今日発表しました。
4月19日に講談社より小説を2冊発売致します。

小説家として世に作品を放つのは初めてのことなので、嬉しくもあり緊張もあり。
 
今回発表される2作品は、処女作の「壁の鹿」と最新作の「本性」です。

「壁の鹿」は、以前CDの限定版に特典として書き下ろしたものなので、既に読んで下さっているファンの方もいらっしゃると思います。
今回は改めて文庫本として出版されます。ミュージシャンとしての私を前提とせずに、「壁の鹿」という純粋な小説作品として書店に並ぶ日がくるとは。
剝製というモチーフで繋がる6つの物語。もの言わぬはずの剝製が、ある日突然声を発します。
主人公達と壁の鹿との間で交わされる奇妙な会話の中に、破壊と再生というテーマを描きたくて書き始めた小説です。
 
そして最新作「本性」。こちらは単行本です。
「超不自然主義」「ぱんぱかぱーんとぴーひゃらら」「東京回遊」という3つの短編が収められています。
このうち前2作品は小説現代にも掲載して頂いたのですが、さらに新しく「東京回遊」を書き下ろしました。

余談ですが、壁の鹿を書いていた時、ツアーやレコーディングと平行して執筆していたので「こんなにしんどいなら二度と書きたくない!」と思いました(笑)誰にも言わなかったけれど。
しかし、ゲラがあがってくると積み上がった原稿の質量に言い知れぬ達成感を感じ、ドーパミンみたいなものが脳内でドバドバ出るのを感じました。そこで、「よし次も書こう」と決意し、「本性」の制作に取りかかりました。

「超不自然主義」は、占い師によって1年後に死ぬと予言されたサイコの泥試合みたいな人生を描いています。モノしか愛せないという性癖を持ったエリちゃんとの同居生活など、違和感だらけの登場人物がわんさか出て来ます。普通ってなんだろう?という素朴な問いに対する主人公サイコの答えをお楽しみに。

「ぱんぱかぱーんとぴーひゃらら」は、日雇い労働者の岩崎と風俗嬢アッコの日々を描いた物語です。
この話を書くときが一番取材したんじゃないかな、と思います。
いろんな街に行って自分の目でそこに暮らす人々を見て、音や匂いや生活感などを取り込んでから書き始めました。
デリヘルの待機所やパチンコ店など、普段足を踏み入れない場所にも取材を申し込んで入れて貰ったりしました。快く協力して下さった皆さんに感謝しています。

そういえば私はパチンコをしたことがなかったのですが、この取材で初めて千円分だけパチンコを打ちました。賑やかな店内でスタッフに見守られながらパチンコを打っているとき、謎の感動があったのを覚えています(笑)
ユンボや重機の仕組み、超合金ロボの起源など、知らないことをどんどん掘り下げる作業がとても楽しかった。風俗業界の話なども詳しく聞かせて頂く機会があり、そこには意外にもカラリと健全な部分があったりして、むしろ昼間の世界にこそ一番深い闇があったりするのかもというようなことを考えました。

「東京回遊」はタクシー運転手と、そこに乗り合わせた専業主婦との2時間ほどの東京ドライブです。
虚構、というテーマで書きました。この話の取材は、とにかくタクシーの運転手さんに話しかけまくりました。
運転手さんのほとんどがタクシードライバー以外の前職を経験されていて、興味深い話ばかりでした。
小説を書いているんです、と言うと色んな話をしてくれて、降りる時にはすっかり仲良くなっていることもしばしば。
この話は前2作に比べて比較的変態っぽくないというか、R指定しなくても読める話かなと思います。
その分、心を掘り下げることに集中していた気がします。何気なく乗り合わせたタクシーという、偶然の接点がその後の人生を左右することだって充分にあり得ると思うのです。

ざっくりご紹介しましたが、最新作を書き上げた時にはもう「二度と書きたくない」なんて全然思いませんでした。
それは、音楽活動が出来ないという今の状況も手伝っての事かもしれません。
だけどこれからも私は小説を書き続けると思います。もちろん音楽活動に復帰した後も。

第一弾として世に出るこの2冊が皆さんに楽しんで頂けますように。
読んだら是非感想が聞きたいなあ。
 
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