月別アーカイブ / 2017年07月

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うん
何だか妖しく危険な気配を孕んでいる
都会の夕景はときに心を危険に誘う
今の夕景もそうだ
エンパイアステートビルを
小型化したようなビルが妖雲を吐いている
その妖雲に潜む大蛇が鎌首を出し
舌を出し入れしている
彼方の夕映えの底に
大蛇の敵が伏せているのか
壮絶なドラマが始まろうとしている
いや 禍々しい幻想が
僕の心を塗りつぶそうとしている

クラクションが鳴り響く

現実にやっとのことで戻れた僕は

幻想の残滓を残す心に不安を覚えながら

改札に向かう

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裏庭の若木の桜が咲いたとき
きみは羽音を立ててきてくれた
通りがかりだったのかな
充分に蜜を採集できなかったはずだ
巣には運ばず自分の食事にしたのかな

 あれから3ヶ月経った
 きみはどうしているだろう
 地元のハチなら
 巣の入り口で忙しく羽を震わせて
 換気を行っているのだろうか
 それとも 新しく誕生した女王バチについて
 どこか遠くへ巣を構えたのだろうか
 真夏の花の蜜は濃い味かしら
 
 きみが養蜂業者に飼われているハチなら
 今頃 東北の地だろうか
 ブナの原生林を見上げる
 高原に滞在して
 蜜集めに余念がないのだろうか

スズメバチに襲われないよう
気をつけるんだよ
近頃は ツキノワグマも
野生の巣より効率がいいので
きみたちを襲うらしいじゃないか

もしも来年もこれたら
裏庭の若木の桜の下できみを待ってる
お互いの一年ぶりを見せあおうね
 

 


 情けは人の為ならず

 この箴言の意味を今は誤って理解している人も少なくないので

 ここで確認しておこう

 
 何かで困った人を見て同情し助けてやる(情けをかける)

 それはその人の為じゃないんだよ

 いずれ回り回って自分が困ったときに

 思いがけず誰かの恩恵を受けて助かる

 つまり 自分の為になることなんだから

 人の為になっておこう

 
 確かにみんながこの精神に立てば

 誰かを助ければいつか誰かから助けられるだろうね

 
 僕には父が 情けは人のためならず をしてくれたおかげで

 僕が代わりに恩恵を受けることになった経験がある

 僕が中学2,3年の頃

 父は旧国鉄の新線建設工事で長期出張していた

 父の現場には地元の人が臨時作業員として働いていた

 その1人が自分の不注意で怪我をした

 60年以上も前のことで臨時作業員には何の補償もない

 無論 労災保険なんか夢のまた夢の時代だ

 父は内緒でその人の奥さんになにがしかのカネを貸した

 自分のポケットマネーだったことは言うまでもない

 
 それから12,3年経って

 僕は英字百科事典のセールスをやっていた

 フルコミッション制だから売らなければ1円にもならない

 20数巻1セットで当時で20万円前後した

 セールスが苦手な僕にはきつい仕事だった

 北海道ならまだ市場は荒らされていないぞ

 と言うことで札幌へ飛んだ

 青森まで夜行列車で行き

 青函連絡船に乗って函館から急行で札幌に入った

 当然のことながら旅費はすべて自弁である

 数セット売らないと元が取れない

 焦ったが 結果は出なかった

 これで終わりにしようと訪れたところが小さな工務店だった

 女社長で雑然とした社長室に通されると

 
  うちは国鉄の仕事をしていてね

 と言ったので

 父が国鉄職員だったこと

 帯広方面の新線建設工事で1年以上現場に長期出張していたこと

 などを話した

 すると 女社長は僕の名刺を改めて手に取り眺めた

 それからアルバムを取り出し あるページを開いて

 
  この中にお父さんいる?

 と 僕に見せた

 工事中の線路を背に屈強な男たちに囲まれて

 ジャンパーに長靴姿の父が写っていた

 
  これです

 
 僕が指で示すと 女社長は僕を見て目をうるうるさせた

 
  これがうちの人だけどね 一昨年病気で死んじゃったの

 そのあと 父がカネを貸してくれて大変助かったということを

 詳細に話してくれたのである

 
  お父さんは口が堅い人だったからお母さんにも話していないと思うよ

  とにかく助かったの それから頑張って

  曲がりなりにも会社を作れてやってこれたけど

 女社長は涙ぐみながらこう続けた

 
  あの人が生きていたら驚いて とても喜んだでしょうね


 女社長は1セット購入してくれて あちこちに電話をかけてくれた

 翌日 その紹介先はすべて購入してくれ 合わせて5セットも売れたのである

 帰りは贅沢をして胸を張って機上の人となった


 父がかけた情けが僕に巡ってきたわけだが

 本当の 情けは人の為ならず は冒頭で説明した通りである

 別に自分の為に人を助けるということではなく

 心を動かされての無私の行為が自分を成長させるのだ

 と 考えてもいい

 そういう人間性なら結果としていい人生を築く

 それをもって回り回って 自分が恩恵を受けたのである

 

 

 

















 

 

 

  

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