月別アーカイブ / 2016年12月


 嘘はね

 子供の頃に痛い目に遭ってると

 大人になっても騙されないよ。

 小学2年の頃

 小公子

 という子供向けに書かれた

 本を近所にいた

 大学生のお兄さんに貰ったの。

 子供の頃に繰り返し愛読した

 思い出の本だけど

 きみにあげるよ

 ということでね。

 その大学生は

 それからしばらくして

 信州の高原の療養所に入った。

 結核がまだ国民病と言われていた時代で

 若い人で結核で死ぬ人も多かった。


 その小公子は

 繰り返し読んで

 僕の宝物になった。

 小学5年のとき

 小公子の話をしたら

 同級生が夏休みに読みたい

 というから貸してやった。


 夏休みが終わってみると

 その同級生は転校していた。

 悔しかったね

 近かったら

 返してもらいにいこうと

 思ったけど

 高崎じゃね

 とても悔しかった。


 それ以来

 何かひっかかる言い方だなあ

 と思ったときは

 相手の目をじーっと見るようになった。

 嘘を言ってると

 途中でしどろもどろになった。

 平然としている奴も

 嘘をついていると

 顔色がくすんでくる。

 あれは顔の血流に

 嘘ウイルスが

 異常に増殖した証拠なんだって(笑)


 きみは嘘をつかれて

 心が深く傷ついたことがあるだろうか。

 冗談的な嘘は

 つかれたりついたりしてきたはずだけど
 
 長く心が傷む嘘をつかれたことは

 ないんじゃないの。

 やはりそうか。

 詐欺商法に引っかかったんだ。

 給料の2か月分か。

 痛いよね

 でも

 授業料と思えば高くない。

 うまいい話だったら相手の目を見よう。

 うなずかず

 ただ聞き役に回ってごらん。

 きっと しどろもどろになる。

 ならない奴でも

 顔の血流に嘘ウイルスが異常に繁殖し

 顔色がくすんでくる。

 ただ こっちの判別は

 年季がいるかなあ。


 


 

 あの日

 失意が続いて

もうどうでもよくなって

 睡眠薬ってどうなんだろうと

 2回分ぽっちを

 ウイスキーで飲んでね

 ぼうっと

 知らない道を歩いていた

 道が二手に分かれてね

 左手には「生きる道」

 右手には「生きない道」

 と道標が立っていた

 ためらいなく

 右手に入った

 少し行くとね

 「今からでも遅くないから戻れ」

 ってタテカンのように書かれていた

 反発してね

 蹴飛ばして なおも行くと

 「これ以上はアウト」

 と書かれた紙が吊るされて

 通せん棒になっている

 その向こうで

 すっぽりかぶって

 足首あたりまで覆う

 白覆面姿の者たちが

 僕を手招きながら

 舞を舞っている

 僕は通せん棒を持ち上げて

 くぐろうとした

 ゴーッ

 と凄い竜巻のような音がして

 足首まで覆う白覆面たちが

 一気に吹っ飛ばされた

 僕は通せん棒にしがみついた


 我に返った

 僕は小さな踏切で

 遮断機のバーにしがみついていた

 貨物列車が通っていた

 
 気持ちが切り替わった

 瞬間だった

 いや

 それまでの生きたくない魂が抜けて

 生きたい魂に替わったのに違いない

 その魂は誰がくれたんだろう

 

 




 
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 昨日のイブの昼下がり、来年版の卓上型カレンダー「猫様のお言葉」1200円(税別)のクリスマス記念サイン会を行いました。場所は島忠ホームズ 北赤羽店でした。
「同じ景樹なので1度会いたいと思って」
 遠慮がちに購入したカレンダーを差し出した
 お客さんがいて宛名書き入れ用のメモを見たら〜松尾景樹〜さんでした。

 直木賞を受賞してから36年
 この間に著書や、色紙にサインした冊、枚数は数えていませんが、おそらく万に達しています。
 しかし
 景樹さんに出会ったのは
 初めてです。
 ようよう、それは、
 ということでツーショット‼️

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