月別アーカイブ / 2017年07月
きみは今どうしているだろう なぜか人の定めと重なるのです
裏庭の若木の桜が咲いたとき
きみは羽音を立ててきてくれた
通りがかりだったのかな
充分に蜜を採集できなかったはずだ
巣には運ばず自分の食事にしたのかな
あれから3ヶ月経った
きみはどうしているだろう
地元のハチなら
巣の入り口で忙しく羽を震わせて
換気を行っているのだろうか
それとも 新しく誕生した女王バチについて
どこか遠くへ巣を構えたのだろうか
真夏の花の蜜は濃い味かしら
きみが養蜂業者に飼われているハチなら
今頃 東北の地だろうか
ブナの原生林を見上げる
高原に滞在して
蜜集めに余念がないのだろうか
スズメバチに襲われないよう
気をつけるんだよ
近頃は ツキノワグマも
野生の巣より効率がいいので
きみたちを襲うらしいじゃないか
もしも来年もこれたら
裏庭の若木の桜の下できみを待ってる
お互いの一年ぶりを見せあおうね
情けは人の為ならず この箴言は心中に常に留めて心がけておけば思いがけないところから救いの手が差し伸べられる
情けは人の為ならず
この箴言の意味を今は誤って理解している人も少なくないので
ここで確認しておこう
何かで困った人を見て同情し助けてやる(情けをかける)
それはその人の為じゃないんだよ
いずれ回り回って自分が困ったときに
思いがけず誰かの恩恵を受けて助かる
つまり 自分の為になることなんだから
人の為になっておこう
確かにみんながこの精神に立てば
誰かを助ければいつか誰かから助けられるだろうね
僕には父が 情けは人のためならず をしてくれたおかげで
僕が代わりに恩恵を受けることになった経験がある
僕が中学2,3年の頃
父は旧国鉄の新線建設工事で長期出張していた
父の現場には地元の人が臨時作業員として働いていた
その1人が自分の不注意で怪我をした
60年以上も前のことで臨時作業員には何の補償もない
無論 労災保険なんか夢のまた夢の時代だ
父は内緒でその人の奥さんになにがしかのカネを貸した
自分のポケットマネーだったことは言うまでもない
それから12,3年経って
僕は英字百科事典のセールスをやっていた
フルコミッション制だから売らなければ1円にもならない
20数巻1セットで当時で20万円前後した
セールスが苦手な僕にはきつい仕事だった
北海道ならまだ市場は荒らされていないぞ
と言うことで札幌へ飛んだ
青森まで夜行列車で行き
青函連絡船に乗って函館から急行で札幌に入った
当然のことながら旅費はすべて自弁である
数セット売らないと元が取れない
焦ったが 結果は出なかった
これで終わりにしようと訪れたところが小さな工務店だった
女社長で雑然とした社長室に通されると
うちは国鉄の仕事をしていてね
と言ったので
父が国鉄職員だったこと
帯広方面の新線建設工事で1年以上現場に長期出張していたこと
などを話した
すると 女社長は僕の名刺を改めて手に取り眺めた
それからアルバムを取り出し あるページを開いて
この中にお父さんいる?
と 僕に見せた
工事中の線路を背に屈強な男たちに囲まれて
ジャンパーに長靴姿の父が写っていた
これです
僕が指で示すと 女社長は僕を見て目をうるうるさせた
これがうちの人だけどね 一昨年病気で死んじゃったの
そのあと 父がカネを貸してくれて大変助かったということを
詳細に話してくれたのである
お父さんは口が堅い人だったからお母さんにも話していないと思うよ
とにかく助かったの それから頑張って
曲がりなりにも会社を作れてやってこれたけど
女社長は涙ぐみながらこう続けた
あの人が生きていたら驚いて とても喜んだでしょうね
女社長は1セット購入してくれて あちこちに電話をかけてくれた
翌日 その紹介先はすべて購入してくれ 合わせて5セットも売れたのである
帰りは贅沢をして胸を張って機上の人となった
父がかけた情けが僕に巡ってきたわけだが
本当の 情けは人の為ならず は冒頭で説明した通りである
別に自分の為に人を助けるということではなく
心を動かされての無私の行為が自分を成長させるのだ
と 考えてもいい
そういう人間性なら結果としていい人生を築く
それをもって回り回って 自分が恩恵を受けたのである