真っ黒な入道雲に包まれたようなのか。
それとも、
五里霧中の真っ黒な霧に巻き込まれたような感じか。
5年も年期を積んだヘリのパイロットなら、
入道雲に突っ込んで反対側へ平気で出てくるぜ。
五里霧中の霧の中だって、
山男なら晴れない霧はないと腹をくくり、
動かずにラップでも口ずさんで待つだろ。
不安は持っていいんだよ。
不安自体は猛獣のような牙を持っていないし、
猛禽類のような爪も備えていない。
つまり、本来は無害なのよ。
誰だって、
無害の不安だったら2つや3つは持っている。
そういう不安は有益な場合も多いのよ。
勢いに任せての暴走を抑止してくれる。
例えば、今の自分にツキがなく、
何を始めてもうまくいかないという不安があれば、
新規のことに首を突っ込まないと思う。
これは大変有益な不安ではないか。
しかし、そんな不安でも数多く抱えてしまえば、何をやるにも自信がなく、
自信がないから中途半端になる。
そういう惧れから、
大変消極的な姿勢に成り下がる。
世の中をオドオド渡り、
多くの人に馬鹿にされたり、
舐められるかもしれない。
多くの不安が一緒になって、
見せかけの巨大な不安になり、
きみの精神を脅かす。
そういう状態なのではないだろうか。
いったい、
きみを脅かしている巨大な不安の元の元とは、何だったのか。
そうか、片思いだった人に思い切って告白して、
とてもつれない言葉で拒まれたのか。
そうか、思い切って上司に仕事のことで進言したつもりが、
裏目に出て上司にこんこんと諭されたのか。
どんなことを進言したのかは知らないが、
的外れだったのではないか。
上司は良い機会だとばかりに、
いろいろ苦言を呈してきたんだろう。
そのように、
裏目に出ることが他にもいくつか重なって、
きみすっかり自信をなくした。
やる気が起きなくなった
そのかわり、
いつの間にか大きな不安を抱えてしまった。
このままでは自分がダメになるのではないか。
いや、もうダメになっている、と。
すっかり精神を踏みにじられているではないか。
さっきも言ったように、
不安には牙も爪もない。
きみを傷つけようがないんだ。
精神だって怖いぞ怖いぞ、
と不安がって錯覚しているだけなんだよ。
その巨大な不安と立ち向かえばいいんだ。
お前はおれに対して何ができる。
何もできないではないか。
さっさと四分五裂になれ!
そう声に出して言ってやんなよ。
四分五裂したら消えてしまう。
不安なんてそんなもんなんだよ。
四分五裂して残っていても、
まったくの無害どころか、
さっきも言ったように有益に働いてくれる。
さあ、不安は気にするな。
絶えずいくつか飼っておいていいんじゃないか。思わぬときに思わぬ役に立ってくれるから。
いいか、
不安は自分の内部に飼っている家畜だと思えばいいんだよ。
コメント一覧
コメント一覧