月別アーカイブ / 2018年10月

これまでお伝えしてきたように、一般的に家を買うという事は、一つの場所に長く住み、長期のローンを組むことを意味しています。

そこで私がみなさんに確認したいのは、「家を買う事によって、人生のフレキシビリティー(自由度)が大きく損なわれるリスクを許容できますか?」ということです。

転職したいのに、ローンが気になって、いやいや勤め続けることになりませんか?

何かの機会で、ある場所に引っ越ししたいと思っても躊躇することになりませんか?

家を買うと、フレキシビリティーはどうしても減退していくことになります。

弊社のお客様で、家を買った後は今まで年に3回行っていた大好きな海外旅行が3年に1回になってしまった方がいらっしゃいました。好きなことを諦めましたというお話を聞くたびに、こちらが寂しい気持ちになってしまいます。「本当にそれで幸せですか?大丈夫ですか?」と心配にもなってしまいます。

家を買ったから他に好きなものを我慢する。これはある程度は必要なことかもしれません。しかし家を買うことによって人生の、日々の生活の大きな楽しみを我慢しなければならないとしたら、それは非常に悲しいことです。

本当に大切なのは「家」自体ではなく、みなさんの「人生」なのですから。

では、家を購入する場合のリスクをどのように考えていったらいいのでしょうか?

ここまで読まれて「なんだか家の購入はリスクが大きすぎて怖くなってきた」という方がいらっしゃるかもしれません。念のため申しますが、私はリスクが高いから家の購入はお勧めできないと言っているのではないのです。

リスクを承知の上で、そしてそれを十分認識した上で購入して欲しいのです。そのためにも、リスクとの付き合い方について触れておきましょう。

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◎リスクはチャンスと考えていく

riskというと、日本語ではdangerつまり「危険」という意味だけで捉えがちですが、私はリスクという言葉には「good chance」という意味が含まれていると思います。
危険ばかりの怖いものではなく、理解し備えてさえおけばチャンスが生まれる。それがリスクの本質です。

家を購入する場合のチャンスとは何かというと、自分の理想のライフスタイルが実現できるチャンスでしょう。また住環境を向上させるチャンスかもしれませんし、夢の田舎暮らしを手に入れるチャンス、通勤ラッシュから解放されるチャンスかもしれません。

そう考えると、リスクは全て「悪者」と捉えるべきものではなくなります。

大切なのは「自分が許容できるリスクかどうか」ということです。もしもの時に自分で、または周りの協力で対応できるリスクなら、リスクも許容範囲内の代物となり、決して恐れる存在でなくなります。


◎身の丈に合ったリスクを背負う

「自分が許容できるリスク」とは、言いかえれば「身の丈に合ったリスクを背負う」ということ。どういった場所、どういった種類の家にせよ、身の丈に合った家を購入すべきということです。もっと砕いて表現すれば、精神的、経済的に無理をしないということです。無理をすれば必ずどこかに歪みが生じます。
現在の不動産の販売市場においては、買い手側が無理をしても購入できるスキームが揃っています。

ほとんどの不動産業者は「お客様、決して無理をして買ってはいけません」とは言ってくれません。

銀行も同じです。「今は金利が安いですから目一杯ローンを組んで、できるだけ長期に、できるだけたくさんの額を借り入れてください。」というのが本音です。

売主サイドに立つ側は、注意や忠告はしてくれないでしょう。ですから自分自身で「無理をしていないか、身の丈に合っているか?」をよくよく考えていかないといけないのです。

最近の傾向として「本来家を買うほどの年収がない人」にまで、低金利のローンを利用させて家を買わせてしまっているという現状があります。これはすべて今の低金利がなせる業なのです。

日本の全員が一斉に本当に「無理をしないで」不動産を買うようになったら、銀行の収益に大きな影響を与えるでしょうし、上場不動産会社さえも倒産するかもしれません。

無理して「エイ、ヤー!」で買ってしまうのは日本人のDNAなのかもしれませんが、このコラムを読んで下さっているみなさんは、自分の収入や返済能力に見合った身の丈に合ったリスクを背負うようにしてください。

そのためのポイントが以下のような点です。

◉ローン返済では、ボーナス返済を入れないで、月々の返済のみで返済計画を立てるようにしましょう。高度成長期を終えた今、かつてのような好景気はこの先訪れないと思って、景気に左右されるボーナスをあてにせず、月額返済のみでローンを考えることが大切です。

◉万一失業した場合のことも考えておきます。勤務年数がある程度あれば、月給の7割程度の失業保険が最長10ヶ月程度もらえます。この失業保険が受給できる期間にプラスして数ヶ月無収入でも生活ができて、ローンも払える程度の返済額で住宅ローンを組むことが「身の丈」のひとつの目安です。

◉購入価格を決める際は、万一の時のために、食費と学費と住宅ローンの合計6ヶ月くらいの貯金を残しておくことも目安にしてください。少しでもグレードの高い物件を買おうと、貯金を全て頭金につぎ込んでしまう人も少なくありませんが、貯金が全くないのにローン払うというのは生活がギリギリになりやすく、かなり危険です。

