月別アーカイブ / 2020年08月




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    宇枝田さんによると、
    2016年の大統領選の年に、
    近くのショッピングモールに見慣れない投票箱があって、
    何だろうと不思議に思ったそうです。

    実はそれが大統領選の選挙人を選ぶ郵便投票用の投票箱だったんですね。


    「私がアメリカに来た2016年も大統領選で、その時も見たことがありますが、
    来たばかりの私は気に留める余裕はなかったので、今回初めていろいろ調べています。

    選挙の方法は 州によって違うみたいなのでややこしいです。それに今年はコロナ対応もあるから 変則的です。
    情報が多すぎて よくわからなかったので、友人の経験を聞くほうが早いと思い、聞いてみました。
    彼女とは、バイリンガルのパブリック・スピーキングのクラブで知り合い、今でも週1回 お互いに英語と日本語を教えあっています。

    ワシントン州では 以前は日本と同じように 公民館や学校で投票していましたが、約10年前から郵便による投票に切り替わりました。
    当初は、普通に郵送する場合は切手が必要、この投票箱に入れる場合は切手は不要という違いがありましたが、現在ではどちらの方法でも切手は不要です。
    ショッピングモール等の人の集まる場所に置いてあるのは、気軽に投票できるように、という利便性のためです。

    選挙登録すると、郵送で投票用紙が送られてきます。封筒は二重になっていて、外側の封筒には名前、住所、署名を書きます。
    内側の封筒には何も書かないようになっていて、外側の封筒から出した状態で集計に廻されるようになっています。

    州によっては、コロナの影響で郵送に切り替えたところもあるようですが、ワシントン州ではもともと郵送なので、その点ではいつもと同じのようです。
    8月に予備選が終わり、今は11月の本選のために投票箱が置いてあります。

    私はやっと、「この箱」のことを理解しただけなので、他にも大統領選挙に関して友人を質問責攻めにする予定だったのに、
    共和党大会が盛り上がっているタイミングでの安倍総理の辞任にインパクトがあったみたいで 
    【来週は 日本の次の総理大臣はだれがいいか、話しましょう!】ということになりました。
    当分、日米の政治について話す日々が続きそうです。」

    トランプ大統領が武器を売りつけるときは強引でも、その他のときはシンゾー、シンゾー、と親密に呼んでいたので安部さんへの関心、ひいては日本の首相への関心が高まっているようです。

    アメリカ人が予想する日本の次期首相は誰か?






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コロナ禍でお休みに入る前は
前年の大河がこけたので
制作陣に重圧がかかったかな

出だしの2、3回は
軽快に運んでよかったが
だんだん重くなった

特に、
戦国特有の主筋の謀殺や
肉親殺しの場面は重く暗かった

もっと斜の視点から
軽快に描いたら
戦国の特質が明瞭に伝わったかな

今回は十兵衛の「すまぬ」の
繰り返しが涼風を呼んだ

義輝将軍は次回あたりで
弑逆されると思うが
似ても焼いても食えぬ松永弾正が
とぼけ顔して大罪を企てるところは
暗い場面の軽快な運びにつながるか

暗く重い場面をそのように描くのは
誰にでもできる

ところで
義輝将軍は
松永勢、三好三人衆の軍勢などによって
攻め滅ぼされるが
松永勢を率いたのは
すでに家督を譲られていた
息子の久通である

実際に糸を引いていたのは
大和にいたままの親父殿か

今回
覚慶という若い僧が登場し
貧しい民に施しを与えている

のちに還俗して
信長の支えにより
足利最後の将軍となる義昭である

将軍にしてもらいながら
信長に対し叛服常ならずの
義昭だったが
信長は義昭を殺さなかった

殺すには忍びない
人間性を持っていたのか

同じく叛服常ならなかった
松永弾正は信長に居城を攻められ
信長が欲しがっていた茶の名器とともに
城を枕に憤焼死する

義昭 松永弾正 信長三者の葛藤に
十兵衛がどう関わるか

この辺りの軽快な筋運びを期待したい











夕食をすませて父が立ち上がった。
「じゃ、後は頼むよ」
僕はデザートのイチゴを口に入れながら、
「う、うん」
と、声を詰まらせてうなずいた。
母が亡くなってから、
休日の朝、昼、夕食と
木曜日の夕食は父が作る。
いろいろ用事ができるので、
あくまで原則だけど。

食事の後片付けは僕の役目だ。

大学の研究室勤務の父は、
木曜日が半日勤務だった。
今日がその木曜日だった。
「あっ、ちょっと」
書斎に向かう父を、
僕は慌てて呼び止めた。
「何だい?」
「健康保険証、出しといてくれる。明日、
  耳鼻科へ寄りたいんだ」
「どこか具合悪いのか?」
「鼻が少し詰まるんだ」
「そうか、解った」
父は健康保険証を用意してくれた。

僕は小学5年。
頭だけ少し早熟かな、と
父が小首を傾げたことがある。

母は子供時代に、
天才少女ピアニストとして
騒がれたことがあった。
父と結婚する頃は、
音大の普通の先生だった。

それでも、
実力は日本の女流では20位前後、
と父が僕に言ったことがある。

僕に手がかからなくなって、
自宅で弟子をとって教えていた。

小学3年の秋、
学校から帰ると、
母は階段下で血を流して死んでいた。
検視の結果は、
脳貧血を起こし真っ逆さまに階下へ落ちた。
打ち所が悪く、
ほぼ即死だったという。

