今日は脚本執筆の1日だった。と言いたい。
希望願望。
それをいえる程、進んだかどうかは別だが、脚本執筆をしていたのは事実。

さてさて、前々回の続き。
初監督作品。田口トモロヲさんの時間がなくなる。ロケの家の1階にいるスタッフと機材。残るシーンは1階と2階が1シーンずつ。
1階から撮ったら、2階に行けるかもしれないし、しれないかもしれない。
2階から撮ったら、1階シーンは絶対に撮れない。
ただし1階シーンは捨てることができるが、2階シーンはストーリー上必要なシーン。
というどっちも選べない状況。

僕はその時に一人でロケ外にでた。
真っ暗な森、膝までの雪、顔に当たる雪…の中で、なぜか涙がぼろぼろと溢れた。
でも振り返ってみると、真っ暗中でロケ地である家だけが煌々と輝いていて…2階から撮るなんて弱気なことを言ったら、ここまでついてきてくれたスタッフを裏切る行為だと思った。
急ぎ現場に戻り、「1階からいきましょう」と伝えた。

スタッフ全体が盛り上がり、盛り上がりすぎたからか照明機材が壊れたり、とハプニングもあったが、無事に撮り終えた。
急いで2階へ。

2階は夏のシーン。とは言っても外の気温はマイナス。ロケ場所の家は土壁で、実は暖房器具がひとつもない。ということで外と変わらず、とにかく寒い。
気温がマイナスでも夏のシーンを撮る。
それでも田口トモロヲさんは文句ひとつ言わずにTシャツになり、夏の汗をつけるために水を…ほぼ氷水のような水を浴びる。
そして無事にロケは終了。1階も2階も両シーンが撮れた。

疲れ果てて3階でぼんやりしていると、トモロヲさんがきた。
これでトモロヲさんはクランクアップ。
「監督、写真撮りましょう」と言ってくれて、当時はスマホなどないので、ポラロイドカメラで記念写真。
そしてトモロヲさんが写真の僕の頭の上に王冠を描いてくれた。

僕は映画の演出方法を誰からも学んだことがなく、そして誰の現場も見たことがない。
だから演出術は完全オリジナル。
トモロヲさんは、うちの現場の前は大監督・今村昌平組。今村監督の後に僕の演出かぁ〜って実はちょっとなってて、よく「僕の演出意図、伝わってますか?」って聞いてたのを思い出す。
だから王冠は嬉しかった。

結局、トモロヲさんは自分から事務所に連絡して、寝台車かなにかで東京に帰ることにしたらしく、時間にはちょっと余裕ができていたそうだが、僕は知らなかったという結末。

「僕の演出意図、伝わっていますか?」というのは、2本目の映画まで役者さんに聞いていて、そこから先は口にしなくなった。
その頃からやっと自分のことを「映画監督の荻野」というようになったというオチ。


朝はヨーグルト。昼はサンドイッチ。夜は焼肉定食。
焼肉に行くと、ほぼ焼かずに食べるので、いつも肉が冷たいです。
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