「背骨を伸ばして腰痛が減るカイロプラクティックは間違いなのでしょうか？気になります！」

「関節をはめて良くした方がいいんじゃないの！？」とか色々ご質問があると思いますが・・・

結論から言えば全くオススメできません。

腰痛に効くって証拠がないうえに、危険であるというデータのほうが多いからです。

（※ちなみに「ボキッ」となっているのは関節がハマったわけではなくて、関節内にできた気泡が破裂する音です。これによって、首を鳴らし全身不随になってしまったというケースも存在します）

この問題について有名なのはサイモン・シンが「代替療法解剖」という本では、カイロプラクティックをボコボコにしたんですね。

すると、これに英国カイロプラクティック協会がブチ切れまして、サイモン・シンを名誉毀損で告訴。

「カイロプラクティックって科学的に正しいの？」って問題が法廷に持ち込まれた結果、逆にカイロプラクティック協会が追い込まれたらしい。（詳しくは「代替療法解剖」をご覧ください。）

結局、この裁判は2010年にサイモン・シンの勝利が決定。イギリスじゃカイロプラクティックの評価はどん底に落ちました。

【カイロは無意味！？】

まず、一番信頼ができるのが、

コクラン共同計画が2012年に出したレビュー論文(1)。

コクラン共同計画のレビューは、サイモン・シンも「鍼治療って効くの？」問題のリソースをされていました。

これは過去に行われたカイロプラクティック研究から、ちゃんとした実験デザインのものを20件ほど抜き出してまとめたもの。

とりあえずカイロプラクティックについては、現時点で最新にしてもっとも精度が高いまとめになっております。

その結論をざっくり紹介しますと、

➡︎

・カイロプラクティックには腰痛に目立った効果がない

・１件だけ「効果があった！」って報告があるが、実験の質が非常に低い

・もし効果があったとしても効き目はすごく短い

といったところです。基本的にカイロプラクティックは無意味って結論ですね。

一応、2010年のコクランレビューだと「カイロプラクティックは、他の治療法と組み合わせたときにだけ短期間の効果がある。しかし、背骨に圧力をかけるため、症状によっては痛みが悪化するケースもある。」って報告も出てますけど、基本的には意味がないと思われる。

他にも・・・

・そもそもカイロプラクティックは、1845年にスピリチュアル系のヒーラーが始めたのが起源であり、その根底には「背骨には生命の力と知性が宿っているのだ！」という非科学的な理論のもと成り立っている。

・カイロプラクティックやマッサージの後で痛みが消えた場合、それはエンドルフィンによっての鎮痛効果であるため、1日もすれば痛みはもどってくる。

という事がわかっています。

【カイロプラクティックのリスクとは？】

続いて問題なのがカイロプラクティックのリスクの問題。

これについては、昔から大量の訴訟が行われてまして(2)、死者が出たりとか、脳卒中になったりとか、いろんな事例が指摘されております。

あくまでカイロプラクティック協会は「カイロプラクティックの死亡例はレアケース！」と主張しています。

カイロプラクティックの被害事例は主に「首のマニュピレーション」に集中していて、年間100件の事故が起きているとか(3)。

このデータを受けて、カナダの神経科医グループなどは「頭痛が治っても死んだら終わり」と警告しておられます。

これはBMJに掲載された論文(4)も同じ意見で、「首が痛くても首のマニュピレーションはやめておけ！」と忠告しているそう。

【以上の話をまとめると】

・カイロプラクティックにはほぼ効果がない（あったとしてもプラシーボ）

・首のマニュピレーションについては死の危険もある

という内容でございました。

リラックス目的で試すのはアリですが、それでも首をゴキゴキやらるカイロプラクティックだけは避けていただければと。

ちなみに一般的に広まっている「首の調整」であるスラスト法というものは今やってはいけない手技となっていますので、未だにされているところがありましたら危険としか言いようがありません。