これまでお伝えしてきたように、一般的に家を買うという事は、一つの場所に長く住み、長期のローンを組むことを意味しています。
そこで私がみなさんに確認したいのは、「家を買う事によって、人生のフレキシビリティー(自由度)が大きく損なわれるリスクを許容できますか?」ということです。
転職したいのに、ローンが気になって、いやいや勤め続けることになりませんか?
何かの機会で、ある場所に引っ越ししたいと思っても躊躇することになりませんか?
家を買うと、フレキシビリティーはどうしても減退していくことになります。
弊社のお客様で、家を買った後は今まで年に3回行っていた大好きな海外旅行が3年に1回になってしまった方がいらっしゃいました。好きなことを諦めましたというお話を聞くたびに、こちらが寂しい気持ちになってしまいます。「本当にそれで幸せですか?大丈夫ですか?」と心配にもなってしまいます。
家を買ったから他に好きなものを我慢する。これはある程度は必要なことかもしれません。しかし家を買うことによって人生の、日々の生活の大きな楽しみを我慢しなければならないとしたら、それは非常に悲しいことです。
本当に大切なのは「家」自体ではなく、みなさんの「人生」なのですから。
では、家を購入する場合のリスクをどのように考えていったらいいのでしょうか?
ここまで読まれて「なんだか家の購入はリスクが大きすぎて怖くなってきた」という方がいらっしゃるかもしれません。念のため申しますが、私はリスクが高いから家の購入はお勧めできないと言っているのではないのです。
リスクを承知の上で、そしてそれを十分認識した上で購入して欲しいのです。そのためにも、リスクとの付き合い方について触れておきましょう。

◎リスクはチャンスと考えていく
riskというと、日本語ではdangerつまり「危険」という意味だけで捉えがちですが、私はリスクという言葉には「good chance」という意味が含まれていると思います。
危険ばかりの怖いものではなく、理解し備えてさえおけばチャンスが生まれる。それがリスクの本質です。
家を購入する場合のチャンスとは何かというと、自分の理想のライフスタイルが実現できるチャンスでしょう。また住環境を向上させるチャンスかもしれませんし、夢の田舎暮らしを手に入れるチャンス、通勤ラッシュから解放されるチャンスかもしれません。
そう考えると、リスクは全て「悪者」と捉えるべきものではなくなります。
大切なのは「自分が許容できるリスクかどうか」ということです。もしもの時に自分で、または周りの協力で対応できるリスクなら、リスクも許容範囲内の代物となり、決して恐れる存在でなくなります。
◎身の丈に合ったリスクを背負う
「自分が許容できるリスク」とは、言いかえれば「身の丈に合ったリスクを背負う」ということ。どういった場所、どういった種類の家にせよ、身の丈に合った家を購入すべきということです。もっと砕いて表現すれば、精神的、経済的に無理をしないということです。無理をすれば必ずどこかに歪みが生じます。
現在の不動産の販売市場においては、買い手側が無理をしても購入できるスキームが揃っています。
ほとんどの不動産業者は「お客様、決して無理をして買ってはいけません」とは言ってくれません。
銀行も同じです。「今は金利が安いですから目一杯ローンを組んで、できるだけ長期に、できるだけたくさんの額を借り入れてください。」というのが本音です。
売主サイドに立つ側は、注意や忠告はしてくれないでしょう。ですから自分自身で「無理をしていないか、身の丈に合っているか?」をよくよく考えていかないといけないのです。
最近の傾向として「本来家を買うほどの年収がない人」にまで、低金利のローンを利用させて家を買わせてしまっているという現状があります。これはすべて今の低金利がなせる業なのです。
日本の全員が一斉に本当に「無理をしないで」不動産を買うようになったら、銀行の収益に大きな影響を与えるでしょうし、上場不動産会社さえも倒産するかもしれません。
無理して「エイ、ヤー!」で買ってしまうのは日本人のDNAなのかもしれませんが、このコラムを読んで下さっているみなさんは、自分の収入や返済能力に見合った身の丈に合ったリスクを背負うようにしてください。
そのためのポイントが以下のような点です。
◉ローン返済では、ボーナス返済を入れないで、月々の返済のみで返済計画を立てるようにしましょう。高度成長期を終えた今、かつてのような好景気はこの先訪れないと思って、景気に左右されるボーナスをあてにせず、月額返済のみでローンを考えることが大切です。
◉万一失業した場合のことも考えておきます。勤務年数がある程度あれば、月給の7割程度の失業保険が最長10ヶ月程度もらえます。この失業保険が受給できる期間にプラスして数ヶ月無収入でも生活ができて、ローンも払える程度の返済額で住宅ローンを組むことが「身の丈」のひとつの目安です。
◉購入価格を決める際は、万一の時のために、食費と学費と住宅ローンの合計6ヶ月くらいの貯金を残しておくことも目安にしてください。少しでもグレードの高い物件を買おうと、貯金を全て頭金につぎ込んでしまう人も少なくありませんが、貯金が全くないのにローン払うというのは生活がギリギリになりやすく、かなり危険です。
◉ローンは「いくら借りられるか」を考えてしまいがちですが、「いくら返せるか、どのくらい返し続けられるか」を考えましょう。先述しましたが35年ローンを払い続けるのは、現実的に難しく、不可能にも近いことです。その前に5年ごと、10年ごとなど、数年おきに繰り上げ返済ができそうであるかシミュレーションしていくことが大事です。
◉最悪の場合、貸すことになったときのことを考えて、月々のローン返済額を考えておくことも大切でしょう。月々10万円のローン返済でも、買った家が12万円で人に貸せば2万円プラスになります。この差額が大きいほど「リスクに対する対応性が高い」ことになるのです。
次回「ライフスタイルがまだ見えないあなたへ」につづきます
そこで私がみなさんに確認したいのは、「家を買う事によって、人生のフレキシビリティー(自由度)が大きく損なわれるリスクを許容できますか?」ということです。
転職したいのに、ローンが気になって、いやいや勤め続けることになりませんか?
