月別アーカイブ / 2012年03月

2012年3月のつぶやき

3月1日

 僕の友人で、物凄い才能の表現者がいる。才能では僕を上回るが、集中力では僕より遥かに劣る。描き出しても描けないで、彼は、タバコを買いに行く。途中で友達と出会い、競馬へ行く。儲かる。その友達と、飯を食って、飲みに行く。

 その間にも、描かなければ、描かなければ、と彼は思っている。そして金が続く限り、色々さまよって仕事場に戻らない。これが集中力に欠ける表現者の地獄だ。

 では、集中力をいつでも出せる様にトレーニングするにはどうするか。机の前に一時間座る。この一時間は、身じろぎもしない。何もしない。ただひたすらに、原稿用紙とにらめっこ。(小池一夫)

3月2日

 恐怖を感じたら、身体が固くなり、伸びやかに手先や爪先が伸びない。原稿用紙をじっと一時間見つめ続けている事は、何か描こう、描こう、と心に言い聞かせているのではなく、平常心を長い間保つための訓練だ。

 プロが試合に臨む時、その心の内では、「勝とう」という、「勝ちたい」という意識に集中しているはずだ。だが、それでは負ける。それはプレッシャーとなって、思う通りの集中力は出てこない。剣客が言う様に、「剣は常に平常心なり」。

 机の上に何もなくても、スッと原稿用紙がイメージの中に出てくる。平常心の表れだ。原稿用紙=平常心なり。それを自分の心に植え付けるのが、一時間机に座り、ただ一心不乱、原稿用紙を見つめて、平常心を保つこと。(小池一夫)

3月4日

 机の前に座って、一時間原稿用紙とにらめっこしていると、眠くなる。眠くなるという事が、平常心。眠くならないと、緊張している。焦っている。

 眠くなると、平常心で、いいアイディアが出てくる。次第に、原稿用紙に向かって座っていても、その眠さが取れて来る。常に平常心を保てる様になる。僕の弟子達は、これを実行した。(小池一夫)

(スタッフ告知)
本日20:00よりニコニコ生放送「小池一夫のニコニコキャラクター塾!」が放送されます!ゲストは神山健治さん!お見逃しなく! http://live.nicovideo.jp/watch/lv83242682

3月5日

 なンか麻雀がしたくなった。昔を思い出す。阿佐田哲也、小島武夫、清水一行、ムツゴロウ、の皆さンたち。よく麻雀をした。

 阿佐田さンは亡くなられたが、小島武夫は日本プロ麻雀連盟の初代会長だ。清水一行さンも亡くなられたが、粘り強い麻雀を打つ人だった。ムツゴロウさンは疲れを知らない。鬼の様な人だった。みンな強かった。こンな夜は昔を思い出して麻雀がしたい。

 僕のあだ名はホンイツの小池。ムツゴロウさンに言われた。「小池ちゃん、麻雀か食ってるかどっちかにしなさいよ」と。その頃は90キロを超えていた。もう一度この人たちと卓を囲みたい。森橋ビンゴよ、聞いてるか。諏訪の池田よ、差し馬やるか。(小池一夫)

3月6日

 今月二十五日にプロ麻雀連盟の大会がある。小島武夫に三十年振りに出場してくれと頼まれた。武ちゃンの頼みだから断るわけにはいかない。出て恥をかいてくる事になる。でも、楽しみでもある。優勝したらどうしよう。あほか。(小池一夫)

3月7日

 ツキ(気)の「流れ」というものがある。「流れが来た」とか「流れが去った」とか「流れに乗れない」とか、ツキの「流れ」とは一体なンだろうか。ギャンブルで大勝ちをする者がいる。逆もある。スポーツでもある。この摩訶不思議な、「流れ」。

 これを自分の方に引き寄せられたら、怖いものはない。僕の経験では、「流れ」は平常心の時に来る。机に座り、ずっと原稿用紙を見つめていると、眠くなる。眠くなるのを堪えていると、平常心になる。そンな時に、ツキが来る。

 僕は仕事でいつも眠くなるのを楽しみにしている。眠くなったら、ガーッと書き出す。アイディアがどンどン出てくる。ネームが冴える。(小池一夫)

3月8日

 催眠術をかけられた人間は、トランス状態になる。トランス状態になっては、何も描けない。また、平常心とトランス状態は違う。しかし、限りなく両者は近いものだ。

 僕は、描いてる最中は結構トランス状態に近くなって、主人公と一体化している。主人公が何を考え、どう動くか浮かンでくる。(小池一夫)


