小説 
金星の守護神 
アフロディーテ、またの名を
ヴィーナス。〜美と愛と性の女神〜

Part5



主な登場人物

アフロディーテ またの名をヴィーナス
金星
星の神話では、恋愛や金運、女性をあらわす星
守護神   愛と美の女神アフロディーテ   
ローマ読みで、ヴィーナス
オリュンポス12神のひとり

アレス
火星
星の神話では、行動、男性をあらわす星
守護神  軍神   アレース  アレス
オリュンポス12神のひとり

ヘーパイストス
鍛冶の神
アフロディーテと結婚した神
オリュンポス12神のひとり

ゼウスまたの名をジュピター
木星
全宇宙の神 雷を持ち神の中でも絶大の力
オリュンポス12神のひとり

ヘラ
女神ヘーラー
最高位の女神   ゼウスの妻


アポロン
牧畜と芸術の神 竪琴の名手
ヘーリオスとセットで、太陽の象徴
オリュンポス12神のひとり

ヘリオス
ヘーリオス 太陽の神
ヘーパイストスにヴィーナスの浮気を密告した











ヘーパイストスは、激怒した。
アポロンからメールで送られてきた、一本の動画。
そこには、妻のヴィーナスとアレスが写っていた。
その動画は、ビルの窓越しからヘーパイストスの家を盗撮しているものであったのだか、メールの件名には、アポロンから『普通ならこんなことはしないけどね。sorry。』と、書かれてあった。
動画は、ヴィーナスとアレスが夫婦の寝室で、愛しあっていたものだった。
ヘーパイストスは、その一部始終を黙って見終わると、
「許さない!」
と、強く吐き捨てた。
夫婦の寝室で、浮気をする妻、アフロディーテ。
よりによって、相手はあの、アレスである。
ヘーパイストスは、策略によってだが、見事にヴィーナスを勝ち取って、結婚した。彼女は、正式な妻である。が、しかし、アレスに奪わてれいたのである。
盗まれていたのだ。
「アレス。伊達男のローマ人め!」
かつては、ヘーパイストスの母の心を奪ったアレスであった。ヘーパイストスは、ひっそりと影に沈み、ひとり孤独に身を寄せていた。そして今度は、妻の美しい体、妻の心を奪っていたのだ。アレスが寝室から出たあとに、動画に映っていた美しく輝く妻の姿は、あの、勝気なヴィーナスとは程遠い、ひとりの女であった。
ヘーパイストスは、怒りで張り裂けた胸を、握りこぶしをぎゅと握って、どうにか抑えつけていた。
絶望的な怒りであったが、握った両手を広げて、手のひらを見て、ヘーパイストスは、決心をする。
「許さない。」




「アレス?今日は、お早いのね。」
ヴィーナスの家に立ち寄ったアレスは、無造作に紋章入りのバッグをメイドに手渡した。
「ああ。今日は、ちょっと、なんだか、胸騒ぎがするんだ。君に何かあったらいけないとも思ってね。」
アレスは、そう言うと、手土産をヴィーナスに渡した。
「あら!エクレアね。可愛いわ。」
「宝石みたいだろ。」
箱の中には、カラフルなミニケーキが、リボンや花のデコレーションで飾られていた。
ヴィーナスは、メイドに手土産のケーキを渡して、
「さっそくお部屋でいただきましょう。」
そう言って、寝室へ向うと、
「ヴィーナス。今日はやっぱり、ケーキを食べたら早めに行こうと思って。」
アレスは、ヴィーナスの腕をとって優しく囁いた。
「あら、アレス。」
ヴィーナスは、がっかりしてアレスを見つめた。
「パリを経とうと思ってね。」
アレスは、ヴィーナスの手をとりながら寝室に入った。
「アレス。ほんとあなたって人はいつも落ち着きがない人…。」
ヴィーナスは、寝室に入ると、金色のシルクで覆われた大きなベットに座って、四隅にある支柱にもたれた。そして
「私を一人ぼっちにするおつもりなのね。」
そう、囁いた。
「ヴィーナス。ごめんよ。そんなつもりはないけど、そろそろ故郷のローマの風にあたろうかなと思ってね。」
アレスは、ヴィーナスにそっと近づいて、優しくキスをした。
「アレス…。」
そのまま、ヴィーナスとアレスは、愛し合った。




あれ?地震かしら?
ヴィーナスとアレスが、金色のシルクで覆われた大きなベットで、手をとりあってうたた寝をしていると、ガタガタと突然、ベットが揺れた。
「アレス!」
ヴィーナスは、寝ているアレスの胸を大きく揺さぶった。
「うん?なんだい、あれ?」
ガシャガシャ、ガシャガシャーン。
すると、突然、大きなベットの四隅にある支柱に、ベットの天幕からシャッターのような格子の鉄製の幕が降りた。
「アレス。これは、何なのかしら?」
「さあ。いったい何なのか、さっぱりわからないな。」
アレスは裸のまま起き上がって、鉄製の格子の幕を持ち上げようとしてみたが、アレスの力でも持ち上がらなかった。
「嫌だわ。いったい何なのかしら?」
今度は、体当たりしてみたが、以外と丈夫で、格子の幕は、ビクともしなかった。
「どうやら、ここに、閉じ込められたようだな。」
アレスはそう言うと、ヴィーナスの手をとった。
「何なのかしら?」
ヴィーナスは困惑していたが、アレスが一緒にいるので安心していた。すると、メイドがはいって来て、
「旦那様がお帰りです。」
そう告げると、深々とお辞儀をして行ってしまった。
「アレス!ヘーパイストスが帰ってきたわ!どうしましょう!」
ヴィーナスは、体が震えていた。裸のままだったからではない。ヘーパイストスの怒りを想像すると、生きた心地がしなかったのだ。
「ヴィーナス。こうなったら仕方がないよ。」
アレスは、ヴィーナスの真珠のような美しい肌を全身で抱きしめた。
「アレス…!」
ヴィーナスは、アレスの胸に抱かれて大粒の涙を流していた。
ヘーパイストスが寝室に入ると、ヴィーナスとアレスは、格子の幕のベットの中で、裸のまましっかりと抱き寄せあっていた。