それまでにも母は、
数回、脳貧血を起こしていた。

僕にとっては残酷なほど、
ショッキングな事件だった。


翌日、
僕は通学途中にある耳鼻科クリニックに寄り、
いろいろ検査をしてもらった。
1週間後に検査結果を訊きにいくことになり、
急いで登校した。

その日、
学校から帰ると、
ある予感がして2階へ上がった。
2階にはレッスン場と、
ピアノ以外の楽器室があった。

僕は防音されたレッスン場のドアへ近づいた。
ドアは特殊合板の分厚い造りだった。
やっぱり弾いている。
右耳をドアの合板に20センチほど近づけると、
旋律が明瞭に聴こえた。

母は個人的には
モーツァルトが好きだった。
ゼロ歳1歳の僕をおんぶしながら、
いつもモーツァルトを弾いていた。

そのことを記憶しているわけではない。
でも、
僕の幼い耳は
たっぷりモーツァルトを聴いていたはずだ。

今ドア越しに僕の耳に届いているのは、
ピアノソナタK.545ハ長調だ。

しばらく陶酔して聴き入って、
これもまたいつものように、
重いドアを開けた。

20畳あまりの洋室に、
いつも弾けるようになったグランドピアノと、
布カバーを下ろした普通のピアノが置かれている。

僕はグランドピアノへ歩いた。
今の今まで母がきていて、
弾いていたのだろうか。
自動ピアノなんかじゃないぞ。
今しがたまでドア越しに聴いていた
ピアノソナタは、
母が弾いていたものだと僕には解る。

無意識で華やいだタッチで弾く小節があって、
その母の癖は僕にしか聴き分けられないのだ。

僕はグランドピアノのそばで
3,40分立ち尽くしていた。
鍵盤が叩かれるところだけでも見たかった。
僕には見えない母のしなやかな指が
踊ってのことに違いない。

「どうしたんだ?」
不意に、父の声がした。
少し部屋に入って父が立っていた。
「お母さんのことを思い出して。
 ねえ、このグランドピアノ、
 どうしていつも開いているの?」
「そうしておけばね、お母さんが
 天国から下りてきて弾いてくれるかな、と思って」
父は瞳を悲しみで輝かせていた。

耳鼻科へ寄った。
「きみの耳鼻咽喉には、
 何の異常も認められないよ」
パソコンから目を離して、
高齢の域に入る医師は、
僕をまっすぐ見た。
「聴力が凄い。それも右のほうが特にだ。
 将来は音楽関係に進むといいよ」
「聴力がいいと幻聴も起こりやすいですか?」
「幻聴か。機能的には異状なしだから、
 そうなると精神科の領域だな」
医師は薄く笑いながら言った。


数日後、
僕は家からもっとも近い総合病院の
精神科を受診した。
「まだ小学生だろう。普通は親とくるもんだよ」
主治医は驚いたが、
それだけに興味を持ってくれて、
問診の意味もあってのことか、
充分に時間を取って話を聞いてくれた。
「幻聴はね、統合失調症ではよくあることだが、
 きみが統合失調症ではないことは200%確実だよ」
「じゃ、僕がずっと聴いてきた母の演奏は、
 幻聴じゃないということですか?」
「PTSDって解るかな?」
「心的外傷後ストレス障害です」
「まいったなあ、知りすぎだよ、きみ」
主治医は苦笑して、
「お母さんの事故死がきみの心に
 癒すことのできない傷を作ったのかなと思ったが、
 PTSDというほどのものじゃない。つまり、
 それに起因する幻聴は考えられない。
    きみは精神的には強いよ」
「じゃ、何なんでしょうか?」
「きみね、小学生はそんな風に拘らないで、
 よく学びよく遊んでごらん。難しいことを
 考え過ぎなんだよ。そうだ、今度、
 お父さんと一緒にお出で」
主治医はうるさそうに言って、
僕から視線をそらした。


僕は家へ帰ると、2階へ上がった。
レッスン室の特殊合板のドアにそっと近づいて、
右耳を澄ました。

聴こえる聴こえる。
弾いている弾いている。

ピアノ協奏曲第23番第2楽章だ。

心の奥から僕に対する深い愛情を表して
弾いてくれている。
この弾き方に関し、
そう僕は勝手に思いこんでいる。

このとき、ふっと、
初めて気づいたことがあった。
グランドピアノで弾かれている曲を
ドア越しに聴いているのではなくて、
そのドアが曲を奏でていることに。

僕は初めてドアに右耳を押しつけた。
その瞬間だけ、
ドアが本当に細かく振動していることを、
僕の右耳の鼓膜は捉えることができた。
でも、振動は右耳が触れた途端に止んでいた。

静かに右耳を離した。
ピアノ協奏曲第23番第2楽章の演奏が再開された。

そうか、
このドアは母の演奏を正確に覚えているのだ。
僕が近づくと
ごくかすかに振動して演奏を始める。
僕にしか聴こえない音量で。

それは母の遺志によるのだ。

僕は母の温もりに包まれた。

お母さ〜ん!















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