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コロナ禍が始まる前年の2019年に、

僕は車椅子ユーザーになり、

「よい子に読み聞かせ隊」の活動を休止した。

1999年7月に同隊を結成してから2019年7月まで、

2000回に近い読み聞かせ&後援を行ってきた。

参加者の累計は老若男女40万人に近い。

そのうちの15万人前後が幼稚園保育園の園児、

小学生中学生の児童生徒である。

「よい子に読み聞かせ隊」が

活発に全国展開を繰り広げた期間は、

2000年から2016年あたりまでで、

前述した15万人の園児児童生徒のほとんどは、

Z世代になる。

さらに言えば、

ゆとり教育を受けた世代とも大部分が重なる。


僕が読み聞かせ活動から感じとった

Z世代の特徴は、

大まかに3つに分けられる。


1各人各様の価値観

2直感的感性の豊かさ

3上下関係が希薄


1について

解りやすいエピソードを紹介してみたい。

ある幼稚園で読み聞かせを行ったときのこと。

1つのお話が終わり、

2つ目のお話に入る前に、

 僕は子どもたちとやりとりをした。

 2つ目のお話はラクダが出てくる絵本だったと思う。

 その予備知識を与えるために、

 ラクダの背中にコブはいくつあるか、

 という質問を行った。

 1つか、2つが正解である。

 3つとか、5つと答える子がいた。

 この子たちは正解を知らず、

 感性で応えたのである。

 その感性に、この世代の価値観の芽生えがある。

 そのことはコブの中にはなにが入っているか、

 という質問で明確になった。

 水、油、栄養…どれも正解だった。

 パワーと答えた男の子がいて、

 僕は唸ってほめた。

 ただの正解ではなく、

 素晴らしい答えだったからだ。

 「服」

 と、答えた女の子がいた。

 コブの中身を知らず、

 感性プラス価値観で答えたのである。

 「飲まず食わずの砂漠の旅で、

  いろんな服を取っ替え引っ替えしながら

  楽しめたらいいね」

 僕はほめた。


2については、

 印象的なシーンが思い浮かぶ。

 英才型の幼児教育をやっていたところで、

 30人の男女5歳児に読み聞かせを行った。

 合間に好きな生き物を質問した。

 僕がキリンは、トラは、と訊いて手を挙げさせた。

 最後に、

「ゴキブリが好きな人?」と訊いたら、

 男女が1人ずつ手を挙げた。

 男の子に理由を訊いた。

「飛ぶから」という答えだった。

 ゴキブリが飛ぶのを初めて目撃した

 驚きが心に焼きついた答えだった。

 女の子に訊いた。

「とてもきれいな黒だから」と答えた。

 親にゴキブリがどんな扱いを受けているかは

 知っているはずなのに、

 自分の感性を優先させている。

 小学校に入ってからは、

 ゴキブリは衛生害虫だという教育で、

 ゴキブリを嫌いになるかも知れない。

 5歳時の自分の感性を、

 そのとき素直に出したことが貴い。


3について。

 数年前、

 某小出版社が新入社員3人の歓迎会を兼ねた

 飲み会を催した。

 1人は、

「その日は母と食事の約束があるので」

 と、即座に断ってきた。

 もう1人は出席こそしたが、

 30分ほどで消えていた。

 残りのもう1人は、

 2次会にも出席すると言っていたのに、

 1次会の途中でスマホに電話がかかってきた。

「友達が近くへきています、一緒に飲むことにしたので」

 と、そのまま出ていった。

 Z世代の先駆け的新社会人だったが、

 会社の上下関係よりも、

 肉親、友達との関係を大切にしていることが解る。


 ソーシャル・ネイティブの申し子のZ世代をどう扱うか。

 40代以上の世代には異星人に見えるだろう。

 押しつけは禁物。

 受け入れてZ世代の感性、感覚に寄り添いながら、

 それを逆手にとって使う工夫が必須だろう。

 それを怠った人は、

 会社の出世ラインから外されるだろう。