何かの機会で、ある場所に引っ越ししたいと思っても躊躇することになりませんか?
家を買うと、フレキシビリティーはどうしても減退していくことになります。
弊社のお客様で、家を買った後は今まで年に3回行っていた大好きな海外旅行が3年に1回になってしまった方がいらっしゃいました。好きなことを諦めましたというお話を聞くたびに、こちらが寂しい気持ちになってしまいます。「本当にそれで幸せですか?大丈夫ですか?」と心配にもなってしまいます。
家を買ったから他に好きなものを我慢する。これはある程度は必要なことかもしれません。しかし家を買うことによって人生の、日々の生活の大きな楽しみを我慢しなければならないとしたら、それは非常に悲しいことです。
本当に大切なのは「家」自体ではなく、みなさんの「人生」なのですから。
では、家を購入する場合のリスクをどのように考えていったらいいのでしょうか?
ここまで読まれて「なんだか家の購入はリスクが大きすぎて怖くなってきた」という方がいらっしゃるかもしれません。念のため申しますが、私はリスクが高いから家の購入はお勧めできないと言っているのではないのです。
リスクを承知の上で、そしてそれを十分認識した上で購入して欲しいのです。そのためにも、リスクとの付き合い方について触れておきましょう。
◎リスクはチャンスと考えていく
riskというと、日本語ではdangerつまり「危険」という意味だけで捉えがちですが、私はリスクという言葉には「good chance」という意味が含まれていると思います。
危険ばかりの怖いものではなく、理解し備えてさえおけばチャンスが生まれる。それがリスクの本質です。
家を購入する場合のチャンスとは何かというと、自分の理想のライフスタイルが実現できるチャンスでしょう。また住環境を向上させるチャンスかもしれませんし、夢の田舎暮らしを手に入れるチャンス、通勤ラッシュから解放されるチャンスかもしれません。
そう考えると、リスクは全て「悪者」と捉えるべきものではなくなります。
大切なのは「自分が許容できるリスクかどうか」ということです。もしもの時に自分で、または周りの協力で対応できるリスクなら、リスクも許容範囲内の代物となり、決して恐れる存在でなくなります。
◎身の丈に合ったリスクを背負う
「自分が許容できるリスク」とは、言いかえれば「身の丈に合ったリスクを背負う」ということ。どういった場所、どういった種類の家にせよ、身の丈に合った家を購入すべきということです。もっと砕いて表現すれば、精神的、経済的に無理をしないということです。無理をすれば必ずどこかに歪みが生じます。
現在の不動産の販売市場においては、買い手側が無理をしても購入できるスキームが揃っています。
ほとんどの不動産業者は「お客様、決して無理をして買ってはいけません」とは言ってくれません。
銀行も同じです。「今は金利が安いですから目一杯ローンを組んで、できるだけ長期に、できるだけたくさんの額を借り入れてください。」というのが本音です。
売主サイドに立つ側は、注意や忠告はしてくれないでしょう。ですから自分自身で「無理をしていないか、身の丈に合っているか?」をよくよく考えていかないといけないのです。
最近の傾向として「本来家を買うほどの年収がない人」にまで、低金利のローンを利用させて家を買わせてしまっているという現状があります。これはすべて今の低金利がなせる業なのです。
日本の全員が一斉に本当に「無理をしないで」不動産を買うようになったら、銀行の収益に大きな影響を与えるでしょうし、上場不動産会社さえも倒産するかもしれません。
無理して「エイ、ヤー!」で買ってしまうのは日本人のDNAなのかもしれませんが、このコラムを読んで下さっているみなさんは、自分の収入や返済能力に見合った身の丈に合ったリスクを背負うようにしてください。
そのためのポイントが以下のような点です。
◉ローン返済では、ボーナス返済を入れないで、月々の返済のみで返済計画を立てるようにしましょう。高度成長期を終えた今、かつてのような好景気はこの先訪れないと思って、景気に左右されるボーナスをあてにせず、月額返済のみでローンを考えることが大切です。
◉万一失業した場合のことも考えておきます。勤務年数がある程度あれば、月給の7割程度の失業保険が最長10ヶ月程度もらえます。この失業保険が受給できる期間にプラスして数ヶ月無収入でも生活ができて、ローンも払える程度の返済額で住宅ローンを組むことが「身の丈」のひとつの目安です。
◉購入価格を決める際は、万一の時のために、食費と学費と住宅ローンの合計6ヶ月くらいの貯金を残しておくことも目安にしてください。少しでもグレードの高い物件を買おうと、貯金を全て頭金につぎ込んでしまう人も少なくありませんが、貯金が全くないのにローン払うというのは生活がギリギリになりやすく、かなり危険です。
◉ローンは「いくら借りられるか」を考えてしまいがちですが、「いくら返せるか、どのくらい返し続けられるか」を考えましょう。先述しましたが35年ローンを払い続けるのは、現実的に難しく、不可能にも近いことです。その前に5年ごと、10年ごとなど、数年おきに繰り上げ返済ができそうであるかシミュレーションしていくことが大事です。
◉最悪の場合、貸すことになったときのことを考えて、月々のローン返済額を考えておくことも大切でしょう。月々10万円のローン返済でも、買った家が12万円で人に貸せば2万円プラスになります。この差額が大きいほど「リスクに対する対応性が高い」ことになるのです。
次回「ライフスタイルがまだ見えないあなたへ」につづきます