「お二人さんは、なんて、仲が良いんだ。」
ヘーパイストスはぎごちなく笑うと、そう言って、iPadの動画を流した。動画は、アポロンからメールで送られてきた、ヴィーナスとアレスが愛し合っている動画であった。
「やめて!やめて、ヘーパイストス!」
ヴィーナスは、恥ずかしさのあまり声を張り上げていた。アレスは、さらにヴィーナスをしっかりと抱き寄せた。
「この動画が、拡散されたら、アレス君。今度こそ、君は終わりだ。」
ヘーパイストスは、ゆっくりと大きなベット声で、ひとつひとつ噛みしめるように、アレスに言った。
「アレス君。今度こそ、君は、終わりだ。ローマでも、さぞ評判になるだろう。」
アレスは、ヘーパイストスを睨みつけた。
「やめて!あなた、そんな酷いことをなさらないで!」
ヴィーナスは、ヘーパイストスに懇願した。
「おや、おや、おや。酷いことをしたのは、君たち、でしょう?」
ヘーパイストスは、ヴィーナスに冷たく言い放った。
「ごめんなさい。あなた。私が悪かったわ。」
ヴィーナスは、ヘーパイストスに涙で訴えていた。
「そんな、こと、今更言われてもね。」
そう言うと、ヘーパイストスは、iPadを持ち上げて画面をタッチした。
「はいこれで、拡散、終了。」
アレスは思わずヘーパイストスに掴み掛かろうと、勢いよく幕に体当たりしたが、跳ね返された。
「酷いぞ!ヘーパイストス!」
アレスは、ヘーパイストスを睨みつけて罵倒した。
「おや、おや、だから、酷いことをしたのは…。あ、それから、じつは、この一部始終も動画に録画してあるんだよ。アレス君のその姿は、ちょっと、見られたものじゃなさそうだ。」
アレスは、すっかり肩を落として、落胆の涙を流していた。すると、メイドが部屋に入ってきて
「旦那様。アポロン様がお見えです。」
そう告げた。アポロンは、この部屋の一部始終を、まるで太陽が窓から覗いていたかのように、絶妙なタイミングで来訪してきた。きっとアポロンは、ヘリオスに言いつけて監視してあたのであろう。しかも、メイドが部屋に通すと、アポロンはヘーパイストスの両親のゼウスとヘラも連れていた。
「お母様…。それに、お父様も…。」
ヘーパイストスは、両親に軽く会釈すると、
「見てください!お父様、お母様!ヴィーナスとアレスは、僕の寝室でこんな酷いことをしているのです。」
そう言って、鉄の幕で覆われた、金色の大きなベットを指差した。
「まあ、アレスったら。なんて姿なの。それに、ヴィーナス!あなたって人は!なんて、はしたない!」
ヘラは、アレスの姿に呆れ、そして、ヴィーナスを叱りつけた。ヘラは、最愛なるアレスの惨めな姿と、嫁であるヴィーナスの破廉恥な姿に我慢出来ず、ヒステリーを起こしていた。
「ヴィーナス!あなたって人は、なんて恩知らずなの!」
すると、
「まあ、まあ。まあ。」
ゼウスがそう言ってなだめた。ゼウスも修羅場を体験しているタイプの男だったので、ヴィーナスとアレスには、寛容的であったのだ。また、妻のヒステリーには、どうもに耐えられない。
アポロンは、
「しかし、なんて、美しいんだ。実物の彼女の香りは、至福の楽園のようだな。」
美しいヴィーナスの姿にすっかり見とれていた。
けっきょく、ゼウスがとりはからい、ヴィーナスは、ヘーパイストスと離婚を承諾。というか、ヘーパイストスがヴィーナスを諦めるかたちで、離婚が決定した。アレスは、ヘーパイストスに慰謝料を支払うことで、この修羅場はどうにかおさまった。
ヴィーナスはメイドに伝えて、簡単な身支度をすませると、ヘーパイストスは、怒りと落胆で部屋に引きこもってしまった。
「お父様。お母様。本当にごめんなさい。これからは、どこか小さな国で、アレスと暮らしてゆきます。」
そう言ってヴィーナスは、ゼウスとヘラの手をとって、涙を流した。
「ゼウス様。ヘラ様。アレスへのご寵愛、感謝しております。これからはヴィーナスとともに歩みます。」
そう言ってアレスは、ヘラとゼウスの手をとってキスをした。
2人がドアを開けて、寄り添って出て行く後ろ姿を見守っていたアポロンは、
「あんな美人を抱けるなら、オレもなんだってやるさ。」
と、呟いた。



第1部 完結です。
ギリシャ神話で、有名な『ヴィーナスの浮気』
を書きました。
現代版、いかがでしたか?

第2部では、さらに有名な『トロイア戦争』
です。トロイの木馬で有名ですね。
きっかけは、ヴィーナスとアレスがつくるのです。
スリル満点ですね。


〜今ごろは、ヴィーナスとアレスは、ハネムーン中でございます♡〜


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