鹿児島で生まれて育った18年間。
地元愛ってのはそれほど無かった。
嫌いなわけではない。
早く地元から出たいとか思ってたわけじゃないし。
高校を卒業して県外へ出た。
鹿児島の訛りが抜けたことには気付かなかった。
20歳になって東京に住むようになった。
年々里帰りの頻度は減った。
里帰りする間隔は2年、3年と広がっていった。
特別な理由なんてものは特にない。
飛行機代が高いとか時間がないとか。
いつも冠婚葬祭に理由を作ってもらって里帰りをした。
ふとした時、東京で鹿児島を自慢げに語る自分がいた。
これが美味い。
ここに行くと楽しい。
ここの景色がすごい。
これは東京じゃ体感できない。
何でだろう。
鹿児島のことを今更になって調べて、東京で飲みながらプレゼンしてる。
四半世紀なんかもうとっくに過ぎてから、やっと地元愛が生まれている。
何かきっかけがあったわけではない。
少しずつ流れる時間と少しずつ変わる価値観。
離れて見ると見えてくるものってほんとにあるみたい。
人や心は離れたら帰ってこないことがほとんどだけど、故郷は突き放したって故郷だ。
僕は地元に帰りたいとは思わない。
地元から地元を発信すること、守ることは素晴らしい。
けど、僕は東京で暮らして、故郷の話をしたい。
同じ街で暮らすみんなに、故郷の話をしたい。
遠くからじゃ届かない言葉も、東京にいるから届くこともあるよね。
先日、2泊3日で里帰りをした。
3年ぶりだった。
町の時間も、友達の時間も、たしかに進んでいた。
俺も変わっていたけど、変わらないものも見つけた。
実家のベランダから見える景色がなかなか良かった。
同郷の人たちが集まる日がある。
天文館の何十倍もある新宿の、小さな小さなライブハウスで。
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