3月9日

 昨晩、友人の医者と飲ンだのだが、うつ病の薬がバカ売れで、製薬会社はかなり潤っているらしい。それに比例して、うつ病と診断される患者も急増している。それでまた、うつ病の薬が売れる。

 人生の不安や孤独や虚無などは、誰であっても避けられない。それらは本当に苦しいが、人間の精神活動の範疇で乗り越えるべき事であり、安易に薬に頼る事ではない。「人生の苦しい事ばかり数えあげる癖を治し、悦びを繰返し思う癖をつける」単純だが有効な僕なりのうつ病対策である。(小池一夫)

3月10日

 誤解、理解、共感、反発、色々あるが、生きて行く上で「対話」の重要さをつくづく思う、そろそろツイッター歴2年目を迎える76才の今日この頃。

 ツイッターって、文字数制限もあるし、あえて例外やマイノリティには言及しないで発言する事がある。で、いや、こういう立場や考え方もある、等の返信を頂くと、行間を読ンで欲しいなあ、と思ったりもする。しかし、膝ぽンな事や自分の浅い考えを指摘してもらい、深く頷く事も多い。(小池一夫)

3月11日

 年若い友人に赤ちゃンが生まれた。震災から一年、3月11日生まれ。送られて来た動画を見ていると、たとえ何があっても世界は営々と存続し続けて行くンだよ、という大きな意思を感じる。(小池一夫)

3月12日

 自分の中の一片の「狂気」が、創造や表現を促す。しかし、実際に一つの作品を仕上げるのは、「理性」だ。狂気と理性、相反する性質が創作には要求される。表現者は多かれ少なかれ、二重人格だ。若しくは、二重人格者たる技術を身に付けた者だ。

 昨夜、NHK の大河ドラマを見た。やはり、映像の加工処理がわざとらしい。まるで、野に咲く花に香水をかける様な行為だ。平安時代も現代も、太陽の光に違いはあるまいに。
...

 ジャズのライブに行った。小さな店だが、演奏者は皆一流。やあ、久しぶりだねぇ、と挨拶を交わしていたら、えーと、もしかして、従業員とミュージシャン以外、僕一人?結果的には滅茶苦茶イイ演奏だった。AKBが悪いとは言わないが、世の中には素晴らい音楽があるンだよと声を大にして言いたい!


3月13日

 「原発」という、科学技術の一分野を受け入れないという選択が、科学の進歩全体を放棄するかの様に原発推進派に言われる事に凄く違和感を感じる。専門的な事が解らない暗愚は黙っていろ、という様な。

 勿論、僕は原子力について素人だが、核のゴミを10万年地中に埋めるとか、海底1万mのプレートに海洋放棄すればいいとか、もう、無理やり感が凄い。あまつさえ、モンゴルに引き取って貰う等という解決策には下品さすら感じる。それらが可能な科学技術と金があるのなら、原発以外の策に使えばいいよ。

3月14日

 非婚や若い人の恋愛率の低下がよく言われるが、「あたたかで柔らかい心」さえ失わなければ、いつかは相手に巡りあえる。それは、損得を越えた感情である。76の爺が乙女の様な事を言う様で申し訳ないが、それは真実である。

 仕事をしていると、ザラザラ、ゴツゴツ、ギラギラ、ヘトヘト、そンな心持ちになる事も多いが、自分に「あたたかで柔らかい心」を分けあう相手がいるということは、人生の大きな救いだね。

 年に一度ぐらいの割合で谷口ジローさんンの「神々の山陵」が無性に読みたくなる。で、全力で全巻を読み終えると、次は夢枕獏さンの原作が猛烈に読みたくなる。そンな訳で、ここ2,3日、寝不足です。(小池一夫)

3月15日

 とても優しい人、人当たりの良い人っているけれど、それがその人の性格の弱さや他人に対する無関心からくる、かりそめの優しさだったりする事もある。手厳しい言葉にカッとする事もあるが、耳に痛い言葉にこそ真の思いやりが込められていたりする。耳障りのよい言葉にばかりすがってはいけない。

3月16日

 ことさら自分の弱さをさらけ出す必要はないが、自分の弱さを隠す必要もない。その逆もまたしかり。自分を大きく見せる必要もないが、やたらと謙虚過ぎるのも不自然。過不足のない自分自身でいられたらなあ、と思うのだが、これがなかなかに難しい。この年になっても難しい。やれやれ。(小池一夫)

3月17日

 昨夜は久々にイタリア料理に行った。以前は、客の会話が、さざ波が寄せては返す様な音量の中でゆったりと食事が出来る店だったのだが、最近は阿鼻叫喚のうるささ。マナーも悪い。特に業界人。せめてもの抵抗で、背筋を伸ばし、食前酒から最後のエスプレッソまでしっかり頂いた。

