赤城乳業株式会社(以下、赤城乳業)は、昭和36年設立。昭和6年に設立された広瀬商店を前身とし、「赤城乳業」と称号を変更したのちに株式会社となった。乳業と号してはいるが、チーズやバターなどの乳製品は製造していない。称号を変更する際、すでに業界大手であった「○○乳業」という企業たちに追いつくという決意からである。ネーミングセンスからしてユニークだが、赤城乳業が重要視するのは、まさにこの遊び心、斬新な発想なのだ。設立から3年後の昭和39年、赤城乳業はかき氷タイプの商品である「赤城しぐれ」
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を販売し、ヒットさせる。当時、かき氷は大衆食堂などで庶民に愛されていたもので、カップに入れて販売するというアイデアは非常に画期的であった。駄菓子屋を中心に人気を集めた「赤城しぐれ」は、発売した年に4,000万個を売る大ヒット商品となり、これを柱にして、赤城乳業の事業は徐々に拡大していくことになる。国内各所に営業所や工場を建設し、昭和51年には現本社となる深谷工場が完成。より一層の発展につながっていった。

 しかし順調に売れ続けていた「赤城しぐれ」にも問題がふりかかる。昭和50年代頃から始まったコンビニの普及である。大手の企業が新たな市場を獲得していく中で、当時、コンビニへの販路が少なかった赤城乳業の商品は、ごく限られた店にしか置かれていなかった。さらにコンビニに商品を求めてやってくる消費者は、買ってすぐに食べられる手軽さや、片手で食べられる形状などを重視し、カチカチに凍った「赤城しぐれ」はそういった需要にもマッチしていなかった。時代の流れとともに、「赤城しぐれ」は消費者ニーズに応えることができなくなっていたのである。

■ 時代のニーズを受けて形を変える赤城しぐれ
「赤城しぐれ」の低迷を受けて、赤城乳業では連日、新商品会議が行われた。思い切って値段を上げて商品のサイズを大きく、やはりかき氷を使った商品であること、当たりくじをつけること、斬新なネーミング、などなどさまざまな考えがあったが、必死の試行錯誤にもかかわらず、なかなか思うような商品はできなかった。
■そんな中、一つのアイデアが提出される。
コンビニの消費者ニーズに合わせて、かき氷に棒を刺して片手で食べられるようにしたらどうか、というものであった。バータイプのアイスキャンディーであれば、買ってすぐ手軽に食べられる。歩きながら食べたり、子どもたちが遊びながら食べることもできる。それまで誰も思いつかなかったバータイプのかき氷という活路を見出した赤城乳業は、すぐに開発にとりかかった。そして迎えた昭和56年、現在も赤城を代表する商品である「ガリガリ君」が誕生。
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これは斬新な新商品誕生の瞬間でもあり、これまで赤城乳業を支えてきた「赤城しぐれ」が形を変えて生まれ変わった瞬間でもあった。

 1980年代当時、赤城乳業はアメリカへの憧れが強かったことから、パフェタイプ商品の開発も手がけており、「フロリダサンデー」を1982年〜2002年まで発売。サンデー(=Sundae)は、アメリカ生まれのデザートで、日曜日だけ販売したからこの呼び名なんだとか。ストロベリー、ブルーベリー2種の「フロリダサンデー」を復刻し3月24日より絶賛発売中。
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■ 「パフェ」と「サンデー」の違いを大手レストランチェーンの広報担当者へ電話取材を行った
パフェは、コーンフレークがトッピングされていて、層が重なっているもの。サンデーは、アイスクリームの上に色々具材やフルーツソースやチョコレートソースなどがトッピングされたものだそうです。

〈一目でわかるフロリダサンデー誕生時代背景メモ〉
1964年(昭和39年)オリンピックの年にヒット商品が誕生
「赤城しぐれ」発売。成功の秘訣は庶民の味・かき氷をカップに詰めるという発想。

1981年(昭和56年)国民的アイスキャンディー誕生
低迷期の脱却を狙い開発した「ガリガリ君」だが、一気に売上げが伸びたわけではなかった。じわじわと浸透し、今やそのネーミング、味でアイスキャンディーの定番となった。

1982年(昭和57年)フロリダサンデー誕生
1980年代当時、アメリカへの憧れが強かったことから、アメリカの州名「フロリダ」、アメリカ生まれの言葉「サンデー」を取り、フロリダサンデーという商品名で誕生。価格については、赤城乳業のパフェタイプ商品「パフェデザート」や「グランパフェ・ア・ラ・モード」の350円に対し、「フロリダサンデー」は180円。※ 価格は税抜き表示
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赤城乳業関係者によると「コンビニの平台のアイス売場で動くものと自信をもっている」。時代背景に適応した復刻として受け入れられるか、商品動向に注目だ。
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取材協力:日本アイスクリーム協会