郎氏によるオリジナル曲オンリーライブパフォーマンス、仙台からはるばる駆け付けたDJ ASARI氏のスクラッチやミックスを多用したプレイ。どれも素晴らしいものだった。その間中、総合司会である深津功氏のMCスキルが観客に飽きを全く以て感じさせず、スケジュール進行に絶妙なキレを生み出す。



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個人的には、普段仙台と都内の有名クラブでプレイしているDJ ASARI氏の選曲に聞き酔いしれていた。思い出を想起させるEDMと三浦海岸との融合は、不思議な心地よさを覚える。音楽に特化した場所で音楽をやったり、ヨガに特化した場所でヨガをしたり、それは当たり前のことだがどうしてもそこにいる人物層は限定されてしまう。しかし、今回のイベントのようにジャンルの違う老若男女が集まる場で行うからこそ、音楽やヨガそのものを純粋に楽しみたかったり、興味を持ったりした人たちを目にすることができる。ビーチという非日常を共有しているからこそ、生まれる繋がりがあるのだ。利便性や手軽さのみにフォーカスを当てれば、都内で行うに越したことはない。



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しかし、娯楽の体験にまで効率化を求めるのは、果たしてどうなのだろうか?現在神奈川県に滞在している私ですら、三浦海岸までの道のりは決して短いわけじゃなかった。都内やそれ以上からとなると、掛かる時間を考えれば、「わざわざ行く必要ある?」と考える人だっている。だけど、生活…もっと言えば人生には、その"わざわざ"にこそ価値があるわけだ。だからこそ、夏小屋に集まった人たちは、例え流れている音楽を知らずとも自然とコール&レスポンスが出来る。"わざわざ"を使ったからこそ、最初から高い熱量でいられるのだ。

 


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海は、夜が早い。最後の演者、先の国歌独唱を務めた俊(Toshi)氏を擁するLyla boopsが出演する頃には、日は沈みかけていた。彼らはこの日がバンド再結成の門出で、バンドパフォーマンスでそれに掛ける意気込みを感じざるを得ない。熱量は下がることを知らないまま、Kenta Imai氏DJプレイをバックにイベントはエンディングへと向かい始めた。


上がり切った熱量とお酒で程よく緩んだ気持ちから、入る予定が無かった海へと飛び込んだ。暑い気温のせいか、海水は暖かい。波に身を任して、自然を感じる。自然は、人間本来の姿だ。そこでは世間で叫ばれている"効率化"なんて、何も意味を持たない。ただ身を委ねるだけ。それこそ、私たちが無視しがちになる最も大切なことだった。


楽しさや興味に身を委ねていいのに否定し、より効率的な動きをしようとする。「あそこに行くのは時間の無駄」「他でもいい」、そんな下らない考えで自分の豊かさを踏みにじっていく。ただただ、愚かな行為に他ならない。凝り固まった価値観や思考で得られるものは、自分が思っている以上に少ないのだ。


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これはあくまで仮定だが、総合オーガナイザーの龍口健太郎氏はこのことを懸念しているからこそ、三浦海岸のビーチでイベントを企画したのでは?と感じた。彼の魅力や人との繋がりがあれば、都内で行ったほうが圧倒的に集客の母数が広がる。にも関わらず、この場所を選んだのは、"わざわざ"を共有したかったからなのかもしれない。一つの"わざわざ"を共有すれば、また違う"わざわざ"を共有でき、何ならもっと地方でのイベント開催だって容易くなるだろう。


「地方を盛り上げたい」と思うのであれば、先ずは"わざわざ"を共有できる人たちと出会うこと。龍口健太郎氏は、持ち前の熱さによって三浦海岸でそれを証明した。その熱さによる自由で誰もが当事者になる輪は、今後どんどん広がっていくだろう。夕焼けに向かう空を眺めながら、私はそう強く確信したのだった。

 

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p.s.

次なるイベントは、1230日に開催する『Hello Universal"アメリカンホームパーティ"』とのこと。貴方もこの熱さを今年の年末に是非感じてみてはいかがだろうか。


Photo by 芭蕉(カメラマン兼映像クリエイター)