◉ローンは「いくら借りられるか」を考えてしまいがちですが、「いくら返せるか、どのくらい返し続けられるか」を考えましょう。先述しましたが35年ローンを払い続けるのは、現実的に難しく、不可能にも近いことです。その前に5年ごと、10年ごとなど、数年おきに繰り上げ返済ができそうであるかシミュレーションしていくことが大事です。

◉最悪の場合、貸すことになったときのことを考えて、月々のローン返済額を考えておくことも大切でしょう。月々10万円のローン返済でも、買った家が12万円で人に貸せば2万円プラスになります。この差額が大きいほど「リスクに対する対応性が高い」ことになるのです。




次回「ライフスタイルがまだ見えないあなたへ」につづきます






私が代表を務めております、株式会社ライトハウスのホームページはこちらです https://light-house-osaka.com


リスクを知っておくことの大切さ

この先の話を読むと、家を買うことには負わなければならない様々なリスクがある事を知り、気分が萎えてくるかもしれません。それでも事実は事実として知っておいて欲しいと思ってお伝えさせて頂きます。

というのは、理想のマイホームを手に入れたにもかかわらず、土地の地価が下がり、不景気で給料もダウンし、住宅ローンが払えずに大変な目にあった人たちを見てきたからなのです。

みなさんには、買った後に想定外の出来事に遭遇し、「こんなことになるなんて!」と後悔してほしくありませんし、何が起きても「想定内ですがなっ」と堂々と対処できるように当初から備えておいて頂きたいのです。

今回から始まるリスクについてのお話を読んだ後に、仮にみなさんが家を買うことをやめようと思ったとしても、それはそれで一つの決断だと思います。でも途中でやめないで、最後まで読んでくださいね。




◎長期にわたり借金を背負うリスク

ほとんどの方が家を買う場合30年または35年の長期にわたる住宅ローンを組むことになります。仮に30歳で35年のローンを組めば65歳までローンを払い続けることになります。おそらく30歳の時に「65歳まで払い続けることができる」と確信を持って言える人は非常に少ないでしょう。

この35年ローンというのは、借りる人にとってあまり確固たる確信や根拠があって利用されているわけではありません。現実的に将来のことを考えたうえで、35年ローンを組む人というひとが少ないのが実態です。

実際には多くの方が早期に繰り上げ返済を行い、35年ではなく20数年で返していたり、退職時の退職金で残金を一括返済するといった方法で対応しています。

みなさんの勤めている会社があと35年続く可能性はどの程度あると思いますか?さらにその会社にみなさんが35年間勤め続けている可能性はどうですか?途中でリストラされたり、給料が下がったりする可能性はありませんか?
そんな事は誰にもわかりませんよね・・・。

そうなのです。相当不確かなものを頼りに、多くの人が長期のローンを組むのです。「不安だけれどもまぁどうにかなるだろう」と思って組むのが住宅ローンの現実というわけです。

ところで、住宅ローンを組むことで一番儲かるのは誰でしょうか?年収の何倍もの長期ローンを組むことで不動産を買ってもらえる売主さんはいうまでもありません。しかし一番儲かるのは売主さんではなく長期にお金を貸す銀行なのです
しっかり儲かるからこそ、あれだけ多額の宣伝費用をかけることができるわけです。
では住宅ローンで一番得する方法はなんでしょう?

どの不動産コンサルタントやファイナンシャルプランナーに聞いても答えは同じです。
なるべく借りる金額を抑えるか頑張って早めに返してしまうことなのです。
特に早期に繰り上げ返済して返済してしまうのが購入者にとって一番の得になります。早期繰り上げ返済は、銀行が最も嫌がることなのです。




◎長期ローンが払えなくなったときのリスク

終身雇用制度が崩壊した現在、同じ会社に一生勤めるという人が少なくなってきました。みなさんも5年後あるいは10年後、現在の会社を急に辞めたくなって、転職したくなる時が来るかもしれません。

転職しても給料がアップするか、変わらないのであれば、住宅ローンの返済には何ら影響を及ぼさないでしょう。

しかし収入が減るか、留学したい、独立して店を持ちたいといった理由で、一時的にでも収入が止まるとしたらどうなってしまうでしょうか?

例えばその決断が本当に自分がやりたいことであったとしたら、それと住宅ローンの月々の返済とを両立させることができるでしょうか?

これは、なかなか難しい問題です。

このような人生の転換は本質的には歓迎すべきことではあるはずですが、住宅ローンという現実がそれを阻むのです。私的な意見ですが私は住宅ローンの支払いぐらいで、自分のやりたい人生を諦めることほど、馬鹿げた事はないと思っています。

ですから万一の時の備えに、具体的対策を想定しておきましょう。

親を頼れるか?
配偶者に一時的に払ってもらうか?
売ってしまうか?(でも買った価格では売れないでしょう。としたら住宅ローンの残りの分の返済はどうするか?)

現実的なのは住んでいた家を人に貸し、入ってくる賃料収入で住宅ローンを返済していくという手法です。

いざとなったら人に貸せる、できれば月々の返済額よりずっと高く貸せる家を選んで買う事は、こういった「リスク」を「ヘッジ」することになるのです。
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家を買うときその家が貸せる家なのか?貸せるとしたならばいくら位で貸せるのかを事前に調べる必要があります。不測の事態に備えて、このようなリスクヘッジの想定を必ずしておいてください。



次回「人生のフレキシビリティが失われるリスク」につづきます







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