先日、夜中に帰ると
ポストに一通の手紙が届いていた。

閉じていない封筒。
宛名も差出人も書いていない。

すぐ開けた。

_var_mobile_Media_DCIM_108APPLE_IMG_8099.JPG
やっべー……!


大きな音で
引き戸の様な 引きずる音が
かなり響いております。

どうぞ お気をつけ頂けるよう
お願い致します。


大きな音。引き戸。
すぐに思い当たるものがあった。

最近、ユニットバスの折戸が
キイキイいうようになったな、
と思っていたのだ。
あれだあれだ。


ごめんなさーーーい!!


その夜はそーっと戸を使い、
翌日、
上下のレールと戸車の間に
機械油をさしたが
まだ少し軋む。

戸車の高さを調節してみようと
思ったけれど、そのためのネジが
戸のどこにも見当たらない。
困ったもんだ。

こう、こう、こういう具合になれば、
音がしないのにな、
と、
戸を持ち上げて動かしていたら
何かが上手い具合にはまったらしく、
突然、スッとなめらかに

ほぼ無音で戸が動くようになった。

そうそう、引っ越して来たころは
こんな具合だったよねー!

こうして
修理は数十分で、
たいへん気持ちよく終わった。


戸の音が鳴ると気づいていたのに
近所に鳴り響くとは
気づいていなかった無神経。

申し訳ない。
そして、手紙で教えてくれて
本当に良かった。

こういう苦情をもらったのは、
実は初めて。

生活は不規則だし、
昼も夜も在宅なことが多いし、
そのわりには夕方に出かけて
深夜に帰ってきたりするし
ウクレレは弾くし
歌は歌うし。

なのに、
一度も何も言われないから、
それなりに
ひごろの小さな気配りが
うまくいっているのだと思い込んでいた。

楽器を弾くなら、へやの中でも
外に聞こえにくそうな場所で弾くとか、
歌を歌うなら窓を閉める、
とか。

そういうものが
ある程度許容されていたのかもしれない中で
苦情の手紙を書くほどの引き戸の音って
どれだけ酷かったことだろう。

しげしげ手紙に目を戻せば
_var_mobile_Media_DCIM_108APPLE_IMG_8098.JPG

文章の端正さ、
率直さ、丁寧さ。

便箋の上での配分、
真っ直ぐな折り目。

そして
わざわざ新品の、
(おそらく無印良品の)封筒に
入れてくれているところ……。

なんとも、美しい苦情手紙なのだ。

一方的に迷惑を受けている中で
こんな手紙を書けるような
自己抑制力のある人に、
うるさい思いをさせていたとは。
それも、そんな人が
手紙を書きポストに投函するという
行動を起こすほどに激しく。

はあーまったく
心苦しいし
ありがたい。

これをきっかけに戸が直って
他にも迷惑していた人がいたなら
その人も助かったはず。

伝えてくれて、ありがとう。
この気持ちが伝わればいいんだけれど。
聞こえていた軋みが消えたことで
ほんの少しでも
わかってくれるかな。

コミュニケーションって偉大だ。
この手紙のおかげで、
(私が悪くしていた)世の中は
少しだけ良くなったのだ。

悪くしていた私でさえも、
それが嬉しい。