月別アーカイブ / 2019年03月

冬の朝のブログで
地図の1曲目候補が別にあったと書いたことを
覚えている人はいるだろうか。
それが、そう
このエレクトリックだ!
結局
1曲目どころか、収録すらされず
2枚目の月と手のひらでもボツになってしまった不憫な曲。
ここら辺で入れとかないと
もう絶対お蔵入りやぞ…
という理由でプルケリマにやっと収録されることになったけども
まるでオマケのように6曲中の6曲目…
かっこいい曲なんだけどなあ…
コード進行も凝ってるし…
アレンジも凝ってるのに…
リフも、変拍子のようで実は普通に4拍子の4小節進行っていう
でも変拍子ぽく聴こえるという
間奏も凝っててかっこいいのに
大人達にも評価されず
結局リリース後も全然ファンのウケが良くなくて
ライブでもレギュラーとして定着することはなかった。
なんでや……
今聴いてもかっこいいぞ!!

間奏あけの落ちサビの部分
俺がボソボソなにか言ってるところ
あそこはアドリブでなにか言う予定で
ボーカルブースに入ったんだけど
「こないだ休みの時に、あのー、明日休みやけんあれしようこれしようと思いながら酒飲んどったら結局昼過ぎに起きて酒飲むだけで終わった」
と言ってるんだけど
録り終わってコンソールルームに戻ると
ディレクターナベさんが爆笑していた。
わかる!わかるー!!あるある!!と。
ナベさんは元々パンクバンドのドラマーで
酒飲みで
しかも酒癖が悪いのだ。

ギターは普通
弾き終わったらまずギターのボリュームを落として
そしてアンプのボリュームを落として
アンプの電源を切って
それからシールドを抜かないといけない。
アンプの電源を入れたままシールドを抜くと
ピョッ!とノイズが鳴ってアンプのスピーカーに良くない。
そんな事をやるのは不良だ。
だけどそんな悪い事を敢えてやるのもまた不良だ。
ロックとは不良なのだ。
エレクトリックの最後は
そうやって録音されたのだ。

ジョワァ〜ンヒョエェ〜ン
ガジョンガジョン
ハヒョ〜ンプヮ〜ン…ピッ

目を閉じながら聴いていると
情景が浮かぶ。

山下君が弾き終わって
ギターを肩から外し
床に置いて
(めちゃくちゃ歪んでるのでフィードバックしてる
4:29あたりのガジョンガジョンが床に置いてる時のノイズ音と思われる)
アンプのところまで歩いていって
電源が入ってボリュームも落としてない状態で
シールドをアンプから引っこ抜いている。
その引っこ抜く時の音が最後の
ピッ
ってわけ。
アウトロのそこのギターはオーバーダビングで録音されているので
俺らはコンソールルームで見ていたんだけど
やたら長えな…と思っていた。

そんな風に
めちゃくちゃロックに不良にレコードされたのだ。
エレクトリックは。
だけど
アンプからシールドを抜くのか
それともギターからシールドを抜いた方がいい感じなのか
はたまたエフェクターから抜いた方がいいのか
色々検証した。
検証してから録音した。
そして最高のピッ!が録れた。
そう
俺ら真面目
真面目にロックンロールしていたのだ。

エレクトリックが一番大好きなんです!
という人には、まだ
出会ったことはない。

LUNKHEAD史上初の
シンガロングする曲ができてしまった。
できてしまったっていうのもアレだけど
デビューした頃は本当にシャイなお客さんが多くて
手を組んでじっと見守るようにライブを見ている人が多かったので
シンガロングなんてとてもとても…
俺も煽るとかそういうの苦手だし…
と思ってたんだけど
俺らLUNKHEADをどうしていきたいんだろう?
どんなバンドにしていきたいんだろう?
と考えてた時に
楽な方楽な方に逃げてたら
きっとつまらんバンドになってしまうと思って
それで作ったのが僕らのうたってぇわけです。

当時、山下君がちょっとスライドギターにハマりだして
(スライドギターとは、スライドバーと呼ばれるチクワみたいなのを左手の中指とか薬指とかにはめてプワ〜ンとした音を出す奏法です。プルケリマとか月と手のひらとかハイライトも山下君スライド奏法使ってます。瓶の口のところを切って使っていたのが始まりで、ボトルネック奏法とも言われます。スライドバーの素材もガラス、陶器、金属といろいろあってそれぞれ音の感じが変わります。
山下君はエアロスミスのジョーペリーモデルの陶器のタイプを使っていましたが最近ではポイッと投げ捨てても割れないブラス素材のやつを使ってるみたいです。)
プルケリマのレコーディングの時に
ラップスチールっていう
お琴みたいに置いて弾く
スライドギター専用のギターを買って持ってきた。
僕らのうたの間奏はそのラップスチールで録ってたはず。
ラップスチールって扱いが難しいので(なんせお琴みたいに弾くもんで)
買ったばかりでそこまで難しいフレーズは弾けないから
結果、別に普通にギターで弾いても大差ないのでは…と思ったけど
新しいこと試したいのがギタリストのサガというものなのだナァ…

そういや、最近
というか10年以上まったく見かけないな
山下君のラップスチール
まあ、そういうこともあるよね

歌詞は最初もっとポジティブなことを歌ってたんだけど
ディレクターナベさんが
うーん…なんか違うんだよな…
なんかな…
と、モヤモヤとしたダメ出しをするので
腹が立って真逆の歌詞に書き直してきたら
これだよ!これ!
と大喜びしていた。
自分でも、やっぱこれだよな、と思った。
ナベさんありがとう。

だから変わり続けることはいつだって恐い
だけど変われないこともきっと同じくらい恐い

ってところに
シンガロングなんて…と思ってた自分が
この曲を作ろうと思った決意が現れていると思う。

うーん、いい詞だなあ。
青臭くて暗いけど
諦めてないんだよな。
前を向くから苦しいんだ。
進もうとするから苦しいんだ。
その苦しみは
君を肯定してるんだよ。

理不尽と言っていいくらい
金槌で頭を殴られるように
暴力的に
恋に落ちたことがある。
あんなに人を好きになることは
もうきっと一生ない。
しかも、その人との出会いは
その人の恋人が現像して
写真部の部室で乾かしていた写真だった。
先輩が撮った
その人の写真を見て恋に落ちたのだ。
自分ではどうにもならないくらいに。

歳上のその人は
早稲田じゃなく慶応生だったけど
たまに部室に遊びにきた。
会えるだけで嬉しかった。
顔を見るだけで
声を聞くだけで
頭の奥がじんじんして
胸の奥がズキズキした。

その後、その人は先輩と距離を置くことになって
書ききれないほど
いろんなことがあって
俺はその人の心のそばにいさせてもらえるようになったんだけど

好きすぎるというのは諸刃の剣だ。
その人が喜べば正解
がっかりしたら不正解
間違えないように
がっかりさせないように
その人との会話のすべてが
究極の選択になってしまった。
常に崖っぷちを背にして立っているようだった。

追い詰められて
俺が耐えきれなくなって
逃げた。
あのまま一緒にいたら
心が壊れていたと思う。
言い訳だけど。

そうやって
嵐のようにその恋は過ぎ去って
終わった。


まだ想いを伝える前
何かの用事で二人でちょっと会うことがあった。
用事を済ませてちょっとお茶して帰る程度の。
その人は真っ赤な外套を着てきて
待ち合わせに少し早く着いた俺の顔を見て笑いながら
俺の頭をくしゃくしゃっとした。
それだけで、この世の幸せのすべてを手に入れたようだった。
このまま世界が終わればいいのにと思った。

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