インドのリシケーシュに滞在していた1968年春に、レノンは「グラス・オニオン」を書いた。歌詞の中には「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」、「レディ・マドンナ」、「フール・オン・ザ・ヒル」、「フィクシング・ア・ホール」など、これまでにビートルズが発表した楽曲および関連するキーワードが登場しており、レノンは「ビートルズの曲を聴いて、隠れたメッセージを探し当てようとする連中を揶揄するつもりで書いた」と語っている。

歌詞に出てくる「the bent backed tulips(逆に曲がったチューリップ)」はロンドンにある高級レストラン「パークス」でレノンが見かけた生け花、「Cast Iron Shore(鋳鉄の海岸)」はリヴァプール南部の沿岸地域のことで、「dove-tail(蟻継)」はレノンが学生時代に受けた木工の授業での思い出に由来している。なお、タイトルおよび歌詞に登場する「Glass Onion」は、モノクルを意味するイギリスのスラングで、アイビーズ(後のバッドフィンガー)がアップル・レコードより再デビューする際にレノンが提案したバンド名の候補でもあった。

インドから帰国後の5月に、イーシャーにあるジョージ・ハリスンの自宅でアルバム『ザ・ビートルズ』のセッションに向けたデモ音源の制作時に、本作も取り上げられた。この時点でレノンはヴァースを1つ書いていなかったため、当時レコーディングされたデモ音源では、このヴァースが2回繰り返されている。その後、EMIスタジオでのレコーディングまでに残る2つのヴァースの歌詞が書き足された。

2番の歌詞に「Well here's another clue for you all / The walrus was Paul.(じゃあここでもう1つ手がかりをあげよう / セイウチとはポールのことさ)」というフレーズがある。これについて、マッカートニーは「このくだりをやったときはすごく楽しませてもらった。ジョンが言いたかったのは『マジカル・ミステリー・ツアー』の“アイ・アム・ザ・ウォルラス”で僕ら全員が着ぐるみに入ることになったときに、たまたま僕がセイウチの着ぐるみに入ったということ。世間の人達が僕らの曲からいろんなことを読み取って、隠れたメッセージがあるとされている全部のネタから、ちょっとした伝説が生まれてくる。それで当時は、僕らの方からネタを仕込んでやろうということになったんだ」と語っている。