 そうしたら、今日はお腹がチクチク。年寄りの冷や水はイカンね。それにしても、最近、やたらと客のうるさい店が多いなあ。なンでだろ?何事においても、声を抑えて話せば話すほど、人はしっかり耳を傾けてくれるものだよ。大声の連呼は、何一つ言っていない事に等しい。

 「脱皮せざる蛇は滅ぶ」というが、表現者は表現者であり続ける限り、脱皮し続けなければならない。その時はとても苦しいけれど、スルリと古い皮を脱ぎ捨てて、新たな世界を獲得しなければ、表現者として続けて行くことは出来ない。(小池一夫)

3月18日

 チャップリンが、「自身の最高傑作は?」と聞かれた時に、「Next one」と答えたという。表現者たるもの、この言葉を凄まじいものだと思う。これから描くものが、自分の最高のものだと。過去に何の未練も残していない。僕はいつでも名前の前に、過去の一本の作品名がついて回る。頑張らなきゃ。

3月20日

 今、北京におります。今日も昨日もいいお天気でした。太陽も見えました。明日、日中国交正常化40周年記念行事で、北京外語大学の会場でキャラクターのおしゃべりをします。わかってもらえたらいいなあと思います。(小池一夫)

3月21日

 今日は、北京外語大でおしゃべりをした。大勢の学生さン達が来てくれた。マンガ、アニメ、ゲームについて、語り合った。さすがは外語大、日本語のしゃべれる人がかなりいた。天津工業大学の生徒や、北京工業大学、北京大学、あちこちの大学生達が集まって来てくれた。(小池一夫)

3月22日

 北京でのおしゃべりは終わった。一番感じたことは、学生達の日本のソフトパワーに対する憧れがものすごく強いということ。日本のソフトに憧れ、その技術を学び取ろうとする、ある種の渇きとも言うべきパワーはひしひしと僕に迫った。

 日本はいいものを持っている。世界に自慢できる、世界の若者から求められる日本のソフトへの憧れパワー。ところが日本は、なぜ自国のソフトパワーに無関心なのか。知的財産戦略本部は何をしているのか。明日帰ります(小池一夫)

3月23日

 帰国しました。中国の若者は、日本からのソフトを、ネットでも見れない。香港からの電波を拾って、不法にダウンロードして見ているのが現状だと。

 「これが正しいことではないことはよくわかっているけれども、どうしても日本のアニメやマンガを見たい。これをあなたはどう思いますか」と質問された。500人を前に、言葉に詰まった。ンー…どう言えばいいンだろうねえ。(小池一夫)

3月24日

 「東北ずん子」というキャラクターが出た。ボーカロイドならぬボイスロイドになるようで、このキャラクターに話をさせることが出来る様になるという。

 ロボット文化がまだ話をさせられない時に、ネットキャラが追いついてきた。キャラクターはどこまで人間に近くなっていくのだろう。面白いねえ。(小池一夫)

(小池工房告知)「俺、劇画、40年」 更新、第三回公開中。今回は、「あの作品」についてです。 http://bit.ly/xYozr9

3月25日

 表現者は、好奇心を失ってはいけない。マンガは、この原点は、好奇心から出ている。一つの事に好奇心を持って、下見、取材に行ったり、調べたり。それに自分の考えを加えて、キャラクターを創り出す。(取材源は明示しなければならない)

 僕は、毎日のように好奇の目であちゃこちゃ見回し、アンテナを張り巡らし、何かを掴もうとしている。(小池一夫)

(小池工房告知) 小池一夫劇場 [俺、劇画、40年・第三回 『子連れ狼』とメディア・ミックス] 公開中。http://bit.ly/xYozr9

3月26日

 会津若松の八重ちゃンのかわいいキャラクターが、今日ネット上に出た。初お目見え。実はこの八重ちゃンのギャグマンガ(四コマ)を江崎ころすけが描いていて、ネームが出来上がってきた。面白くて吹いたよ。笑えた。

 これから八重ちゃンの本格的なマンガも出来てくる。八重ちゃンブームが来るといいな。キャラクターを創っている時は、実に楽しい。会津若松よ、頑張らンしょ。(小池一夫)

http://tsurukan.com/iikoto.php?id=4

3月27日 

 1987年から長い間「電気を大切にね」と言い続けてきたキャラクター「でんこちゃん」が、使われなくなっちゃった。原因は色々あるンだろうが、彼女に責任を負わせる事はあるまい。逆にもっと活躍させるべきだろう。ヒーリング(癒し)キャラクターなンだから。かわいそうな事をするね。(小池一夫)

