お世話になっていた西麻布のとあるバーへ数ヶ月に行ってきた。

これまたお世話になっている人の知り合いが私のファンらしく、ぜひ会いたいということで事に至ったわけだ。

最近、プライベートでオトナの人と会う回数が少なくなっていたのもあって、ちょっとばかし緊張していた。

しかも、ファンときた。
振る舞いや言葉で幻滅されたら…なんていう恐怖心もあった。

「初めまして」とあって、色々話してみる。
お酒も入ってくれば、ぎこちない会話もなんとかスムーズに進みだす。

相手の方は既に書籍を購入してくれたらしく、あれやこれやと内容についての話を持ち出してくれた。

発売日当日の例のイベントでや、友人からの直接のフィードバックはあったけれど、いわゆる“ファン”の人からの生の声はちゃんと聞くのは初めてだった。

自分よりも年上の異性が、それはそれは内容について細かく話してる姿に感心というか、自分のことじゃないような不思議な感覚に陥っていた。

そんな折、相手の方はこう言った。
「実は色々仕込んできてね」

そう言って自分の鞄を見せてくれると、そこにはウルトラマンティガのキーホルダーが。

思わず、子供染みた声を上げ、喜んだ。

また、その人の携帯のアラームが鳴ったと思えば、その曲は宇宙戦隊キュウレンジャーの主題歌。

さらに声を上げる私に相手の方も嬉しそうだった。

書籍の中には、新録コラムが三本収録されていて、その内の一つに特撮作品についてのものもある。

残念なことにそれについて触れてもらえている感想は、ネットにも存在していなかった。

確かに“マドカ・ジャスミン”的ではないし、好き勝手に書いたものだから、仕方ないことだとも思っていた。

けれど、目の前のその人は、私の“好き”を汲み取って、わざわざ披露してくれた。

とんでもなく素晴らしいことだ。

「嫌らしい!」なんて言う人もいるかもしれない。
だけど、好意を抱く相手の好きなものを示すことは褒められることに違いない。

好きだということ。それは理解。
理解がなきゃ、好意も押し付けがましい感情として消化されてお終い。

自分の好意を理解し、相手の好きを理解する。


こんな簡単なことで、きっと世界はもっと楽しくなるのにな。

世界を動かすのは、こんな酷くシンプルな感動で十分なんだと思ったそんな夜。



マドカ・ジャスミン