男は部屋の汚さに驚いていた。





積み上げられた本、無造作に置かれた買ったばかり物。自分でもわけも分からない状態。そこで男は大掃除をしようという一大決心をする。




男は幼い頃から片付けが苦手なのである。人目に付く学校や人のいる所ではキレイに扱うが、自分だけのスペースとなると、それが出来なくなるのだ。だから普段からキレイにしようという意識はあるものの、時たま部屋に目を向けるとあられもない姿になっているのだ。それだけでも気が重くなるのだが片付けないわけにもいかず、仕方なく片付けるというのがいつものお決まりである。




男は何も無かった部屋に自分の好きな物を置くのが好きだった。だからあれこれ無計画に自分のときめいた物を適当に置く癖があった。そのために物で溢れかえる部屋。しかもタチが悪いのは買っただけで満足してしまう物も多いのだ。だから「こんなもの買ったっけ?」などと言いながら片付ける羽目になる。


男の頭にはあれをあそこにとか、これはここに置きたいというイメージはあるけれど、そればっかり考えてしまって中々進まない。逆にどんどん奥から溢れかえる物に、イライラ。その中に「懐かしいなぁ」宝物を見つけたように振り返ったりもする。




そんなカオス状態の部屋でかれこれ一週間も過ごしている。




溢れかっている物は勝手に消える事はない。自分がどうにかして処理しなければいけないのだ。毎度のことこうなるのだから、途中でこうなることは予想はついていたのに無視していた。
なのに、なかなか片付けられない自分にイラつくし、落胆するし、何をやっているのだろうという気持ちになる。そして捨てる物に申し訳ないという思いもある。せっかく自分が買って積み上げたのにと肩を落とす。全て自分が決めたことなのに、何かのせいにもしたくなる。自分勝手な男だ。

自分が最初に目指していた部屋とは全く違うことに対しても呆れる。だから捨てる物にはごめんねと謝る、それと同時にありがとうも。

最初は集めるのが楽しかったけど、この際全てを断捨離してみようかなと迷う男。でもそんなことはできるはずがないと分かっているはず。そしたら今まで捨てた物とか失くしたものに申し訳がたたないから。理想の部屋を作るのはもう無理かもしれないけど、やれることはやってみる。部屋は姿を変えるけど、部屋とは違うのだ。だから残した物を最大限大切にしようと決心したのだ。




まだ少し片付くには時間がかかるだろう。やっとキレイになった部屋をまた汚してしまうだろう。














だけども、その度に片付けていこうと男は思った。















_var_mobile_Media_DCIM_104APPLE_IMG_4428.HEIC