3月29日

 パソコンが世に出回り始めた頃から、例えば、本の題名は知っているが中身は読ンではいない、という様な類いの話しが増えた。どこかで借りてきた様な、どこかで聞いたような、ありあわせの、間に合わせの言葉や表現。おちゃらけた流行語。自分の言葉で話したいと思う。自戒を込めて。

 近藤ようこさンの「見晴らしガ丘にて」を読む。架空の街、見晴らしガ丘に住む老若男女の悲喜こもごもが、柔らかなタッチで描かれているのだが、「人間の本性をトコトン描いてやる」という作者の強いの意思が、どの短編にも通低している。名作である。

 昨日は携帯の調子が悪くて、ツイッターが出なかった様だ。気がついてかなり遅くやり直した。別に酔っていたわけでもない。体調悪かったわけでもない。なンか、思いもかけない事がある。(小池一夫)

3月30日

 @*****さン、そうですか、再起動ですか。ありがとう。次はトライしてみますね。それにしても、「再起動」って、よくよく考えてみると良い言葉ですね。リセットよりもずっと良い。生きていると色々ありますが、過去をチャラにしてリセットよりも、人生を再起動するという考え方って凄くイイ。

 あぁ、初恋のひとに会いたいなあ、あぁ、父母に会いたいなあ…。でも、もう逢うことは出来ない。会いたい人には、会える時に会っておくンだよ、若い人達よ。(小池一夫)

3月31日

 若い友人がバーを開くという。それで、「Bar エレクチオン」という店名にしてもいいですか、という許可を求めてきたのだか、やめなさい。君の為にヤ・メ・ナ・サ・イ!

 どンなコンセプトのバーなンだ!?本人はオーセンティックなバーだというが、とにかく、やめなさい。(小池一夫)

3月29日発売の「カイトVol.4」に、虚淵玄さんと小池一夫の対談が掲載されました!

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※くわしくは 小池書院ホームページをご覧ください。
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ゲーム・アニメ・マンガ――次世代キャラクター創造マガジン

カイト vol.4

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特報!

神奈川工科大学情報メディア学科3年生関沢このかが描く
『魔法少女 三満月美々のQED』
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特集1


マジカルワールドへようこそ!

小池一夫×虚淵玄(ニトロプラス)

『魔法少女まどか☆マギカ』の世界とキャラクターを語る!

※この対談は平成24年1月29日にニコニコ生放送で放送されたものを記事化したものです。

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特集2


祝!!25周年 ヒットメーカーに聞く!

「ストリートファイター」
小野義徳(カプコン)
「格闘ゲームのトップを走る秘密を探る」

「ドラゴンクエスト」
堀井雄二
「長く愛される秘密を探る」


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特選マンガ劇場

「夢源氏剣祭文」小池一夫×皇なつき

「ミノタウロスの皿」藤子・F・不二雄


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漫画作品

「アクマカリトール」 木村俊介

「派遣わらし」 日高こま

神奈川工科大学現役学生マンガ家!

「充電式少女」抹茶


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CG・イラスト 先生作品・学生作品を掲載!
『カイトミュージアム』『カイト・ギャラリー』


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梶研吾の誌上キャラクターゼミナール

熱血先生の誌上講義 小坂崇之

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オープンキャンパス情報・ニュース&トピックスなど
神奈川工科大学情報メディア学科の最新情報を掲載!

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ISBN978-4-86225-823-6  定価:500円(税込み)  

発行 神奈川工科大学

発売 小池書院

3月24日 『オークション・ハウス(9)トロイアの耳飾り レヤードの首飾り編』が発売されました!

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漫画スーパーワイド

オークション・ハウス(9) トロイアの耳飾り レヤードの首飾り編


愛と美を守る男!

類まれなる鑑定眼と贋作技術を持ち、
世界の美術界で活躍する一人の日本人がいた。
男の名は柳宗巌(リュウ・ソーゲン)!

両親を殺害した真犯人
「連合オークション・ハウス」を壊滅するため、
宗門図書館(クレメンダルシ)の
謎を暴いたリュウ・ソーゲン。

敵対したヒットラーの娘、オノン・ジーと心を通わせ、
新たな生活が始まった矢先、彼女を失ってしまう。

喪失感とともに彼女の故郷を訪れたリュウは、
オノンの異母妹イメルダと出会い、
彼女を守ることに!!


作:小池一夫|画:叶 精作

ISBN978-4-86225-726-0 定価:650円(税込み)   発売:小池書院

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