質問にお答えします。


「ワセリン」とは、石油などのオイルを精製して作る『炭化水素油』の一種です。

炭化水素油とは炭素と水素のみで構成されたとても油性の強い油です。

同じ仲間にはベビーオイルなどに用いられる「ミネラルオイル」や「スクワラン」などがあります。


皮膚への刺激がほとんどなく、医療現場でも傷の保護油や乾燥対策の軟膏などとして処方されています。

ちなみに化粧品グレードから医薬品グレード…と不純物を取り除く「精製」の度合いによって品質と色が異なっており、

高度の精製になるほど色が白〜透明になります。

市販されているものだと「サンホワイト」などの白色ワセリンが不純物が限りなく少なく敏感肌でも使いやすいでしょう。



ここからワセリンを「保湿剤」として使用する際の注意点です。

ワセリンは上記で説明したように炭化水素油という油の性質をとても強く持った油剤です。

分子量も大きくそれそのものは肌への負担にはなりませんが、油性の強い油は「疎水性相互作用」という他の油を引き付ける力が強く、

皮膚に塗布した際に皮膚内の天然の油分を奪い取ってしまう懸念があります。

詳細については以下記事のミネラルオイルについての注意と同じです。



なので、ワセリンを使用する際には

・水分の蒸発を防ぐための蓋
・刺激緩和のための保護油

としては最適ですが、

それそのものを保湿剤として使用し続けると肌内部の乾燥を誘引してしまう懸念があります。

(半固形油のためミネラルオイルよりは油分を溶かしにくいですが、長く使うと同じ懸念があります)


またワセリンは油の性質がとても強く水分を強く弾いてしまうため、

ワセリンの上から保湿剤を適用しても肌そのものへの保湿効果はほとんど得られなくなってしまうでしょう。



ワセリンを用いた理想的な保湿方法としては、

まずは水分主体の保湿剤を使用したのち、乾燥が強い場合などに限って局所的にワセリン等の保護油を上から重ねることです。

この際ワセリンはテカリやすいため塗りすぎないことと、毛穴に詰まりやすい点を気をつけなければなりません。


また手肌を痛める可能性のある仕事(炊事や洗濯等)の際に保護油として予め塗布するのは大変効果的です。

刺激に敏感な部位の保護剤としても非常に優秀なので、

これらの特性を理解して上手に活用したいです。